[Poison]

Life

『エディ&マーティンの逃亡人生』

【Part 2】

Eddie Murphyの父の形見の銀時計が重要な役目を果たします。40数年後、二人をハメたシェリフが刑務所の所長となってやって来て、その時計を見せびらかすのです。この“偶然”は相当なものですが、まあお話ですから許しましょう。ここでは小道具の上手い使い方を誉めたいと思います。

Martin Lawrenceがニューヨーク仕込みの野球を囚人たちに教えます。一番若い聾唖の青年がホームラン・ヒッターとして頭角を現わします。彼に惚れたのが刑務所長の娘(白人)。娘が懐妊し、所長は喜びますが(結婚もしてないのに?)、生まれて来たのが黒い赤ん坊だったから大変。所長は囚人一同を並ばせ、赤ん坊の顔と囚人一人一人を照合します。件の青年の番になった時、Eddie Murphyは「俺がその子の父親だ」と名乗り出て、すぐMartin Lawrenceも同じことをします。囚人の多くが同じ行動に出て、この父親探しはチョン。所長がグウの音も出ないという、面白い場面でした。

人種差別の激しかった時代、確かに黒人二人が再審請求などしても無駄だったであろうとは思います。しかし、(数度の脱走はトライしたものの)唯々諾々と40数年も服役するお話というのも奇妙です。歯がゆいし、苛々します。製作者たちは「彼等のしたたかさを見習え」と云うのか、「それでも人生は素晴らしい」とでも云うのでしょうか?あまりにも惨めな一生で、とても人生の応援歌にはなりそうもありません。

表面的にはほのぼのしていますが、よく考えれば残酷なお話で、どこがコメディなの?と思ってしまいます。

Eddie Murphyが「俺は'Beverly Hills Cop'だけじゃなく、ちゃんとした芝居だって出来んだかんね」というデモンストレーションをするための映画だったような気がします。

(July 05, 2002)





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