[Poison] I Know Why the Caged Bird Sings
(未)

【Part 2】

4歳から10歳過ぎ迄二親無しで過ごしたので、兄妹は「両親は死んだ」と思っていました。そこへ両親から突然クリスマス・プレゼントが届いたりしますが、二人ともプレゼントを粉々に壊すのが凄いですね。「どうして、私達を捨てたのよ!」という怒りです。

喋らなくなったMayaの口を開かせる女の先生が素晴らしい。「いい本を貸して上げる。『二都物語』って云うの。最初のところを読んでみましょうか?」Mayaが頷くので、先生は冒頭の一節を音読します。「こういう素晴らしい文章は朗読に相応しいの。言葉を愛する人は一章を自分の声で朗読するのも好きな筈よ」と云います。その晩、Mayaはいつの間にか本の一節を朗読し始めます。祖母は久し振りのMayaの声にびっくりしますが、何も云わずに喜びを噛みしめます。いいシーンです。

校長が「もう"Negro National Anthem"(黒人の国歌)は歌えない。白人と同じ"Star Spangled Banner"を歌うように」と云い渡します。卒業式で白人の来賓が退屈で旧弊な挨拶をします。彼が去った後、卒業生総代の答辞に立ったMayaは「来賓は私達女性は炊事や洗濯が上手になるようにと云いましたが、私はそんなつもりはありません。だからこそ職業訓練校に行くのです」と宣言し、なおかつ"Negro National Anthem"を歌い出します。校長は「おいおい、それは禁止されたんだ」と慌てますが、Mayaの兄が立ち、Mayaの大好きな先生が立ち、生徒全員が起立して歌い出すに及んで、ついに校長も唱和を始めます。

この"Negro National Anthem"とはフロリダ州の学校の先生・詩人のJames Weldon Johnsonが作詞し、彼の兄弟のRosamondが作曲した'Lift Ev'ry Voice and Sing'のことで、次第に「黒人の国歌」として広まったものです。

映画は中学卒業で終っていますが、原作'I Know Why the Caged Bird Sings'は後に母親と共にサンフランシスコで暮すようになり、16歳で未婚の母となる顛末まで含まれています。この本はアメリカの学校の英語の副読本に指定されていましたが、レイプ・シーンなどが中学生には相応しくない内容だという批判が父兄から出たそうです。

(May 23, 2001)





Copyright ©  2001-2011   高野英二  (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.