[Poison] Mandingo
『マンディンゴ』

【Part 2】

白人の息子は黒人女性を愛し、黒人奴隷は白人女性と交わるという、異人種同士のセックスが当時は珍しかったのでしょうか?セックス・シーンと云っても最近のように扇情的なものではなく、極めて控え目です。逆に、全裸の黒人女性が大きな団扇(うちわ)で男性をあおいでいる姿の方がセクシーです。

黒人女性が子供を産むと、その子は将来売れる財産なので大喜びします。しかし、白人の妻が黒人の赤ん坊を産むというのは一家の恥曝しです。今なら離婚ということになるのでしょうが、この映画では医師から毒薬を貰って妻を殺してしまいます。無茶苦茶です。まあ、映画全体が無茶苦茶なので、一部をどうこう云っても始まらないのですが…。

Ken Nortonを白人の妻が誘惑するあたりで、後半の筋が読めてしまいます。彼が誘惑に乗らない場合、彼女は「レイプされた」と訴えて彼を殺させるでしょう。彼には選択の途は無かったわけですが、黒人の赤ん坊が生まれればやはり只では済まないので、誘惑された時に既に彼の運命は窮まったことになります。

怒った夫はKen Nortonを釜ゆでの刑にしようとします。Ken Nortonに自ら火をおこさせ、「入れ!」と云います。誰が入るもんですか、そんなもん。結局、銃で撃たれたKen Nortonは大釜に倒れ込んでしまい、絶叫します。それでも厭き足らず、夫は牧草用の鍬を使ってKen Nortonを突き刺します。凄惨です。

映画製作者は「これが本当の南部だ!」と豪語したそうですが、これはいくら何でもひど過ぎます。レッドネック(黒人蔑視、女性蔑視)の男達、女性はみなセックス大好き、黒人はモノとして使われ、暴力、殺人の横行…てなことだけを描いていて、後は何もありません。

なお、翌年作られた'Drum'『ドラム』はこの映画の続編ではありません。同じKen Norton、同じプランテーション、同じ主人の名前ですが、全く別な話です。

(May 11, 2001)





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