[Poison] Primary Colors
『パーフェクト・カップル』

【Part 2】

これは'American President'『アメリカン・プレジデント』(1995)の後だったので、似たような映画だと思い観に行きませんでした。あるグロサリ・ストアがレンタル・ヴィデオ部門を閉鎖するにあたり、中古テープを$2.00ぐらいの破格値で売っていたのを購入した一本です。実際には買うほどでもなく、レンタルするほどでもなく、TVで観られれば十分という感じでした。

クリントンを模すために南部の知事にしただけであって、実は南部である意味はほとんどありません。アメリカのどの州であってもいい感じです。

John Travoltaが嘘つきで女たらしで、殆ど信用出来ない人間であるため、こんな男を「大統領にさせられるものか!」という気になります。彼が駄目なら、後は選挙戦のテクニックに興味が移りますが、これがあまり本当っぽくないのです。活動本部の規模も小さいし、ヴォランティア達がやっている活動も初期の段階でしか描かれません。ほとんど候補者夫妻+5〜6人で切り廻しているように見えます。スケールが小さいのです。

製作者達が一生懸命だったのは、TVのキャスター達を引っ張り出すことです。CNNのLarry Kingを筆頭にPBSのCharlie Rose(チャーリィ・ローズ)、ABCのGeraldo Rivera(ジェラルド・リヴェラ)、その他大勢を登場させています。かなり壮観と云っていい数です。

Kathy Batesの演技は素晴らしく、アカデミー賞その他数々の賞の候補になりました。大きな賞は逸しましたが、小さなものは沢山貰ったようです。問題は脚本です。相手候補Larry Hagmanが若い時代にコカインをやり、ある男と寝たことがあるというネタを掴んだ彼女は、「これは報道陣に漏らすべきではない」 と主張し、知事選を共に闘った理想に燃えた時代のことをJohn Travoltaに思い起させます。また、Adrian Lesterと車で別れる前にも、彼女の長広舌があります。ここには哀しい感じの音楽まで加わります。全てが、映画全体のバランスの中で異常なので、「これは何かあるな?」と思わせます。案の定、彼女はAdrian Lesterと別れた後、車で川の土手下へ転落して死んでしまいます。彼女が死ぬべき必然性は全くありません。彼女の死で映画にメリハリをつけようという、ただそれだけのために殺された感じです。私はこういう得手勝手は嫌いです。必然性とその効果が必要です。

(May 14, 2001)





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