[Poison]

Tigerland

『タイガーランド』

【Part 2】

この映画の語り部であるMatthew Davisは小説家志望ということになっていて、毎日日記をつけています。Neil Simon(ニール・サイモン)の自伝的戯曲を映画化した'Biloxi Blues'『ブルースが聞こえる』(1988)にそっくりです。しかし、Matthew Davisの日記は物語には何ら関わって来ませんし、そもそもMatthew Davisの役はなくてもいいような扱われ方です。脚本の弱いところです。

ルイジアナ州が舞台ということになっていますが、フロリダで撮影されたせいもあってルイジアナっぽい場面はありません。最後の演習地Tigerlandの“スワンプ”もその辺に転がっているただの小川であり、'Southern Comfort'『サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出』(1981)の不気味で鬱陶しく、とらえどころがない迷路のようなスワンプとは大違いです。

そのTigerlandとはどんな恐ろしいところかと思うと、罠があるわけでもなく底無し沼があるわけでもなく、何ら恐ろしくない。恐ろしいのは気が変な同僚の兵隊だけなんですね。演習なのに実弾を撃とうというんですから、狙われたらこれは恐い。「ヴィエトコンよりアメリカ市民の方が恐ろしい」というメッセージかも知れませんが、それにしてはスケールが小さいようです。

(April 24, 2003)





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