[Poison] Hush... Hush, Sweet Charlotte
『ふるえて眠れ』

【Part 2】

この映画の背景は「オーク・アレイ」と呼ばれる、元砂糖プランテーションの大富豪の邸宅です。面白いのはこの一軒の大邸宅を二軒分として使っていることです。建物と門からの短い車道だけがCharlotteの家として描かれていて、樹齢300年という有名な樫の並木は別の家という設定で使われています。初老のリポーターが、間もなく死ぬ運命の女性から遺書を預りますが、その時の二人の背後にあるのは、本当は同じ「オーク・アレイ」内の並木です。この並木は'Gone With the Wind'『風と共に去りぬ』や'Interview with the Vampire'『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などにも使われました。

この邸宅は砂糖の積み出しに便利なようにミシシッピ川添いに建てられています。映画の中で、門の向こうに土手が見えますが、その向こうは川なのです。

ニューオーリンズには沢山のツァーがありますが、一つは「プランテーヨン・ツァー」というものです。バスで西へ一時間ほどの「オーク・アレイ」を含め、三つほどの大邸宅を見て廻れます。

監督Robert Aldrichの腕の冴えを期待したのですが、あまり感心出来ませんでした。映画の中のCharlotteを騙し、観客の我々をも騙さなくてはならず、相当苦しい脚本です。

例えば、歌声に誘われてハープシコードのある部屋に来たCharlotteが、椅子を引っぱり出すとピストルが乗っています。首無し死体が現われるのでピストルで乱射します。このピストル攻撃は映画の重要な要素です。しかし、Charlotteが椅子を引き出さなかったらどうなったか?よしんばピストルを見つけたとしても、手にしなかったらどうなったか?手にしたとしても、首無し死体に驚いて気絶してしまったらどうだったか?あまりにも偶然に依存したプロットです。

薬瓶を持った召使いの手のアップが出ますが、召使いにしては荒れていなくて、ここだけ女優の手になっていました。この辺にも細かい配慮がほしいところ。

(April 04, 2001)





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