[Poison]

This Property Is Condemned

『雨のニューオリンズ』

【Part 2】

うちのカミさんは「とても哀しい話で、もう観たくない」と云っていました。どう哀しいかというと、美しい娘を“売って”楽をしようという酷い母親の犠牲になった女性の物語だからですね。哀しいというより、非常に不愉快な話なのです。主人公の女性当人が作る問題ならともかく、唾棄すべき非道の母親による犠牲となる結末が我慢出来ません。

Robert Redfordは終始乙に澄ました態度で、自分をさらけ出さないクールな存在を演じています。最初は田舎娘など問題にしない都会っ子の態度なのかと思っていましたが、Alvaを好きになっても、どうも暖かみが滲み出て来ません。脚本、演出、演技、それぞれの責任です。

少女Mary Badhamの口癖は"Okeydoke"(オーキィドウク)というもので、"OK"のややふざけた表現。Robert Redfordと二人で云い合い、親密感を醸し出します。"Okeydokey"(オーキィドウキ)とも云います。

Mary Badhamですが、残念ながら『アラバマ物語』の後、美少女には育ちませんでした。しかし、この映画では「姉さんは綺麗だった」と喋る役ですから、これにはうってつけです。子役でしたから芝居は当然上手いのですが、主題歌"Wish me a Rainbow"も器用に歌っています。

Natalie WoodとRobert Redfordが田舎の映画館から出て来ます。Robert Redfordは残りのポップコーンを食べています。少なくとも90分の映画だと推定して、90分で食べ切れないポップコーンというのは信じられません。カミさんと私はミディアム・サイズのポップコーンを買いますが、二人で15分もあれば食べ終えてしまいます。Robert Redfordが持っているのはスモール程度の袋です。これは脚本、演出のミスでしょう。えっ?「映画が終ってから買ったんだろう」ですって?映画の後ポップコーン買う人って見たことありませんよ:-)。

Natalie Woodが「ニューオーリンズのお墓って、本当に海抜以下なの?」と聞きます。これは本当なんです。ミシシッピ川が氾濫したり、大雨の際に雨水が地面に浸透し切れないと、土葬のお棺は浮き上がって来てしまいます。それで、ある程度土台を高くし、石造りの家のようなお墓が作られるようになりました。これがニューオーリンズ名物のお墓で、バスやヴァン、徒歩によるお墓巡りツァーもあります。

ニューオーリンズへRobert Redfordを追って来たNatalie Woodが、公園で佇むシーンの趣向が面白い。大きな水盤(噴水?)の左の水面に映っているNatalie Woodから右へ、水面をゆっくりとパンをします。右端の水面にはRobert Redfordの姿が映っていて、水面の反映の中で二人が言葉を交わします。Natalie Woodの表情まで読み取れれば満点なのですが、そうハッキリとは見えません。

全体がMary Badhamの回想という結構なので、彼女は最後にも登場して映画を締めくくります。彼女が着ている赤いドレスは、Natalie Woodの運命の日に着ていたものだと分ります。しかし、16歳ぐらいの少女が破れたカクテル・ドレスを着て人形を持って歩いているというのは、いかにもTennessee Williams作品にありそうな狂気の世界です。アイドルだった姉の死と同時に、少女の成長もそこでストップしてしまったのでしょう。

(April 01, 2001)





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