公開：October 04, 2002
監督：Brett Ratner
地域：フロリダ州、アラバマ州、ジョージア州
出演：Anthony Hopkins、Edward Norton、Ralph Fiennes、Harvey Keitel、Emily Watsonほか
範疇：原作もの、犯罪、 ホラー、スリラー、FBI

私の評価 ：☆☆

【Part 1】

原作はハンニバル・レクター博士が登場する最初の小説。'The Silence of the Lambs'『羊たちの沈黙』(1991)はこの小説の続編の映画化です。数年前に読んだ記憶では、ハンニバル・レクターは捜査にヒントを与えるだけの単なる傍役でした。この映画ではハンニバル・レクターを演ずるAnthony Hopkins（アンソニイ・ホプキンス）を看板にしてお客を集めなくてはならないので、苦心して彼の出番を増やしているようです。

1980年、いい席でオーケストラの演奏を聴くAnthony Hopkins。その夜、彼の家にオーケストラの理事たちを招いて晩餐会。女性理事長が「これは何のお肉？」と聞くが、「まあ味わってみて下さい」と受け流す。

夜更け、晩餐会を終えたAnthony HopkinsのところへFBIエージェントEdward Norton（エドワード・ノートン）が訪ねて来る。彼はしばしば難事件解決のヒントをAnthony Hopkinsから得ていたのだった。折しも、殺害した人間の肝臓、腎臓などを切り取って持ち去るという猟奇的事件が相次いでいた。犯人は明らかに人間の一部を食しているのだ。Anthony Hopkinsが席を立った時、Edward Nortonがふと手にした古書には、明らかにAnthony Hopkinsが人肉を食べている証拠があった！突如、Anthony Hopkinsが襲いかかりEdward Nortonにナイフを突き立てる。Edward Nortonも反撃し、どちらも重傷を負って相打ちとなる。

メイン・タイトルの背後でその後の経過が示される。Anthony Hopkinsは有罪となり、狂暴犯専門の牢に入れられる。Edward Nortonも一命を取り留め、ヒーローとして賞賛された後、FBIを去りフロリダで妻と幼い息子と暮していた。

数年後、フロリダに甞てのFBIのボスHarvey Keitel（ハーヴェイ・カイテル）が訪ねて来る。アラバマ州バーミングハムとジョージア州アトランタで起きた家族惨殺事件について、意見を聞かせてくれとの頼みである。渋る妻をなだめ、Edward Nortonは両事件の現場を見る旅に出る。

その頃、古い豪邸に一人で住む男Ralph Fiennes（レイフ・ファインズ）は、同じ会社に勤める盲目の女性Emily Watson（エミリィ・ワトスン）に心惹かれるものを感じていた。Emily Watsonが優しく清々しい性格なのに比べ、Ralph Fiennesは言葉少なで暗い陰を持っていた。

二つの家族惨殺事件の類似性と犯人の執着の特異性を見極めたEdward Nortonは、ボルチモアの監獄にAnthony Hopkinsを訪ね、昔のようにヒントをくれと頼み、一件書類を渡す。Anthony HopkinsはまだEdward Nortonを怨んでいて、「あんたは俺を恐れている」と恫喝する…。

前作'Hannibal'『ハンニバル』(2001)よりは格段に優れています。あそこまで劇画のようなグロさはありません。中盤までの推理もの的緊迫感はなかなかのものです。

演技陣の中で最も際立っているのは盲目の女性を演ずるEmily Watsonです。宙を見つめて、表情を飾らないで無心に話す障害者を見事に演じています。アカデミー助演女優賞を上げたいと思いますが、どうでしょうか。他の役者たちは、可も無く不可も無し。

なお、この原作は'Manhunter'『刑事グラハム／凍りついた欲望』(1986)として一度映画化されていますが、製作者たちはAnthony Hopkinsで三部作をまとめたかったのだそうです。

(October 15, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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