[Poison] Passion Fish
『パッション・フィッシュ』

【Part 2】

なぜ、こんな物語がアメリカでR指定(17歳未満は保護者同伴)になっているかというと、Mary McDonnellがしょっちゅう"fuckin'"を使うからです。カミさんとカミさんの母親(イギリス人、78歳)と一緒に観たのですが、カミさんの母親は"fuckin'"や四文字言葉が嫌いだそうで、我々はいつ彼女が「不愉快だ」と云うかハラハラしながら観ていました。幸い、最後まで我慢してくれましたが。

二人を訪ねて色んな人物がやって来ます。Mary McDonnellの昔の同級生の女性二人。何のためにやって来たのか分らないぐらい、姦しく喋るだけ。これを撃退するこちらの二人の作戦が上手い。

Alfre Woodardの過去を暴きにやって来る男。Alfre Woodardの父が、保護しているAlfre Woodardの娘を連れてやって来ます。出番は少ないものの、この娘が映画の中でいい役割を果たしています。

よく分らないのはMary McDonnellの仕事仲間だった女優たち。彼等は下らない話を長々とするだけ。何のために登場したのかよく分りません。ソープオペラなどに関わっているのがいかに馬鹿馬鹿しいかを示したのでしょうか?

Mary McDonnellの叔父さんも来ます。彼は彼女にカメラをプレゼントしてくれた人物で、そのカメラはまだ暗室に保存されていました。これはMary McDonnellが写真を撮り出すキッカケとなり、ささやかでも行動的になって行く重要な転回点です。

私もニュー・オーリンズ近郊でバイユー・ツァーを楽しんだことがあります。一時間ほどの舟遊びで15〜16頭のワニを見ました。船長が「オン!オン!オン!」と叫ぶとワニがやって来ます。彼等は船長が与えるエサが目当てです。何だと思います?マシュマロなんです。これはプカプカ浮くので、ワニがガブっと食べるところが見られて好都合なのです。ワニが虫歯になる恐れはあります:-)。

なお、この映画に登場するボートが何故大型の照明を備えているかですが、これは夜間に蛙を捕獲するためとか。蛙料理に使うようです。蛙の足は普通の食料品店でも売っているほど、こちらではポピュラーです(私は食べたくない)。

Mary McDonnellが作る料理はガンボです。ニューオーリンズ名物の、スパイスをふんだんに使った濃いスープ。“ガンボ”とはそもそもオクラのことなのでオクラは必ず入りますが、他の材料は好き好きでシーフード・ガンボ、ソーセージ・ガンボ、チキン・ガンボなど、何でもあり。ルイジアナ米を炊いた御飯の上にかけたり、米を一緒に煮込んだりもします。

肝心の物語ですが、Mary McDonnellとAlfre Woodard二人だけのシーンは見応えがあるものの、来訪者のくだりはどれも退屈です。類型的人物が多いせいもあるでしょう。最初、'The Miracle Worker'『奇跡の人』の大人版かと思いましたが、奇跡は起りません。Mary McDonnellは筋肉こそ僅かに強くなりますが、別に歩けるようになるわけでもなく、見た目の変化はあまりありません。それが、リアルではあっても盛り上がりに欠けるエンディングとなり、欲求不満が残る原因です。悪い映画ではないが、二度観るほどでもないという感じ。

(March 24, 2001)





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