【Part 2】
ほとんどロケ・セット(日本の不思議な業界用語で、セットではなく実際の建物などで撮影すること)らしく、安アパートの場面などでは音がこもって台詞が聞き辛い。アテレコなどという文字は、この監督の辞書にはないのでしょう。刑務所のシーンもマイク・アレンジが難しかったようで、画面奥にいる人物の台詞はよく聴き取れません。
そういう難点を除けば、撮影は非常に綺麗でシャープ(ピントが合っているというのではなく、切れ味がいいという意味)。白黒撮影の良さが味わえます。一点だけ文句をつければ、ボート小屋でローソクを点けると、500Wのライトが点灯したように明るくなります。これは無茶苦茶です。
刑務所の壁にチョーク(のようなもの)でRoberto Benigniが「窓」を作るアイデア、一面に藻が浮いている水路でボートを漕ぐシーン、二股の道でJohn LurieとTom Waitsが別れるラスト・ショットなどが秀逸。
(May 01, 2003)