[Poison] Mississippi Masala
『ミシシッピー・マサラ』

【Part 2】

Greenwood(グリーンウッド)という町はミシシッピの州都ジャクスンから北へ一時間半ほどのところにあります。ここは'Ghosts of Mississippi'『ゴースト・オブ・ミシシッピー』の殺人犯Bylon De La Beckwith(バイロン・デ・ラ・ベックウィズ)のホームタウンで、彼が最初の裁判に無罪で放免された時、《お帰りなさい!》という横断幕を張り巡らせて歓迎したそうです。

なぜこの町にインド人がこうも多く集まったのかは分りません。Greenwood関連のウェブサイトを見ましたが、インド人に関する記事は発見出来ませんでした。

ウガンダで始まってウガンダで終る構成は一見まとまっているように見えますが、どうも娘の父親のウガンダへの執念に同情出来ないし、たった一人で感傷旅行に行った父親で映画を締めくくるというのは納得出来ません。父親が主役なのか、娘なのかというと、当然物語の大半を占める娘でありましょう。しかし、娘の恋をめぐる一連のお話は軽い出来事の連続で、冒頭の父親の深刻劇と大幅に異なるため、観客心理としてはもう深刻劇に戻るのは困難になっています。でも、この脚本はそれをやっちゃうのですね。これはとってつけたようで、全く感心出来ません。

盲目的に恋し合った二人ですが、本当にお互いのことも知らず、将来の…というか、数カ月のプランすら無く駆け落ちしてしまいます。ほとんど無茶苦茶です。インド人が黒人と結婚することをどう考えているのか、その辺のことを少しは描いてほしかった。

「インド人も黒人も有色人種」という台詞を紹介しましたが、私が聞いているインド人の本心というのは、世界でも最古の部類に入る文化を持ち、アジア人種というよりはコーカシア人種に近い容貌を持っているため、相当プライドが高いのだそうです。アジア人より偉いと思っているインド人が、黒人と同じレヴェルだと考えるものでしょうか?先ほどの台詞は本音ではなく、お世辞と思うべきかも知れません。実際、そういう場面で語られたわけですし、後に恋人との再会を妨げられたDenzel Washingtonは同じ台詞を嫌味として使っています。

アフリカとアメリカで分裂症的になってしまった映画で、それぞれの土地で無責任に大甘のエンディングをつけています。娘もアフリカへ帰した方が、よほど情感豊かになったような気がします。

(March 3, 2001)





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