【Part 2】
映画として最大の難点は、登場人物の誰にも共感を抱けないこと。Gene Hackmanが人殺しであることは間違いないし、彼の娘でChris O'Donnellの伯母にあたるFaye Dunaway(フェイ・ダナウェイ)も、長年父の殺人行為を知っていて隠して来た経緯があり、この人にも同情出来ない。何よりも、Faye Dunawayはもう美女ではなく、美しく老いた女性でもなく、いささか気味が悪い容貌の時期で、正視するに耐えない。
Chris O'Donnellには血の繋がりしか、祖父を助ける理由が無い。親近感も何もない。観客が共感すべき唯一の人物なのに、彼の行動を応援するまでに至らない。一つには、Chris O'Donnellという俳優が表面的にクールで人間臭さを感じさせないことも災いしているように思う。
謎解きもさほど重きをなしていず、アクションも全く無く、刑務所で祖父と話をするシーンがやたら長い。
原作者John Grishamの多数の著作の中では、悪党を助けようという一風変わった一作で、小説のファンにはこの変化球が喜ばれたかも知れませんが、この映画を単独で観た場合、後味が悪いだけで何の感動もありません。「ミシシッピ州もこうして変わるのか」という程度の感慨だけ。
以上が☆一つの理由です。
(February 14, 2001)