[Poison]

Blues Brothers 2000

『ブルース・ブラザース2000』

【Part 2】

なんで黒装束なんでしょうかね?アメリカのお葬式に詳述しましたが、私の義理の父の葬式でさえカミさんから「喪服は着るな」と云われたぐらいですから、参列者のほとんどは平服です。黒装束は葬儀屋だけ。'Men in Black'も葬儀屋。葬儀屋ってカッコいいんですかね:-)。

前作もこの続編もブルース・ブラザースの歌と踊りは決して上手いとは思いませんが、コミカルな振り付けに救われて「ようやるわ」と感心せざるを得ない出来にはなっています。ごく一部だけは臆面もなくミュージカル風に仕上げていて呆れさせてくれます。

とにかく破茶滅茶もここまでやられると文句のつけようがありません。「もう常識なんかどうだっていいんだかんね」的開き直りで、窓を閉めた自動車で川底を走って無事対岸に上がるなんて凄い。窓の外を海の魚みたいのが通過したりして…。ただ、ヴードゥーで悪党どもを鼠にしてしまうなどというのは反則です。これでは破茶滅茶を通り越してお伽話、子供騙しの域に惰してしまい、脚本家たちのアイデア不足を露呈するものです。

この映画で残念なのは、前作でJohn Belushiの婚約破棄を怨んで、彼を殺そうと数々のテロ行為を平然と繰り広げたCarrie Fisher(キャリー・フィッシャー)がいないこと。彼女のテロ行為も破茶滅茶で好きでした。この映画のロシア人マフィアなど、足元にも寄れません。

イリノイ州警々視長Joe Mortonが神の啓示を受け、彼も黒装束のブルース・ブラザースのリード・ヴォーカルになっちゃいます。いつ、そうなるのかと期待していましたが、なかなか説得力のある(?)手法で歌と踊りの人生に目覚めます。

Joe Mortonが啓示を受けるのはリヴァイヴァル会場に於てです。リヴァイヴァル(伝道集会)というのは、教会が週日に何日か続けて行なう集会です。狙いは新しい信者を集めることとドネーション。私が知っているのは黒人が多い教会ですが、何と三ヶ月に一遍ぐらいリヴァイヴァルを行ないます。やはり映画のようにテントを張った会場で、特別ゲスト(説教師)を呼んだりして、普段の日曜の礼拝よりも熱狂的な内容になると聞きました。Joe Mortonが目覚めるのは、やはりリヴァイヴァルでなくてはならないのです。

リヴァイヴァルではありませんが、黒人主体の南部の教会の凄さを書いたリポートがあります。是非、御覧下さい。

前作と較べてどうか?ですが、これは難しい。私はJohn Belushiの顔、体型が嫌いなので、その点はこちらの方がいいと思います。どんな映画も一作目はパワーが満ち溢れていて、二作目はちんまりとなるものですが、このシリーズにも同じことが云えます。破茶滅茶ではあっても、一作目のように「どうなっても知らん!」という無責任さがなく、パワーに欠けます。お伽話、子供騙し的エンディングも気に入りません。「もう一度観るとしたら、どちらを選ぶか?」という質問なら、「どちらも、一度で沢山」と答えます。そういう意味では引き分けですね:-)。

(September 10, 2002)





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