[Poison] Biloxi Blues
『ブルースが聞こえる』

【Part 2】

もともと舞台劇だけあって、アクションに富んだ内容ではなく、気の利いた台詞のやりとりがメインです。しかし、映画にしか出来ないタイトル・バックとエンディングの列車の撮影は素晴らしい。

窓ごしのMatthew Broderickの横顔からズームバックし、鉄橋の上を走行中の列車になります。画面は次第に上昇して列車全体を捉え、なおかつどんどん俯瞰になって行きます。私もヘリコプター撮影は何度も経験していますが、こういう撮り方は頭の中では簡単であるものの、実際にはその日の天候(風、気圧、湿度)などによっては非常に困難になる場合が多いのです。上空にガスがかかってない透明な日でないといけません。少しでも風があると、ヘリがスムーズに上昇出来ません。気圧によっても上昇に時間がかかります。上に記したように上昇するには、かなり馬力のある大型ヘリでないと無理でしょう。また、ヘリのパイロットも経験を積んでいないといけません。ヘリの振動を軽減するスタビライザーのいいものを揃えるのは大前提です。列車の機関士にも一定のスピードを維持して貰う必要があります。何度、テストと本番を繰り返したのか分りませんが、鉄橋の上で蒸気機関車を行ったり来たりさせたであろう苦労と忍耐を思うと、映画に使われたテイクの成功を祝福しないわけには行きません。

ついでですが、エンディングのエア・ショットの前のMatthew Broderickのショットは座席が変わり、飛んで行く背景も方向が違います。映画の最初に使う予定だったショットを、エンドに使い回しした結果のミステークです。

(January 19, 2002)





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