【Part 2】
祖父が元大佐、Shirley Templeも名誉大佐というのは、よくもまあこじつけたものです【註】。しかし、名前だけではなく、それが物語に反映しているので許せます。Shirley Templeは黒人の少女とその弟を率いて軍隊風に行進します。祖父は南軍風に敬礼し、孫娘は北軍風に敬礼します。二人が軍人将棋を始める時、祖父が「お前は北軍だ」と云うと、「嬉しい。勝つ方ね!」と応じて祖父をくさらせます。大団円ではShirley Templeが一家を救ってくれた祖父に敬意を表して、南軍風に敬礼します。
【註】研究社の『リーダーズ英和』によれば、「Colonel: 連隊長、大佐(米国南部・中部の州が与える軍と関係のない名誉称号)」とあります。二人ともこれに該当するのかも知れません。
執事役のBill "Bojangles" Robinsonはタップ・ダンスばかりでなく、Lionel Barrymoreとの絡みで軽妙な芝居も披露します。脚本の良さに助けられている感じもありますが。
黒人たちが川で洗礼を受けるシーンが出て来ます。ここだけ絵のように天国的に描かれているのが珍しい。最近は教会の中で大きい浴槽のようなプールを置いて全身を浸かったり、単に洗面器のようなものに顔を浸すだけというところが多くなり、川での洗礼は珍しくなったようです。
(April 25, 2003)
【Part 3】
当地の新聞に毎週一回掲載される'World of Wonder'という一ページ大のシリーズの、2010年8月18日の記事にShirley Templeが特集されました。その一項はBill "Bojangles" Robinsonに関するもので、以下のようなものでした。
「Bill "Bojangles" RobinsonはしばしばShirley Templeと共演し、いいお友達になった。二人はいくつかの映画で一緒にダンスをし、彼はShirley Templeのダンスの指導や振り付けも行なった。彼が黒人であったため、二人のダンスは当時議論の的となった。アメリカ南部のいくつかの都市では、二人が手を繋ぐシーンはカットされて上映された」
呆れますね。しかし、当時のアメリカ南部では、黒人は白人と目と目を合わせてはいけない(目を伏せていなければならない)ほどだったそうですから、たとえ子供が相手でも手を繋ぐなどもってのほかだったのでしょう。
(August 18, 2010)