[Poison]

The Adventures of Huckleberry Finn


【Part 2】

この映画の舞台となる場所を突き止めようとしたのですが、ペテン師登場の前の場面がアーカンソー であることしか分りませんでした。アメリカの高校の70%では、この原作を必須のテキストにしているそうで、インターネットの教師用サイトのいくつかに「Huckleberry Finnの行動を地図に落とす」という課題が推奨されています。しかし、実際に完成した地図のサンプルは見つかりませんでした。まあ、Mark Twain(マーク・トウェイン)自体、地図を見ながら執筆したわけではなさそうなので、どのエピソードはどこと確定出来るものでもないのでしょう。

最終的に'CliffsNotes'というあんちょこ本シリーズに地図が載っているのを発見しました。ペテン師のエピソードは原作の19章〜30章ですが、'CliffsNotes'では32章の出来事をミシシッピ州とルイジアナ州が接するあたりのアーカンソー州東南端と位置づけています。

私はその地点から80kmほど下流のVicksburg(ヴィクスバーグ)でミシシッピ川(にかかる橋)を渡ったことがあります。ここでは結構川幅が広いものの、他の場所では「え?これがミシシッピ川?」と驚くほど狭い部分があります。とても世界一の川とは思えません。蛇行に蛇行を重ね、肥沃なデルタ地帯を作り上げたミシシッピ川ですが、実はミシシッピ川は世界一長い川であって横に広い大河ではなく、その“世界一長い川”という肩書きも実は下記のように怪しいようです。

『アメリカ200のキーワード』(秋間 浩著、朝日選書、1991)という本によれば、モンタナ州から南東に流れてミズーリ州セント・ルイスまで4,300kmのミズーリ川が、セント・ルイスからルイジアナ州ニュー・オーリンズまでのミシシッピ川に合流します。しかし、後者はたった3,800kmしかない。両者を合わせてミシシッピ川と総称すると、合計は6,200kmでこれは「世界一長い川」になる。普通、長い方の名前が総称になるのに、なぜここでは逆転しているかというと、未だ西部探検が十分でなかった頃はミズーリ川がこうも長いと分らず、全体をミシシッピ川と命名してしまい、そのまま現在に至っているという経過だそうです。

この映画の黒人奴隷Jimは、逃亡するにはかなり老け過ぎている気がします。演技もまどろっこしい。唖に化けるMickey Shaughnessyの役は可笑しい役なのですが、何となくB級の演技。主役である筈のHuckleberry Finnはあまり活躍せず、印象に残りません。

ミズーリ州で展開する'Tom Sawyer'『トム・ソーヤーの冒険』(1973)は、「“南部もの”に何で『トム・ソーヤーの冒険』が無いの?」と考える方の為に入れることにしたわけですが、この'The Adventures of Huckleberry Finn'はミシシッピ州、ルイジアナ州という深南部にちゃんとやって来ますので、無理にこじつけて掲載する必要はなく安心しました。

(August 08, 2003)





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