[Poison]

Big Fish

『ビッグ・フィッシュ(原題)』

【Part 2】

私がこの映画を評価するのは只一点、息子が父の最期を父の語り口を使って喋り、それが実際の映像として描かれるシーンによるものです。息子が父親を抱き抱えて川辺に行くと、父が語り聞かせてくれた人物たちが全て(100人ぐらい)集まっていて、別れを惜しみます。死ぬ時にこういう風になればいいなあという願望が、そのまま表現されたような場面です。

私は親しかったアメリカ人(67歳)を最近病気で失ったばかりで、いささか死というものを考えざるを得ない心境なのですが、この'Big Fish'は多少なりとも死の間際のポジティヴな面を見せてくれたという感じがします。

映画では駄目押しで、父親の葬儀にも同じ人物たちを総登場させます。これは「やはり父の話は本当だったのだ」と息子に納得させるためのようですが、ここまでやる必要があったのかどうか。息子が描写した川辺での彼らとのお別れは、父への最後の贈り物として口からのでまかせだったとしても、しかし、息子はそれを父の脳髄からのテレパシーとして現実に見たと確信する、それを妻や母親に熱っぽく伝える…というような手法でも良かったような気がします。今度は彼がホラ話をしているように、周囲から眉に唾されるとか。

水底に沈んだ自動車が、次の場面で大木の上に引っ掛かっているという状況が、よく解りませんでした。

(January 29, 2004)





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