[Poison] Get Low

【Part 2】

惜しむらくは、葬儀パーティがわれわれの予測したような「隠者Robert Duvallについて市民が語る集い」ではなく、「Robert Duvallが過去の“罪”を懺悔する場」になることです。そして、その“罪”も、彼が40年も隠遁生活を送ってしかるべき凄い罪ではなく、(彼に間接的責任はあるとしても)彼の罪ではない類いのものなのでがっかりします。つまり、山場であるべきシーンは肩すかしに終ってしまうのです。

葬儀パーティを終え、抽選で参加者に土地家屋を譲った後、彼は都合よく死んでしまいます。これは脚本家の御都合主義で感心出来ません。

この物語はテネシー州のRoane County(ローン郡)に住むFelix “Bush” Breazeale(フェリックス・“ブッシュ”・ブリーズィール)という79歳の独身老人が、1938年に葬儀パーティを行なった事実に基づいています。映画はハリウッド流にミステリやサスペンスを付け加えていますが、本当の老人はもっと地味な存在だったようです。しかし、葬儀パーティには14の州から推定12,000人が集まったため全国紙のコラムにも取り上げられ、老人はニューヨークまで行って大ネットワークのモーニング・ショーにも出演するほど有名になりました。そして、この老人はこの葬儀パーティの後、五年も生きたそうです。

製作者はこの企画に五年もの努力をしたと云っています。どの映画会社からも資金援助を得られず、金策に駆けずり回った五年だそうです。その間に、製作者はアメリカ南部を経巡ってロケ地を探しました。1930年代のアメリカに相応しい田舎町はそう見当たらす、最後に見つけたのがジョージア州の小さな町だったそうです。この映画には23人のプロデューサーが名を連ねています。要するに、大口出資者が見つからず、小口ばかり大勢集めてやっと製作に漕ぎ着けたようです。

しかし、葬儀パーティに雇われる楽団がC&Wのバンドであるぐらいが南部らしさで、他には何も南部らしさは出て来ません。ですから、私も付け加えるべきネタがありません(トホホ)。

(January 20, 2011)





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