[Poison] The Flim-Flam Man
『恋とペテンと青空と』

【Part 2】

シェリフと警察の違いについて。アメリカにも"county"(郡)というのがありますが、日本のそれとは大きくことなります。アメリカの"county"はいくつかの市や町を包含する大きい地域です。シェリフは"county"全体を縄張りとするもので、選挙によって選ばれます。警察は市や町を単位として雇われ、署長が選挙で選ばれるということはありません。

他愛ない映画なのでイチャモンをつけるのも憚られますが、なぜ☆一つなのかの理由も明らかにしないといけないでしょう。

映画の通例とはいえ、この映画にロマンスを登場させたのには無理があります。Michael SarrazinがSue Lyonに一目惚れ…ここまでは結構。彼女の車を奪い、密造酒作りのトラックを奪い、遥か遠くに逃げたはずなのに、夜間Michael Sarrazinは娘に会いに行くのです。それも、何度も。まるで、彼女の家を中心にぐるぐる円を描いて逃げているような筋立てです。シェリフに追われていて、したたかなGeorge C. Scottがそんなことをするわけがありません。

Sue Lyonは金持ちの立派な紳士の家の娘です。彼女がペテン師の弟子に惚れるのは勝手ですが、普通両親はそんな恋は認めないものでしょう。ここでは父親が「いい弁護士を雇おう」と云い、Michael Sarrazinの早期保釈をほのめかします。何と、楽天的なシナリオでしょう。

Michael SarrazinはGeorge C. Scottを尊敬し始め、ペテン師稼業に目覚め、楽しみを見出してしまいました。フーテンの寅の心境になってしまったのです。流れ者として、知能犯として生きる喜びを知ってしまったのです。いくらSue Lyonに惚れ、良心が咎めるようになったからといって、一個所に定住し汗を流して働くなどということは出来ない身体になったのではないでしょうか。私にはハッピー・エンドは見えませんでした。

(January 22, 2002)





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