[Poison] Belizaire the Cajun
(未)

【Part 2】

これがこの脚本家兼監督の長編劇場映画第一作のせいか、場面の長さ等がアンバランスな部分が散見されます。例えば、馬でテキサスに逃げるMichael Schoefflingと追っ手の描写。これが延々と長い。主人公でもなく、どうせ捕まるだろうと予測されるのに、これでもかこれでもかと逃避行を見せます。これが唯一役に立っているのは、湿地帯の美しい景色が観られることぐらい。しかし、苛々させられるのでメリットも帳消しですが。

Armand AssanteがWill Patton殺しの犯人と目されて、シェリフら一行が自宅へ逮捕に押し寄せた際、彼は家の一階と二階の内外を使って逃げ回ります。ドアや窓に鍵を掛けるので、家に火をつけられるだろうと冷や冷やします。家から離れようとしないArmand Assanteが馬鹿に見えます。その挙げ句、Armand Assanteは屋根に逃げようとするのです。どんな映画だって上に昇り始めたらお仕舞いです('Spiderman'を除く)。逃げ場がないわけですからね。この辺の脚本はお粗末です。

上のサイレント喜劇風追っかけっこの際、「逃げろ」と警告に来たヒロインGail Youngsは、Armand Assanteによて家の外のトイレに押し込まれ(隠され)ます。日本の田舎にも似たような小屋はありますが、一寸デザインが違うのでトイレとは思わない方もいるだろうと思い、書き添えておきます。ドアに明かり取りと臭気抜きのための穴がありますが、月の形が一般的で、すぐそれと分ります。

なお、Gail Youngsはいい役者ですが、私に云わせればちと色気に乏しく、Armand Assanteが十数年も恋い焦がれるような女性に見えません。

山場の絞首台シーンは圧巻ですが、何よりも首に縄をかけられても高笑いするArmand Assanteの人物像が破天荒です。こういう人物と場面を作り出した才能には脱帽です。Armand AssanteはGail Youngs母子の協力で、彼の薬草や服み薬などを持って来て貰い、野次馬へ只で配ることにします。歯茎にいい薬とか馬にいい薬とか、妊娠し易くなる薬とか、とりどりです。彼は、この店仕舞い大サーヴィスによって野次馬の共感を得ます。最後に彼が取り出したのが、触ればたちどころに死ぬという呪いの品。彼はこれを台上のシェリフや黒頭巾で顔を隠した死刑執行人などに向かって突き出し「ほれ、触れ、触れ!」とふざけます。最後にその品を悪役Stephen McHattieに向かって放ります。Stephen McHattieはビクっと飛び退りますが、野次馬が彼を押しやるので揉み合いになります。Armand Assanteは「触れ!触れ!」と連呼し、野次馬も連呼を始め、ついにはStephen McHattieの妻と義父まで連呼を始めます。この辺がまたまた破天荒。

Will Patton殺しの真犯人Stephen McHattieは馬で逃走しようとしますが、Armand Assanteが首にかかったロープの長さを利用してジャンプで蹴飛ばし、Stephen McHattieはシェリフと死刑執行人によって捕らえられます。しかし、ジャンプしたArmand Assanteは自ら絞首刑を執行した形になり、死にかけてしまいます。タイヘーン!それを下からGail Youngsが支えて…というてんやわんや。これまた破天荒。

観終わった後、巨大なステーキを食べたような気になります。メニュー(スタッフ、キャスト名)を見ただけでは、それほど高級な肉でもなく、旨そうにも見えなかったのに、食べてみると結構ヴォリュームがあって「しばらくステーキはいいや」という気になるような感じ。

(March 27, 2007)





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