[Poison] Dixie: Changing Habits
『デキシー・シスターズ』

【Part 2】

インディ映画やTV映画のDVDの多くは、経費節減のためでしょうが聴力障害者用の英語字幕無しで売ることが少なくありません。この'Dixie: Changing Habits'にも英語字幕は入っていませんでした。で、私の聴解能力では物語の一部で分らない部分があります。

Suzanne Pleshetteは修道院の経済的苦境を救うために、彼女が対立する両者(一方は修道尼たち製作の陶器の流通企業の社長、一方は港湾労務者組合のボス)が娼館の顧客であることを利用し、彼らの恥部を脅しのネタに使って労働争議を終結させようとします。陶器を破壊したのはストを始めた港湾労務者たちなのですが、Suzanne Pleshetteの狙いは港湾労務者組合に陶器の弁償を迫るわけではなく、ストを止めさせるために奔走します。なぜストを止めさせると修道院のプラスになるのか、私には理解出来ませんでした。

ストを始めた港湾労務者たちがピケを張るのはいいとしても、訪れた修道院のトラックの積み荷を壊すというのも解せません。まるで江戸時代の大井川の川越人足のような粗暴な振る舞いです。こちらは20世紀なのに…ですよ。信じられません。

元修道院長だった高齢の尼僧の病気のエピソードがありますが、まるで瀕死の床にあるような描写をしといて、その後は何の説明もなくぴんぴんして生きながらえています。この高齢の尼僧のエピソードはほぼ全く主人公Suzanne Pleshetteの物語とは関連しないので、全体から見れば不必要な部分と云えます。

Suzanne Pleshetteに冷たく当たる若い尼僧がいて、出て来る度に憎まれ役を演じますが、これもありきたりの役どころ。「憎まれ役」というプラカードを掲げているような存在です。

総じてこの脚本は駄作というしかありません。その脚本家は自分自身会社社長の役で出演していますが、その演技もひどい。まるで漫画です。

この映画の企画として褒められるのは、尼僧たちの質素な日常着と黒の制服の中に、派手なファッションのSuzanne Pleshetteを抛り込むという趣向。主役Suzanne Pleshette一人だけを浮かび上がらせる効果がありますから、これはうまいアイデア。しかし、その他で(『明日に架ける橋』の歌唱以外)褒められる点は何もありません。

(June 04, 2010)





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