June 12, 2022
●飛距離に必要な角度は45°である
下記の本は17年もかけて100人以上の男女ツァー・プロのスウィングを高速度カメラで撮影・分析して最大公約数を求めた結果を上梓したものです。協力したプロとしては、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、Tom Kite(トム・カイト)、Bobby Clampet(ボビィ・クランペット)、Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)など百数十名。この本のエッセンスを紹介するシリーズのパート8。
'Swing Like a Pro'
by Dr. Ralph Mann and Fred Griffin (Broadway, 1998)
「ゴルフ界で良く知られている用語に"retaining the release angle"(リリース角を保つ) というのがある。その意味は、「左腕とクラブシャフトによって形成された角度を保て」というものだ。【編註:同じことを“レイト・ヒット”と云ったり"lag"(ラグ)と云ったりする】これはクラブヘッド・スピードと飛距離を生む能力に決定的な役割りを果たす。
原則:角度が鋭角であればあるほどダウンスウィングの間にリリース角を長く保て、ボールを遠くに飛ばせる。多くの人々が、急な角度とそれを最後まで保つには強い力が必要だと考える。詰まるところ、プロの長距離打者たちが400ヤードかそれ以上を打てるのはそのせいだ。しかし、一般ゴルファーに飛距離が欠ける主な理由はパワーの欠如ではない。どちらかと云えば、彼らが持っているパワーの使い方およびセッティングのお粗末さと、彼らが生み出すことが可能な角度の不適切さによるものだ。
【右上の写真は2008年と2009年の世界ロング・ドライヴ・チャンピオンJamie Sadlowski(ジェイミィ・サドロウスキ、1988〜 )のダウンスウィング。彼の角度は驚異的です】
多くのゴルファーの最も一般的なパワー喪失の原因は、ダウンスウィングにおいてあまりにも早くリリース角度を失ってしまうことだ。彼らのクラブヘッド・スピードは時期尚早に無駄に消費され、インパクト時にはほとんど残っていない。さらに悪いことには、リリース角を失なうその傾向はクラブヘッド・スピードを遅くするだけでなく、ボールにクラブヘッドが不適切な角度で到達する原因を作り、擦るような打撃によって飛距離を損なう結果となる。
ボールを遠くに打つには、Ben Hogan(ベン・ホーガン)やTiger Woods(タイガー・ウッズ)のようにリリース角度を維持する必要はない。われわれが全てのゴルファーに処方する角度は、並の強靭さと筋肉運動の作用を備えた人なら誰にでも達成出来るものだ。それは《ダウンスウィングで左前腕が地面と平行になる瞬間に、シャフトと左前腕が少なくとも45°でなければならない》というものだ。スウィングのこの時点において、この角度は特筆すべきポイントである。この角度は、主に下半身がターゲット方向に動くことによって狭まるのだ」
この本はスウィングを各段階に別けて、プロたちのスウィングの最大公約数を解説し、アマチュアにもそれを実現出来るドリルを掲載しているのですが、なぜかこの《45°を形成せよ》にはドリルがありません。“誰でも達成出来る”と大見得を切った以上、ドリルも添えて欲しかった…。怨めしや。
鏡の前で練習してみました。トップまでに充分コックし、(トップで手・腕は置き去りにし)下半身主導で切り返しを行えば左前腕が地面と平行になった時、クラブシャフトはほぼ45〜50°ぐらいの角度になります。中級者の私としてはこれで満足すべきではないかと思っています。【右の写真はBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)】
「レイトヒットでスコアを減らす」(tips_203.html)で紹介したインストラクターPaul Wilson(ポール・ウィルスン)の「左肘を曲げてもいいから、トップで地面と水平にしたクラブシャフトで首を叩け」というメソッドがかなりの飛距離を生むのも、最大限コックされて45°(あるいはそれ以下)の角度になるからでしょう。
【シリーズ目次】
・'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)[本の紹介]
・ニュートラル・グリップはなぜいけないのか?(tips_203.html)
・アップライトにアドレスすべき理由(tips_203.html)
・アドレスで決まるショットの成否(tips_203.html)
・正しいバックスウィングの手順(tips_203.html)
・スウィングのトップで為すべきこと(tips_203.html)
・プロ的切り返しをすべし(tips_203.html)
・ダウンの開始で右肘を引き下ろせ(06/04)
(June 12, 2022)
●パットの秘訣・再発見
ここのところ、パッティングが低迷していました。グリップ、ボール位置、目の位置、呼吸法…などを変えてみましたが、いずれも効果なし。
試みに、昔考えた「重力まかせのストローク」(tips_155.html)をやってみたところ、これが大成功。説明しますと、バック・ストロークのトップで重力の作用でパターヘッドが自然に元の場所に戻ろうとする動きを待つ、その動きが感じられたらそれに合わせるようにフォワード・ストロークを行う…というもの。
重力の動きに合わせるので、重力との二人三脚のストロークと考えます。この方法の良さは人間の手・腕が主役ではなく重力との共同作業なので、手首が捩じれたりせず、人間が発作的に強く打ったり弱く打ったりすることも防げます。方向性は抜群、距離感もぴったりになります。
この方法を採用した後半のハーフは13パット、3(スリー)オーヴァーでした。
その次のラウンド。No.1で5メートルが難なく入り、寄せワンのパー。No.7(パー3)ではティー・ショットが1.5メートル左横についたのを沈めてバーディ。後半はパット数13、ワン・ラウンドの合計パット総数は28。アウトでトリプルがあったため惜しくも8オーヴァーで、目標の7オーヴァーは達成出来ませんでした(;へ;)。さらにその次のラウンドでは、前半パット数12、後半15の総数27でしたが、ダボが二つもあったため9オーヴァーでした。
(June 12, 2022)
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