[Poison] All the King's Men
『オール・ザ・キングスメン』

【Part 2】

主人公のモデルとなったルイジアナ州知事Huey Long(ヒューイ・ロング)は1928年に知事に当選、独裁的権力で公共事業の推進、福祉政策を実施。特に、彼の在任中には高速道路、橋梁の建設、大学の拡充、教科書の無料配布、そして州都をニュー・オーリンズからバトン・ルージュに移転するなど、様々な計画を敢行しました。1930年には上院議員に転出。1935年に州都で暗殺されました。1939年、合衆国政府はHuey Long一派が汚職と犯罪に関係していると断定。しかし、この一派は今なおしぶとく生き残っているそうです。

貧しい境遇に育ち、弁舌と気さくな人柄で人気を得て、当選後は土木・建設事業に邁進、その身辺は常に汚職の匂いがたちこめる…というのは、日本でも現実としてお馴染のストーリィで、「何をいまさら」という感じです。しかし、このストーリィを1949年頃に発表した人達は偉いのでしょうね、多分。

どこの国でも政治家志望者は権力・私利私欲を望むわけではなく、最初は既成権力を批判し、独自の政策を引っ提げて登場するのでしょうが、一度ポストに納まると人格が変わってしまうようです。権力の行使を欲しいままにし、それが私利私欲に結びついてしまう。そういう誘惑に勝てる人はごく少数のようです。

(June 25, 2001)





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