[Poison]

The Klansman

『クランスマン』

【Part 2】

この「アメリカ映画“南部もの”大全集」も160本を越え、そろそろ落ち穂拾いに類した作業になっています。この'The Klansman'『クランスマン』はヴィデオは廃版なのですが、中古だとオークションなどで入手出来ることはずっと前から知っていました。しかし、手を出さなかったのは「かなりひどい」という評判を聞いていたからです。最後の最後まで手を出さずにおこうと思っていたのですが、安く落札出来たので止むを得ず観るハメになってしまいました:-)。

あらすじでは省略しましたが、最初のシーンが頭の足りない黒人に黒人女性を襲わせ、それを白人の集団が囃し立てて見物するというもの。たまたま通りかかったLee Marvinが止めますが、別に誰を逮捕するでもないのです。これでもう呆れてしまいます。

大体、このLee Marvinは昼間からウィスキーを呑んでばかりいて、何も活躍しないのです。やっと最後にK.K.K.相手に機関銃(!)を取ってRichard Burtonを助けに行きますが、それだけなんですね。

Richard Burtonも黒人の理解者ということで、「アラバマ州はK.K.K.だけじゃない」というシンボルのようですが、この人も実際には何もせず、白人女性たちとベッドでの生活に勤しんでいます。

Richard Burtonはシェイクスピア劇の名優だっただけに演技派の筈なのですが、この映画ではふやけた芝居しかしていません。彼の後半生には駄作が多いのは、私は離婚費用のための荒稼ぎかと思っていました。しかし、映画評論家Leonard Maltin(レナード・マーティン)によれば「彼は金のために、ほとんど断らないで出演した俳優だった」そうです。もともとイギリスの炭坑夫の伜だったそうで、常に貧しさを恐れていたのかも知れません。

しかし、一本の映画で三回もレイプ・シーンがあるというのは、ちと良識を疑います。こんな映画に関係したTerence Young、Lee Marvin、Richard Burton、三人ともお金のために目が眩んだとしか考えられません。

勿論、このようなお話をアラバマ州で撮れる筈はなく、全てカリフォーニアで撮られています。

(August 28, 2002)





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