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公開:1947
監督:Arthur Lubin
地域:ルイジアナ州ニュー・オーリンズ
出演:Louis Armstrong、Billie Holiday、Arturo de Cordva、Richard Hageman、Woody Hermanほか
範疇:原作もの/音楽もの/ジャズ/声楽/ロマンス
私の評価 :☆☆
【Part 1】
私は『プレイボーイ・ジャズ・オールスターズ』という二枚組LPを持っています。1957年のアメリカ版『プレイボーイ』誌における人気投票の部門別ナンバー・ワンのプレイヤーのレコーディングを並べたもので、彼等が一同に揃って演奏するわけではありません。このセットは私がDave Brubeck Quartet(デイヴ・ブルーベック四重奏団)のファンになるキッカケとなった記念すべきものでした。このセットのトップで演奏される曲はLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)の唄と演奏による'Do You Know What It Means To Miss New orleans?'(ニュー・オーリンズを忘れることは)でした。私はスタンダード・ナンバーだとばかり思っていたのですが、実は映画'New Orleans'『ニューオリンズ』の主題歌として書かれたものだそうです。
この映画はCATVのTCM (Turner Classic movies)で放送されました。解説者によれば、「当初、Louis ArmstrongとBillie Holiday(ビリィ・ホリデイ)の二人が主役の映画として企画されたものの、黒人二人では客が入らないだろうと、メキシコ系のArturo de Cordva(アルトゥーロ・デ・コルドヴァ)と白人女性Dorothy Patrick(ドロシィ・パトリック)を主役に据えたのだそうです。かと云ってジャズの演奏場面が少なくなったわけではなく、Louis ArmstrongとBillie Holidayの出番はかなり多く、ジャズ・ファンを十分堪能させてくれます。特に、Billie Holidayの唯一の劇映画としてもファン必見の映画と申せましょう。
上流階級の出の若い女流声楽家Dorothy Patrickがニュー・オーリンズにやって来る。この地で社交デビューした彼女に、すぐオペラ・アリア・リサイタルの企画がもたらされる。
女中Billie Holidayは彼女のジャズ・ヴォーカルで、Dorothy Patrickにジャズへの興味をかきたてる。懇望されてBillie Holidayが案内したのはベイジン・ストリートで、Louis Armstrongとその一党が毎夜ジャム・セッションを繰り広げているカジノ内のバーであった。Billie Holidayが'Do You Know What it Means To Miss New orleans?'を歌い、Dorothy Patrickは聞きほれる。カジノのオーナーArturo de Cordvaは、「ここは貴女のような女性が来る場所ではない」と、彼女を家に帰す。
何度かの出会いの後、Arturo de CordvaとDorothy Patrickはお互いに惹かれ始める。
Dorothy Patrickのリサイタルの日が近づく。その日の指揮者Richard Hageman(リチャード・ヘイグマン)は、実は隠れたジャズ・ファンだった。彼はピアノを弾いてLouis Armstrongバンドと共演する。
ある夜、泥酔してからむ女性をオーナーArturo de Cordvaは店から追い出すが、女性は目の前で車に撥ねられてしまう。責任を取らされたArturo de Cordvaはカジノを閉め、ニュー・オーリンズから追放されることになる。Billie Holidayが'Farewell to Storyville'を歌って過ぎし日を偲び、Louis Armstrongと多くの黒人男女がそれに加わる。
Arturo de Cordvaはアリア・リサイタルの舞台の袖でDorothy Patrickを見守る。彼女は彼と共にシカゴに行くつもりだった。彼女は二人で去ることになるニュー・オーリンズへの思いをこめて、オーケストラ伴奏で'Do You Know What it Means To Miss New orleans?'を歌う。しかし、彼女の幸せを願ってArturo de Cordvaは一人姿を消す…。
こんないい映画が日本で劇場公開されなかったというのは不思議です。主演者二人によるロマンスは陳腐であるとしても、Billie Holidayが演技し、唄も歌う、おまけにLouis Armstrongとその一党まで熱演するのですから、何故未公開のままだったのか解せません。主演者二人が無名過ぎたからでしょうか?
Louis ArmstrongはArturo de Cordvaに随いてシカゴに行きます。そこでニュー・オーリンズ・ジャズを発展させ「シカゴ・ジャズ」と名付けられます。彼がシカゴに行って有名になったのは(理由は別としても)事実であり、この後彼は世界中を駆け巡る“音楽使節”となります。
演奏される他の曲目は'Endie'、'Where the Blues Were Born、'The Blues Are Brewin'などで、Kid Ory、 Barney Bigard、 Meade 'Lux' Lewis、 Woody Herman、 Zutty Singletonなども出演します。
1947年のLouis Armstrongと云えば、有名な『タウンホール・コンサート』、『シンフォニー・ホール・コンサート』などを吹き込んだ年ですが、映画にはJack TeagardenやSidney Catletteなどは登場しません。
指揮者役のRichard Hagemanは本物の作曲家で、John Ford(ジョン・フォード)の'She Wore a Yellow Ribbon'『黄色いリボン』(1949) など、いくつも有名な映画の音楽を手掛けています。
シカゴにおけるArturo de Cordvaの秘書は、誰あろうShelley Winters(シェリィ・ウィンタース)です。チョイ役を神妙に勤めています。
(February 06, 2002)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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