[Poison] Down in the Delta
(未)

【Part 2】

シカゴでの家族の荒れた生活は凄まじいので、よくまあ素直にミシシッピへ行くことに同意したものだと思います。あれだけアルコールに溺れていたのに、ミシシッピへ来てからは全く苦しむ様子もなく、飲酒から遠ざかっています。麻薬(マリファナ)も欲しがりませんし、苦しみもしません。この辺は大きな疑問点です。

燭台の話が度々出て来ますが、南北戦争の時に見つけた燭台が奴隷売買の時にも出て来るというのは、時系列に関する大きな疑問です。

アルツハイマー患者の面倒を見ている黒人女性が「私の家にステーキ食べに来ない?」と誘います。彼女の家をAlfre Woodarが誉めると、「これは'Habitat of Humanity'が作った家なの」と云います。'Habitat of Humanity'は、政府が運営しているHUDと同じで、年間収入が一定水準以下(一家四人の場合$30,900.00以下)の人に新築の家を格安で提供する非営利団体です。ヴォランティアが力を合わせて作ります。カーター大統領は'Habitat of Humanity'のヴォアランティアの顔となっています。この女性は公認の低収入者ですから、いくらチキン攻めにあっているAlfre Woodarを可哀想に思ったからといって、そう親しくもない彼女と息子にステーキを御馳走しようというのは、一寸無理があるような気がします。日本よりアメリカの肉は安いとは云え、ステーキが御馳走であることに変わりはありません。

一つの映画の中で人間が変貌するというのは、最も見応えのある要素です。大団円にするために取って付けたように処理されることがままあります。この映画では、伯父がアルツハイマーの妻をいたわる様子、伯父のAlfre Woodard親子への優しい対応などと、Alfre Woodardがいくつかの出会いや事件によって何かを学ぶ様子が描かれているので、それらによって起る変貌はまずまず納得出来ます。

ミシシッピの田舎の素朴で美しい風景が出て来ます。ロケ地はどこだろうと思ってクレディットの最後まで見ていると、何とカナダのオンタリオ州で撮影したんだそうです。一杯食わされました:-)。

まるで、そこで映画が終るのか?というような長いフェードアウトが出て来ます。編集者も監督もそれでいいと思ったとすれば、まだまだ修行が足りないようです。

(March 4, 2001)





Copyright (C) 2001-2011    高野英二   (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.