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公開:2003
監督:Ronald F. Maxwell
地域:ヴァージニア州
出演:Jeff Daniels、Stephen Lang、Robert Duvallほか
範疇:実話の映画化、ドラマ、アクション、南北戦争
私の評価 :☆
【Part 1】
私は映画雑誌というものを購読していない上に、映画は虚心に観たいというタイプなので、映画情報のたぐいは事前に読まないようにしています。そのため、今回は映画館に入る前に面食らうことになりました。先ず、入場券売り場の青年が「この映画が四時間かかることを承知で入場して下さい。観客のどなたにも確認するように指示されています」と云うのです。知りませんでした。「映画の後、遅い昼食をとろう」などとやって来たらひどい目にあうところでした。ちゃんと昼食を食べて来て良かった。次いで、切符切りの中年女性(顔見知り)が「枕持って来ましたか?」と云うではありませんか。「そんなにひどい映画なのだろうか?」と心配しましたが、土曜日でもあり場内は80%埋まっています。特に子供連れが多い。そう悪い映画でもないようです。やはり、南北戦争というのは、日本の忠臣蔵みたいなもので、特に南部では思い入れがあるのでしょう。子供にも見せたいと思うんでしょうねえ。
エンド・タイトルで知ったことですが、これはCNNの創立者として有名なTed Turner(テッド・ターナー)のライフ・ワーク(“道楽”とも云う)の一つなのです。彼は映画ファンでもあり、数々の古い映画を買い占め、それをTCM(Turner Classic Movies)というケーブル・チャネルで放送しています。彼の他のチャネルの一つTNT(Turner Network Television)でもオリジナル・ムーヴィを製作していますが、ついに劇場映画にも手を染め、1993年に'Gettysburg'『ゲティスバーグの戦い/南北戦争運命の三日間』という261分の大作を製作・公開しました。223分の本作よりも長いのです!「Ted Turnerの『風と共に去りぬ』への回答」と評され、好評でした。実は2002年暮れにTCMがその'Gettysburg'を一挙放映し、私は録画しておいたものを見始めたのですが、途中で休戦(?)したままになっています。Ted Turnerは更にもう一本作って三部作にするつもりなのだそうです。全部観るのに12時間かかる超大作!
1861年、アメリカは真っ二つに分れ、内戦に突入する。リンカーン大統領はRobert Duvall(ロバート・デュヴァル)演ずるRobert E. Lee(ロバート・E・リー)将軍に北軍の指揮を執って貰おうとするが、将軍は「故郷ヴァージニアを護るために働く」と云って去る。彼はヴァージニア州から指揮権を与えられ。南軍の中枢となる。
Stephen Lang(スティーヴン・ラング)演ずる、やはりヴァージニア生まれの将軍Thomas Jackson(トーマス・ジャクスン)は勇猛でもあったが、敬虔なクリスチャンとして神に祈るのを常としていた。彼は合衆国軍の紺の制服のまま南軍に馳せ参じる。
その頃、北軍側では、Jeff Daniels(ジェフ・ダニエルズ)演ずる、カレッジの教授となっていたJoshua Lawrence Chamberlain(ジョシュア・ローレンス・チェンバレン)にも戦列に加わるよう知事命令が下り、彼は断れない。妻も夫を止められず、二人は涙を堪えて別れを惜しむ。
Bull Run(ブル・ラン、ヴァージニア州)の闘いで、Thomas Jacksonの旅団は圧倒的多数の北軍と対峙し、目覚ましい戦果をあげる。この時、ある将軍が「見よ、Thomas Jacksonは"stone wall"(ストーンウォール、石の壁)のように動かないぞ」と、自らの隊を叱咤する。この時以後、Thomas Jacksonは"Stonewall" Jacksonとして世界中にその名を知られる存在となり、彼の部隊は「ストーンウォール旅団」と呼ばれて勇名を馳せることとなる。
1862年、老練なChamberlain中佐は新兵を鍛え上げ、戦場へと赴く。Lee将軍は"Stonewall" Jacksonを右腕として、Fredericksburg(フレデリクスバーグ、ヴァージニア州)の町と川を隔てた丘陵地に陣を構えた。この頃、やっと南軍兵士には灰色の制服が支給された。それまでは南軍も紺の制服や私服だのが混在していたのだ。Lee将軍の陣地は鉄壁だった。北軍はアイルランド系の旅団に攻撃を命じ、陣を奪い取ろうとする。何と、迎え撃つ南軍の旅団もアイルランド系兵士たちだった!彼らは泣きながら同胞に銃を向けることになった。
北軍の必死の攻撃は自軍に多量の死者の山を築き上げるだけだった。ついにChamberlain中佐を含む旅団にも攻撃命令が下る。彼らは果敢に攻めるが、結果的に進むも退くも不可能になり、死者を弾よけとして伏して一夜を明かし、援軍を待つ有り様となる。
Fredericksburgの闘いから数日後、"Stonewall" Jacksonのもとに「娘が誕生した」という便りが届く。彼は神に感謝の祈りを捧げる…。
四時間近くのあらすじを書いて行くと通常の倍以上になるので、この辺でやめときますね:-)。
多分、これは歌舞伎に似ているのでしょう。歌舞伎は(どんな演劇もそうですが)そう頻繁に場を変えられないので、一場一場が長い。この映画もそうです。神への祈りだけで結構時間を食ったりします。
Michael Shaara(マイケル・シャーラ)という作家が映画'Gettysburg'の原作となった'The Killer Angels'を出版し、彼の没後、息子のJeff Shaara(ジェフ・シャーラ)がこの映画の同名の原作を書き、三部作の最後となる'The Last Full Measure'も著しました。つまり、映画の三部作となる二作目は時間を遡行していますが、原作が世に現れた順番には即しているわけです。
'Gettysburg'でLee将軍を演じたのはMartin Sheen(マーティン・シーン)で、Ted Turnerは今回も出演を要請しましたが、彼は大好評のTVの'The West Wing'『ザ・ホワイトハウス』を抜けられませんでした。代りにRobert Duvallの登場となったのですが、何と彼はLee将軍の直系の子孫なんだそうです。だったら、最初から彼にすべきでしたね。
Jeff Danielsは、'Gettysburg'でも同じChamberlain中佐を演じていて、Stephen Langは別の役で出演していました。
ヴァージニア州を初め、南北戦争の古戦場には、毎年当時の服装・武器による戦闘、そして当時の食事まで再現する「保存会」といったものが多数存在します。地元有志が南北両軍に分れて広大な野原で「史実」を再現します。この映画に登場する兵士の大半は、そうした保存会の人々による無給の出演だそうです。その恩返しは映画製作者たちによる$500,000の寄付で、これは古戦場の保存に使われるとか。有給で出演したのは、俳優に近い演技を必要とする200人だけだったそうです。
エンド・タイトルで聞かれるのは、オリジナルかどうか知りませんが、Bob Dylan(ボブ・ディラン)の曲。
(March 01, 2003)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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