[Poison] Miss Firecracker
『ミス・ファイヤークラッカー』

【Part 2】

この映画でHolly Hunterは下着になったり水着になったり大サーヴィスです。しかし、お世辞にもセクシーとは云えないし、周囲の美女たちと較べてチビ過ぎるので、よくもまあ五位に入れたものだと思います。

オフ・ブロードウェイの舞台でもHolly Hunterが主役を演じたそうなので、この人選は当を得たものだったかも知れません。しかし、この映画の撮影当時彼女は31歳なんです。飛んだり跳ねたりで懸命に若さを表現していますが、顔の年齢は誤魔化せず、「ミス・コンテスト」に出るには一寸無理があります。

原作者であるピューリッツァー賞受賞作家Beth Henley(ベス・ヘンリィ)はミシシッピ州生まれで、“南部もの”の戯曲をいくつも書いています。彼女の戯曲の映画化はほかにもあるようなので、いずれそれも観てみるつもりですが、私にはあまり期待出来そうにも思えません。

Tim Robbinsは荒っぽく癇癪持ちの男として登場し、次第に大人しくなり、最後には「ニューオーリンズの大学に行くつもりだ」などと云い出す訳の分らない人物。Marlon Brando(マーロン・ブランド)が演じた『欲望と云う名の電車』のStanley Kowalski(スタンリイ・コワルスキイ)を真似して失敗したような役柄です。Scott Glennに至っては、この映画に必要とは思えない役回りで、芝居のしどころもありません。

ピューリッツァー賞受賞作家の作品であろうとなかろうと、この物語は物語と云えないぐらい、何もありません。登場人物たちの葛藤も盛り上がるわけではなく、コンテストでHolly Hunterが栄冠に輝くかどうかも(ライヴァルが描かれているわけではないので)スリルはありません。現在の視点で考えれば演技派のそうそうたるメンバーを集めているわけですが、いくらいい役者を揃えても脚本(ここでは戯曲)が悪ければどうしようもない…という見本みたいな結果になっています。

実はこの映画の存在を知ったのは、同じ町に住む日本婦人が「私の娘がエキストラで映画に出たことがある」と話してくれ、ロケ地はYazoo Cityとの話。“南部もの”映画の“権威”を自任していた私はいくつかの題名を挙げたのですが、どれも外れでした。婦人が覚えていた"firecracker"という言葉を頼りに、IMDbで検索してついに発見したのがこの映画。やはり、これまで私の捜査網に引っ掛からなかったのも道理、“南部もの”の代表作に入るような作品ではなかったのです。なかなか掘り出し物ってないもんですね。

(December 17, 2006)





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