[Poison] What the Deaf Man Heard
(未)

【Part 2】

しかし、聾唖者のフリをして聞き耳を立てているというのは一種のピーピング・トムで、これはあまり好感が持てません。特に、世話になったTom Skerrittやカフェの女主人を20年も騙し続けるというのは、一寸どうかと思います。一応Tom Skerrittは愕然とし、騙されたショックを隠しませんが、それでも怒り狂うほどではありません。カフェの女主人などは全く平然と事実を受け入れます。随分、人間が出来ています。

このお話は母親がいなくならないと始まらないわけですが、強姦されて殺されてしまうというのは、「心暖まるTV映画」シリーズとしては随分暗いですね(まあ、暴行される描写は出て来ませんが)。しかし、トイレ・タイムにダンスをするなどという浅はかな女性とはいえ、どうして飲み物を男の顔にぶっかけるとか叫ぶとか、蹴飛ばすとかしなかったんでしょう。やかましい音楽が鳴っているとはいえ、10組以上のカップルがいるわけですから、誰かは気付いてくれそうなものです。

Frankie Munizは母親に取り残された少年として、暗い顔つきで通しています。全くかわいげがありません。彼が成人すると、Matthew Modineは始終うすら笑いを浮かべる演技に変わります。知恵遅れの人間と間違えているフシもあるような…。

最後にSammyはバスで旅立ちます。金持ちの家の養女が車で彼を追いかけ、バスを停めて乗り込み、Sammyと結ばれることを暗示してエンド・マーク。パチパチ。しかし、乗り捨てた車はどうするんでしょう?オープンカーですよ、それも。雨が降ったら、中は水たまりとなるだろうし、第一盗まれ易いでしょう。金持ちだから車の一台なんか、どうでもいいんでしょうか?一生の大事の前に車のことなんか気にしていられるか!でしょうか。貧乏性の私には信じられません。

後半は面白くないこともないのですが、私には親切な人々を騙す行為が許せませんし、紙芝居のような物語と人物描写で、非常に軽い印象を受けました。

(April 29, 2001)





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