[Poison]

The Ernest Green Story

(未)

【Part 2】

Ernest Greenは人種統合教育により白人の学校を初めて卒業した黒人として歴史に残る名前なので、それで彼の名が題名となったようです。しかし、映画は彼一人が主役というわけではありません。白人たちの迫害にあう九人全員が主役と云っていいでしょう。この勇敢な学生達は"The Little Rock Nine"と呼ばれています。彼等の当時の姿はこちらを御覧下さい。

Minnijean Brown Trickey(ミニジーン・ブラウン・トリッキィ、16歳)は、学生食堂で彼女を"Tar-baby"と呼んだ男子学生の頭にチリ・ビーンズ(メキシコ料理)をぶちまけます。"Tar-baby"(タール・ベイビィ)は'Uncle Remus Stories'『ウサギどん、キツネどん』に出て来るもので、狐が兎を捕まえるために作ったコールタール製の人形です。タールですから真っ黒なわけです。つまり、"nigger"(黒ん坊)と同じ意味に使われていることになります。彼女は校長から厳重注意され、二度とそんな真似をしないと約束させられますが、その直後に白人女子生徒から"Nigger!"と呼ばれて"White trash"(白人のクズ)とやり返し、又もや校長に呼ばれ、いたたまれなくなった彼女はNew Yorkに転校して行きます。

映画に出て来る白人生徒たちの嫌がらせだけでもうんざりするほどですが、実際には半年の間に九人の生徒にはもっともっと辛いことが一杯あったことでしょう。しかし、今や彼等は"The Little Rock Nine"として歴史に残り、公民権運動のヒーロー、ヒロインとして扱われています。歴史を作る人々の勇気、いつかはそれが世に認められる日が来る、そうした二面を備えているアメリカの良心は捨てたものではないと思います。

Ernest Greenはミシガン州立大に進み、学士号、修士号を得て、カーター政権下の雇用促進機関で働き、NAACPの幹部となり、現在は金融関係の重役として勤務しているそうです。

(August 17, 2002)





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