[Poison]

Lush


【Part 2】

私はゴルフ愛好家なので、いい加減なゴルフ場面の扱いはすぐ分ります。この映画では、Campbell Scottがグリーン・サイドのプールでLaurel Hollomanを見かけるシーンが出鱈目だと思いました。プロでさえグリーンをオーヴァーしたりするわけですから、このようなパブリック・コースでグリーンの向こうにプールがあるというのは非常に危険です。どうしてもプールを置くなら、隙間無く木材を並べた高い塀があるべきで、この映画のように透けた鉄格子であってはなりません。これでは下手なゴルファーのボールが素通りしてプールの老若男女を直撃すること必定です。この映画の脚本家はゴルフを知らず、主人公とプール・サイドの水着の女性を出会わせたいがゆえにインチキしたのは明らかです。

ラストで、登場人物たちがカメラに向かって最後の一言を喋るというのは面白い。しかし、自殺願望の人間(弁護士Jared Harris)が本当に死んでしまうだけで、他には何のドラマもないのです。

主人公が歩いていると、常に誰かと出会うというのも安易。「犬も歩けば…」みたい。

「迷い犬に懸賞金」というポスターが出て来て、その犬かどうか不明ながら、白い犬が墓場だの盛り場だのをうろついている姿が一杯出て来ます。「この犬を捕まえて、懸賞金で暮らすつもりだな?」と思っていると、実は犬などどうでもいいんですね。馬鹿にしています。意味有りげに出すなってえの!「主人公が歩くと誰かと出会うが、犬は歩いても棒にも当たらない」

大型芝刈り機の映像も頻出して当惑させられますが、これはCampbell Scottの父親がゴルフ場のグリーンズ・キーパーとして使っていた機械だと分ります。しかし、センチメンタルな回想に符合するだけで、物語には全く関係しません。下らない。

意味有りげなイメージやカットバックは、どれも大した意味はないのです。弁護士Jared Harrisの奇妙な仲間のペンキ屋(?)二人も、物語に何も付け加えません。

無意味の標本みたいな映画。

(September 16, 2003)





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