公開：1966
監督：Arthur Penn
地域：テキサス州
出演：Marlon Brando、Jane Fonda、Robert Redford、E.G. Marshall、Angie Dickinson、Robert Duvallほか
範疇：原作もの／戯曲の映画化／ドラマ／逃亡囚／暴徒

私の評価 ：☆

【Part 1】

テキサス州。Robert Redford（ロバート・レッドフォード）はもう一人の囚人と一緒に脱獄した。車を手に入れるために、通過する車を止めて強奪しようとするが、何と相棒は車の主を殴り殺し、さっさと車を盗んで一人で逃げてしまう。

Robert Redford脱獄の報は、彼のホームタウンのシェリフMarlon Brando（マーロン・ブランド）の耳に届く。そしてすぐ町中に知れ渡る。

Robert Redfordの幼馴染みで石油成金E.G. Marshall（E.G.マーシャル）の息子James Fox（ジェイムズ・フォックス）は、Robert Redfordの妻Jane Fonda（ジェイン・フォンダ）に惚れていた。彼女も彼が好きで、毎週土曜日はモテルで一夜を明かしていた。

E.G. Marshall経営の銀行の副頭取の一人Robert DuvallがシェリフMarlon Brandoを訪ねる。彼は「二人で感化院にいる頃$50.00失くなったことがある。盗んだのはRobert Redfordではなく、俺だ。彼が刑務所に行く前、俺の妻がそれを彼に漏らしたらしい」と告白する。彼はRobert Redfordの仕返しを恐れていた。Robert Redfordが戻って来て困る連中が一杯いるわけだ。

今日はE.G. Marshallの誕生日。豪邸で盛大なパーティが行なわれる。空からはヘリコプターが"Happy Birthday!"のバナーをたなびかせてやって来る。E.G. Marshallは息子James Foxとその妻の間を心配して、無理矢理一緒に踊らせる。しかし、Jane Fondaに御執心の彼の心は冷たいままだ。

一方、Robert Duvallの家で銀行員一同がパーティを開いている。Robert Duvallの妻Janice Rule（ジャニス・ルール）は銀行のもう一人の副頭取Richard Bradford（リチャード・ブラッドフォード）と大っぴらに戯れ、彼の妻Martha Hyer（マーサ・ハイヤー）は自棄で酔っ払ってRobert Duvallを追い回す。

Robert Redfordは町に近づき、町外れの廃車置き場に住む黒人に妻Jane Fonda宛の「金と着替えが要る」というメッセージを託す。ある目撃者の報で、Robert Redfordが町にいると分り、シェリフMarlon Brandoはパトロールを開始する。Robert Redfordの母は、明日は家を売って$5,000作り、息子の弁護士費用に充てることを決意する。

パーティの酔客達はRichard Bradfordを中心に暴徒化し始める。彼等は黒人を数人捕まえるが、その都度Marlon Brandoが現われて助ける。黒人の一人はJane Fondaに会いたがっていた。Marlon Brandoは二人を会わせ、Jane Fondaに「一時間、時間をやる。彼を連れて来たら、身の安全を保証する」と約束する。息子の身を案じるE.G. Marshallも黒人に会いたがるが、Marlon Brandoが拒絶すると、Richard Bradfordら数人がMarlon Brandoを押さえつけ、殴りかかる…。

'High Noon'『真昼の決闘』(1952)を引っ繰り返したような映画。あちらは町中がシェリフに背を向け、孤立無縁のシェリフが悪党どもの到着を待ちます。こちらは仕事であるシェリフを始めとして、町中が利害やリンチへの興奮から脱獄囚を待ち受けます。どちらも、ターゲットが刻々と近づいて来るスリルとサスペンスが特徴です。

Marlon Brandoはまだスマートな体型で真面目に芝居をしています。ただし、台詞は既にこもりがちとなっており、非情に聞き取りにくい。叩きのめされた後のメークがよく出来ています。彼の妻をAngie Dickinson（アンジー・ディキンスン）が演じます。

どこにでも顔を出すお節介な土地周旋屋の男の妻は、Marlon Brandoの実姉Jocelyn Brando（ジョスリン・ブランド）。

Robert RedfordもRobert Duvallも、これがデビュー後五作目。二人とも若く、シャープな印象です。Robert Duvallは早くも禿げ上がっているのが目立ちます:-)。

Jane Fondaは'Cat Ballou'『キャット・バルー』(1965)に主演した翌年ですから、演技も堂々たるものです。James Foxには心引かれながらも、Robert Redfordへの愛を貫くストレートさをうまく表現しています。台詞廻しが早過ぎる傾向がありますが。

James Foxは後年'The Remains of the Day'『日の名残り』(1993)でイギリスの旧家の主人を演じました。ここではRobert Redfordと競う若い二枚目。

音楽はJohn Barry（ジョン・バリー）、タイトル・デザインはMaurice Binder（モーリス・ビンダー）という007シリーズのコンビ。しかし、007で精力を使い果たしているのか、目立った成果はありません。

もとは脚本家Horton Foote（ホートン・フート）が自分の小説を舞台劇にしたものをLillian Hellman（リリアン・ヘルマン）が脚色。この映画に触発され、Horton Footeは再度小説をリライトしたそうです。ちゃっかりしています。なお、原題'The Chase'というのが「追跡」と思うと当てが外れます。みんなでRobert Redfordがやって来るのを待っているだけで、誰も追跡などしません。"Chase"には「獲物」、「狩り」という意味もあるので、どうやらこちらのようです。

(September 17, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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