[Poison]

Cold Sassy Tree

(未)

【Part 2】

Richard Widmarkはいつものような(若い頃と変わらない)演技で、その点では安心して観ていられますが、彼のイメージは「女が傍にいないと生きていられない」というような女々しいものではないので、かなりギャップがあります。「そのギャップが面白いではないか」というのが製作者たちの云い分かも知れませんが、しかし、長年にわたって作られた役者とその役柄のイメージというものは、そうコロッと変わるものではありません。やはり、配役に問題があったような気がします。

Faye Dunawayは可もなく不可もなし。引っ越してきたばかりの家のピアノで、剽軽な歌をがなり立てますが、ここだけ何故か軽薄で「(年寄りをたらしこんで)やったぜ!」というように見えて、他の場面とのバランスが取れていません。

全体に脚本の一本調子の芸の無さが映画を退屈にしています。妻亡き後たった三週間で再婚するという老人の姿は、その前段がある本の読者には理解出来るのかも知れませんが、映画ではいかにも唐突です。また、愛も恋もなく、家屋敷目当てに後妻に入る女性という存在にも共感が湧きません。つまり、主役の男女どちらにも感情移入出来ない。これは困ったものです。

老人の娘たちの抵抗、スキャンダルを好み、他人の噂に余念のない婦人たち…というのもクリシェです。語り手である14歳の少年の視点というのも活きていません。

音楽もひどい。TV映画としてもかなり落ちる部類ですね。撮影は悪くないので、非常に残念です。

(March 22, 2003)





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