[Poison] My Dog Skip
『マイ・ドッグ・スキップ』

【Part 2】

原作の舞台となったYazoo City(ヤズー・シティ)は州都Jacksonの北へ車で30分の町。Yazooという地名はインディアンの言葉で“死の川”という意味だそうです。クレディットによれば、撮影は'A Time to Kill'『評決のとき』にも出て来たCantonとJackson、Yazooの三ヶ所で行なわれたとのこと。

カミさんと一緒に観たのですが、これほど意見が大きく分かれた作品も珍しい。彼女も撮影は素晴らしいことは認めつつも、たった95分のこの映画が「長くて長くてしょうがなかった」と云うのです。何故かというと、「アメリカ南部らしい使い古された要素を一杯並べただけ」だからだそうです。その例としては、戦争で傷ついた父親、子供と犬、子供と少女の初恋、戦争で精神が不安定になる青年…などだそうです。私にはそれらが南部の典型的な要素で、とっくに使い古された材料とも思えませんでしたし、「もしそうだったとしても、世界中が南部の典型的な要素を知っているわけじゃないから、いいんじゃない?」と云いました。カミさんは疑わしい顔をして見せました。多分、彼女に採点させたら、この映画は★(一つ)でしょう。

ミス・キャストが多いという点では二人が一致しました。父親のKevin Baconは暗すぎます。いくら片脚を無くして屈折してるからといって、あそこまで暗い必要は無いと思います。地味な映画なので、有名スターで客寄せを図ったのでしょうが、Kevin Baconはクセのある役者で、軽く演じることはしないんですよね。

これは脚本の良さでしょうが、Skipが重態になって獣医が少年を病室に呼んだ時、母親が「私も行きましょう」というのを父親が止め、「もう子供じゃない」と云います。最初に「幼くて犬の面倒など見られまい」と云っていた父親だっただけに、これは大きな変化です。子供の成長を認識し尊重するという、アメリカの良き父親像です。これも“使い古された要素”と云えば、まあそうですが。

カミさんは母親Diane Laneもミス・キャストだと云います。第二次大戦当時の主婦には見えないというのが理由。私は、綺麗だし、良き母親を演じているDiane Laneに文句はありません:-)。

Willie Morrisが英国留学中、父親が電話でSkipの死を伝える。「両親はSkipを楡の木の下に埋めたと云った。それは完全な事実ではなかった。Skipは私の心の中に埋葬されているからだ」というナレーションは涙を誘います。

(March 4, 2001)





Copyright ©  2001-2011   高野英二  (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.