[Poison] No Mercy
『ノー・マーシイ/非情の愛』

【Part 2】

シカゴではRichard Gereを馬鹿にしていたボスが、一旦部下がニューオーリンズ警察からひどい待遇を受けているのを見た途端、対抗意識から急にRichard Gereに肩入れするのが面白い。二人が体よくニューオーリンズを追われそうになると、上司は秘密裏に携行して来た銃器を渡し、フランス系ヤクザの首を取って来いと命令する。

Richard Gereはフランス系ヤクザの根城であるAlgiers(アルジェー)に乗り込み、安ホテルの全室を借り切ってここを決戦場と定めます。Algiersはフレンチ・クォーターの、ミシシッピ川を挟んだ対岸です。さまざまなアイデアで大勢の敵に対抗する措置を考えます。

ここまではいいのですが、Kim Basingerが心配してやって来ると、ホテルということもあってすぐベッドインしてしまいます。いつフランス系ヤクザがやって来るか分らないのに、よくまあそんな悠長なことやってられるもんですね:-)。

ニューオーリンズはナポレオンの時代までフランス領でしたから、フランス系の文化が沢山受け継がれています。また、カナダに入って、ニューオーリンズまで南下して来たカナダ経由のフランス移民(ケイジャン)の子孫と文化も色濃く残っています。この映画の中でヤクザがフランス語を喋りますが、別に彼等がインテリというわけではありません。親譲りというだけの話です。

Kim Basingerは文盲であることが分ります。アメリカの文盲率はかなり高い方です。多分、スポーツは大好きでもあまり勉強が好きでない黒人やヒスパニック系が大きな役割を果たしていると推察されます。Kim Basinger演ずる女性は貧しい家庭に育って、小さい頃から売春婦のような商売をさせられていたようです。

Richard Pearce(リチャード・ピアス)という監督は、'The Long Walk Home'『ロング・ウォーク・ホーム』、'A Family Thing'『ファミリー/再会のとき』など南部ものをいくつか手掛けていますが、どうもこれと云って傑作が無い人です。もともとはカメラマンで、'Woodstock'『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』の撮影を担当した一人でした。私もカメラマンなので、ちょっと残念です。

(February 28, 2001)





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