[Poison]

Scarlett

『スカーレット/続・風と共に去りぬ』

【Part 2】

ScarlettやRhett Butlerは何度もアメリカとアイルランドを行ったり来たりします。しかし、時間の関係か予算の関係か、船旅のシーンというものは全くありません。そのため、人物たちの移動が飛行機を利用しているような快適さに映ります。

Rhett Butlerは離婚したがっているScarlettと散歩したり舞踏会で踊ったり、やたら二人で過ごす時間が長い。これっておかしいと思いません?避けるのが普通じゃないでしょうか。

Timothy DaltonのRhett Butlerは悪くないと思います。しかし、ScarlettのJoanne Whalley-Kilmerは美しくもなく、声も悪いし、優雅さもありません。こんな女性が偉そうに、また我が侭に振舞うのは許せない感じです。

このTV映画に関するアメリカ人一般の感想をいくつか読みましたが、ほとんどの人が本の方が良かったと云っています。「続編におけるScarlettは以前より人間的に成長し優しくなった筈なのに、映画は前作のまま強情で自己中心的に描かれている」という批判がありました。大方の意見をまとめると、「このヴィデオを観ないで本を読め」ということになります。

そうはいっても、いくつかScarlettの優しさが無いではありません。アイルランドに永住するつもりで、アトランタの土地・建物一切を売り払います。Tara(タラ)は?昔、妹から婚約者を横取りしたツケを返すように、妹にTaraを譲ります。

また、まだ紳士ぶっていた頃の貴族Sean Beanが、ベッドを共にした翌朝「私は世界中で一番幸せな男だ」と云うと、「私は…、あなたを幸せにしたかったの」と云います。前作では自分が幸せになりたい我利我利亡者で、こんな台詞は一個もありませんでした。

アイルランドのTaraで袋に詰めた土は、ジョージア州のTaraに戻った時に、父親の墓に撒きます。これも優しさの一つです。

物語の最後はScarlettが悪党Sean Beanを殺したという罪で裁かれる法廷シーンです。状況証拠は彼女に不利で、真犯人が名乗り出ない限り覆せません。で、その真犯人の候補が何人かいれば別ですが、たった一人Scarlettの小間使い(Sean Beanに虐待されていた過去がある娘)しかいないのです。となれば、もう筋書きは読めてしまいます。で、その通りに展開するという素直さなので、後半一時間には何の驚きも意外性もありません。こういうのを芸の無い脚本と呼びます。

で、これも予定調和ですがScarlettとRhett Butlerは縒りを戻します。誰しもが懸念する問題を二人の台詞が解決します。「あなたはチャールストン、私はアイルランド。この地理的問題をどうするの?」とScarlettが問いかけると、Rhett Butlerが「妥協だね。俺はチャールストンを諦め、君はアイルランドを諦める。子供と三人で世界中で暮すのさ」と応えます。今は子供が小さいからいいけど、学齢に達したら?寄宿舎付きの学校へ入れる?いや、あんたが可愛い娘と離れて暮せるとは思えないね、Butler君。そうなるとどっかに定住しなくちゃならない。パリ?ロンドン?アトランタ?また、夫婦喧嘩が再燃しそうな予感がします。桑原桑原。

(May 16, 2001)





Copyright (C) 2001-2011    高野英二   (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.