[Poison] A Murder of Crows
『コンフェッション』

【Part 2】

Cuba Gooding Jr.が填まった罠は、「書いたのは俺ではない」と白状しても、老教師がタイプしたオリジナルは既に焼却してあり、老人も死んでいて何の証拠も無く信じて貰えないこと。名声にしがみついて、あくまでも「自分が書いた」と云い張れば殺人罪で監獄行きとなり、名声も全く意味が無くなること。そこで'The Fugitive'『逃亡者』のように、自分で身の証しを立てねばならなくなります。

しかし、彼の逃亡生活は相当いい加減です。新星ベストセラー作家として様々な雑誌の表紙を飾ったわけですから、彼の顔はリチャード・キンブルより数十倍有名の筈です。その彼がトレードマークの髭も剃らず、変装もせず、白昼のニューオーリンズで路面電車に乗ったり、警察に行って書類を盗んだりさえするのです。こんなのありでしょうか。

結局、真犯人は老教師に化けた若い大学教授であったことが分ります。この男は演劇を教える教授なので、お手のもののメーキャップで老人や警官に化けていたのです。どうりで、釣りをする時の老人の顔が一度もアップにされなかったわけです。普通、登場人物は登場直後に少なくとも一回はアップになるものです。この映画ではずっとウェスト・サイズのままで、顔がよく見えませんでした。ひどい老けのメーキャップなのでアップに出来なかったようです。

冒頭でニューオーリンズの祭マルディ・グラが出ますが、後はあまりニューオーリンズ現地ロケの魅力が発揮されません。一応、ニューオーリンズらしい背景は選択されてはいるものの、あまり動きのないワンカットずつであり、躍動していないのです。勿体無いことです。

録音が酷い。音がこもって、よく聞き取れません。ヴィデオだけの問題なのかどうか。

Cuba Gooding Jr.もTom Berengerも一応真面目くさってやっていますが、脚本・監督が悪いのでどうしようもない感じ。特にTom Berengerは何の見せ場も無いまま死んでしまいます。

警察署内の取り調べ室でCuba Gooding Jr.とTom Berengerが煙草を吹かし、二人で無言のうちに灰皿の取りっこをします。あんなのを演出だと思ってるんでしょうか。高校生が作る映画だって、もっとマシでしょう。

邦題『コンフェッション』(告白)は、映画全体がCuba Gooding Jr.のナレーションで一貫していることに由来します。しかし、いまどきナレーションで物語を進めるというのは、非常に古臭い。それゆえに、何故かダラダラと進展する感じです。

(November 01, 2001)





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