Golf Tips Vol. 91

ハングリー精神に目覚めよ

攻撃的ゴルフで有名なGreg Norman(グレッグ・ノーマン)の檄文。

'Shark Attack!'
by Greg Norman with George Peper (Simon & Schuster Inc., 1988, $12.95)

「ショートゲームではハングリー精神を持て。カップの底を求める飢えを感じなくてはいけない。

性差別を犯す危険を承知で私の印象を述べよう。PGAツァーにおいては10人が10人、攻撃的にカップをアタックする飢えを見せる。LPGAツァーにおいては、10人中9人にはそれがない。女子プロのスコアも男子のそれと変わりはないのだが、LPGAツァーのプロが最終日の最後のいくつかのホールをバーディで飾って優勝したことが何回あるだろう?稀だ。LPGAツァー・プロ同士のサドン・デス・プレイオフで、優勝を決めるスコアは何か?バーディ?大体においてパーだ。時としてボギーで決まることさえある。男子の場合は短いショットを常にカップ周辺に乗せるのに対し、女子は常にショートする。Nancy Lopez(ナンシィ・ロペス)のようなスターはピンを狙うガッツがあるから抜きん出ているのだ。【編者註:Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)のLPGAデビューは1994年であり、この本は1988年に出版されていることに注意】

残念なことに、大方のアマチュアはPGAツァー・プロに似るのではなく、LPGAツァー・プロに酷似している。30フィート(9m)のパットに挑戦する時は、アマチュアでさえそれを成功させることを考えるかも知れないが、彼らが同じ30フィートのチッピングに直面すると、単なる寄せワン願望に堕してしまう。あなたもこういう手合いの一人なら、その考え方を変えるべきだ。

短いショットにおいては、あなたもPGAツァー・プロも同じ土俵の上なのだ。あなたは私と同じ距離にティー・ショットを放てず、アイアン・ショットも私のようにグリーンで停止させられないかも知れない。しかし、ことチップ・ショットともなれば、あなたと私が拮抗出来ない理由は存在しない。

あなたに必要なのは、正しい態度、正しい焦点だ。私がティー・グラウンドに立った時、私のゴールはフェアウェイの40ヤードの幅である。長い第二打を打つ時、私はプールのサイズをターゲットとして考える。しかし、いったん残り100ヤード以内となったら、私のターゲットはただ一点、あの丸い小さな穴となる。このような焦点を持つべきだ。それがシャープなショート・ゲームへの第一歩なのだ」

(April 01, 2005)


指導者を見分ける

'Why equipment doesn't matter,' a part of 'Breaking 90 with Johnny Miller'
by Frank Hannigan (Callaway Editions, 2003)

「あなたの先生が、あなたのスコアを良くするにはショートゲームだけを教えるのが目下の仕事であると信じているなら、あなたには希望がある。先生が一回でもあなたに大きいクラブを打つことを勧めるようであれば、直ちに“離婚”して別の先生を探すべきだ」

(April 01, 2005)


ペテン師型ゴルファーと見栄坊型ゴルファー

"sandbag"(サンドバッグ)とはボクシングの練習用の袋です。私はゴルフ用語の"sandbagger"とは、賭けゴルフで一人負けするような下手っぴのことかと思っていましたが、大間違い。カードゲームだと"sandbag"は「強い手を持っていても先ず相手に賭けさせて一杯食わす」という意味だそうで、ゴルフになると「不正なハンデを得るため、わざと実力を発揮しない」ということだそうです。"sandbagger"は、そういうペテン師型のインチキ野郎というわけです。一方、見栄坊型はロー・ハンデを自慢したいため、悪いスコアを登録しない人々です。

'How to detect a sandbagger or a vanity handicapper'
by Dean Knuth ('Golf Digest,' August 2003)

筆者のDean Knuth(ディーン・ヌース)は、以前16年間もUSGAのハンディキャップ担当だった人。

「ゴルファーの1〜2%がペテン師型ゴルファーだ。約10%が見栄坊型。ペテン師型は悪いラウンドしか登録しないか、もしくはラウンド終了間際にいくつかのホールでわざと大叩きする。トーナメントでは、彼らは自分のハンデよりいいプレイをする。反対に見栄坊型はいいスコアしか登録しない。

二つの中ではペテン師型の方がタチが悪い。自分の利益の為にハンディキャップ・システムを操作しているからだ。見栄坊型は単に妄想に浸る楽天家に過ぎない。

見栄坊型ゴルファーは「珍しく悪いデキだ」とパートナーたちにしょっちゅう詫びる。彼は『最近低調なんだ』とか、『クラブを換えたばかりだ』とか、『スウィングを改造中なんだ』とか云い訳をする。男性の典型的見栄坊型ゴルファーは、シングルのハンデを持っていて15相当でプレイする。

ハンデ16の人間が80を切る確率は1,138対1だ。大概のゴルファーが54年プレイして、やっと一回80を切れる計算になる。さらにもう一回80を切れる確率(生涯二度目)となると14,912対1である。これは並のゴルファーであれば710年プレイしてやっと到達出来る境地である」

(April 03, 2005)


アメリカの平均的ゴルファー

'Equipment Testing'
by Ryan M. Noll ('Golf Tips,' Nov./ Dec. 2004)

「1994年のUSGAハンディキャップの平均は、男性が16.5、女性が29.9だった。これが十年後の2004年には男性が15.2、女性が27.9となっている。これはかなりの進歩であると云える。クラブやボールの進化ほどにハンデが良くなっていないという見方もあるが、ゴルフ人口の増加が全体のハンデの平均を増やしていると考えることも出来る」

(April 03, 2005)


【その後】2013年のGHIN(Golf Handicap and Information)統計によれば、男性の平均は14.3、女性は26.5であると、'Golf Digest'誌が報じている。

(January 01, 2017)


[Ohio] オハイオのゴルフ

オハイオ州に駐在されている山西さんからのお便りです。高級コースが多い土地柄で、頭脳プレイによって快適なラウンドをなさっておられます。アメリカでプレイする時、どなたにでも利用可能な作戦でもあります。

オハイオと言えば、ゴルファーにとっては「ジャック・ニクラス」です。彼がデザインしたMuirfield Village GC(ミュアフィールド・ヴィレッジGC、メモリアル・トーナメント開催コース)、New Albany Country Club(ニュー・アルバニーCC)やCountry Club Of The North(カントリー・クラブ・オヴ・ザ・ノース、以前のLPGAツァーの開催コース、略称CCN)などがあります。ただしNew AlbanyとCCNは似たようなホールが幾つかあり、同じ図面を使ったのでは?との噂もあります。

Firestone Country Club(ファイヤーストーンCC)も忘れてはいけません。幸い、ファイヤーストーンでのプレーは数回になりますが、スターターの親父が面白い。バックティーでティーショットの準備をしていると、
『Sir,・・・・そこから打つのですか?』
と本当に心配そうに、尋ねられました。幸い、飛距離も出てフェアウエイ・キープ。彼の心配は無くなったようです。心配な状態だと、レンジャー(プレーを円滑にするため催促する係。コース・マーシャルとも云う)に連絡することになるそうです。

以上のコースは、メンバー・コースです。要はお金持ちな方々の世界。残念ながら私はそういう世界を満喫できる部類ではありません。普段はパブリック・コースです。しかし、オハイオでは年々プレー費が上がっている感があります。新しく出来た高級パブリックはプレー費を下げてる所もありますが、平均的には1997年の赴任当時と比べると$10近く値上がりしています。

現在の一般的なプレー費(カート・フィーを含む)は、田舎のパブリックで$30前後、都会のパブリックで$50前後(高級パブリックは$70〜$100)ですが、都会のパブリックはコース・メンテの行き届いた、メンバー・コース並みの素晴らしいゴルフ場ばかりです。

冬(11月〜3月末)は、プレー費が半額以下になります。と言っても、雪が降るまでですが、この時季に私は高級パブリック巡りをします。私の住む町は、コロンバスとクリーブランドの中間にある町で、冬は0℃でも暖かい日に感じてしまい、しかもコロンバス(南に1時間)に行けば、気温はプラス温度です。勿論、本当は暖かい訳ではありませんが、十分プレーは出来ますし、運がよければ「クラブハウスは閉めるから、勝手にプレーして行け」と無料でラウンドできる事もありました。サンクスギヴィング(感謝祭)を含む4日間に4ラウンドして、トータル$25で済んだこともあります。

シーズン中もコロンバス近辺でのプレーが多いですが、予約が取り難い訳でもありません。2組以上のラウンドは、最低3日前までに予約すれば問題無いです。超人気な高級コースは1週間前予約とは言われますが、前日の夕方電話をすれば、1組位は簡単に取れたりします。キャンセルがあるためでしょう。

プレー速度が遅い日はありますが、そんな日は運が悪かったと思えるほど、渋滞はそう頻繁には起きません。最近はジュニア(kids)の大会が盛んですが、そんな時はハーフ3時間です。ただし、予約時に受付から「その時間だと、貴方の前にkidsがプレーしているから、その前にスタートする事を勧めるわ」とアドバイスが入ります。勿論そのアドバイスに従いたいのですが、お勧め時間は早すぎます(私の町からは1時間掛かりますので)。そんな日は予約をキャンセルしても「そのほうがいいわ」と商売気無しです。

オハイオでは、面白い現象が起きる日があります。週末に予約を取ってゴルフコースに向かうと、駐車場がガラガラです。受付のアメリカ人に理由を尋ねると、「今日は早い時間に、OSU(オハイオ州大)のフットボールの試合があるから」という答え。また別のプレー渋滞の日、後ろの組のアメリカ人が数ホールを残し、帰って行きます。これもOSUの試合を見たいが為だそうでした。いくらゴルフ好きでも、OSUの試合は見なきゃいけないらしいです。理由は、会社等で話題に入れなくなる!!そんな中学生のような世界があるらしいです。ジャック・ニクラスの母校もOSUですが、「オハイオ・ゴルファーの魂は、フットボールには勝てぬ」です。

(April 07, 2005)


パーオン率を上げる

方向は完璧なのにグリーンに届かない。これは口惜しい。距離は完璧なのにグリーンに乗らない。これも口惜しい。それを克服するために「飛距離を減らす」ことにしました。普通は飛距離を増すことばかり考えるのですが、コペルニクス的転回で「飛距離を減らす」のです。これは「三ない運動」(飛ばさない、寄せない、入れない)みたいな遊びとは異なり、非常に真面目で真剣なものです。

Masters(マスターズ)2005を観ていて、アイアン・ショットで目一杯のスウィングをするプロなど皆無だと思いました。私など5番アイアンで150ヤード先のグリーンに乗せるとなると、ビシーッ!あるいはバシーッ!と引っ叩かなくてはなりません。プロたちのリラックスしたショットとは大違いです。

私の二打目が乗らない原因はそんな精一杯のスウィングにあるのではないか?距離を優先したショットに堕しているから方向が定まらないのではないか?

何故、距離を優先するショットになるかと云いますと、歳のせいで以前ほど飛ばなくなっているのでしょうが、その事実を認めたくないので、昔のままのヤーデージでクラブを選んでしまうのです。盲目的に《5番アイアン=150ヤード》と考えてしまう。引っ叩けば届きます。しかし、引っ叩くことによって、手首は強ばり、リズムは乱れてプルやプッシュになったり、スウィート・スポットでボールを捉えられずショートしたりするのでしょう。

私は《5番アイアン=140ヤード》と考えるべきだと思い至りました。150ヤード欲しいなら4番アイアンを選び、プロたちのように力まないスウィングをする。実はこれは2004年2月1日に「エフォートレスに乗せる」として書いた趣旨に似ています。その記事は二つの砲台グリーンに乗せることだけを考えたものでしたが、今やアイアン・ショットの全てに適用すべき時期となったようです。

ゴルフには「何番アイアンで乗せろ」というルールはありませんから、個人個人好きなクラブを選べばよい。私のように、体格のいいアメリカ人たちとラウンドしていると、彼らより1〜2クラブ長いものを使わねばならないことはしょっちゅうです。それは身長や腕っぷし、身体の柔軟性などによる違いですからどうしようもありません。彼らに立ち向かうには、短いアイアンを目一杯振ってピン・ハイではあるがグリーンの右(か左)10ヤードにつけるのではなく、長いアイアンでエフォートレスに打ってピン傍につけるべきだと思います。これなら劣等感を抱かなくて済ことになります。

こういう事情で、ハイブリッドを三本携行するのは止め、21°一本にし、4番アイアンと5番アイアンがバッグに復帰しました。

「飛距離を減らす」という決意のもとに、18ホール廻ってみました。驚くべし、合計9ホールでパーオンしました。エッジ10cmのショットも入れてしまえば11ホール。9〜11回のバーディ・チャンスがあったことになります(達成出来たのは一個だけでしたが)。「パーオン率がゴルフを決める 」によれば8個のパーオンで80を切れることになっています。"Riccio's Rule"(リッキオの法則)の《ゴルファーのスコアは95引く(パーオン数×2)に等しい》を当てはめると、今日の私は95−18(パーオン×2)=77であるべきです。しかし、実際には42-38の80でした。これは慣れないパッティング・グリップ(「距離によってパッティング・グリップを変える」)を実践し、3パットを三つもしたからです。

要するに、パーオン率を上げるには高価なクラブも要らず、高いレッスン代も払わなくていいことが分りました。ワンクラブ上げて、エフォートレスに振ればいいのです。何てこった。随分回り道したものです。

状況次第では単純にワン・クラブ上げたのでは飛び過ぎることがあります。早いグリーンに乗せる場合や中間クラブの距離の場合。そういう時のために、次項の「続・中間クラブ対策」を実施しました。

【参考】
「エフォートレスに乗せる」
「短小でお悩みの方へ」
「汝自身を知れ」
「ピン・ハイへの道」
「パーオン率がゴルフを決める」

(April 13, 2005、改訂June 02, 2015)


[Dot] 続・中間クラブ対策

私は「中間クラブ対策 」の延長として全てのアイアンにも目盛りを付けました。

以前の「対策」はハイブリッド・クラブとウェッジに施しただけでした。しかし、よく考えればアイアンでも半クラブ短く持って打ちたいという場面は結構あるものです。

そこで、アイアンの通常のグリップの1/2インチ(1.25cm)下に一つだけ目盛りを加えました。他のクラブの1インチ(2.5cm)の目盛りと混同するといけないので、修正液が乾いてから緑のマジックで色をつけました。この目盛りの下に左手親指をあててグリップすれば、通常のスウィングをしても距離を5ヤード減らすことが出来ます(理論的には)。

(April 13, 2005)


【御注意】グリップにマークをつける場合、「グリップのマーク」(tips_99.html)を必ず御一読下さい。

(December 29, 2005)




素顔のBen Hogan(ベン・ホーガン)

'Afternoons with Mr. Hogan'
by Jody Vasquez(Gotham Books, 2004, $20.00)

[Hogan]

Ben Hogan(ベン・ホーガン)は冷たく人間嫌いで自己中心的な人間だったように思われています。しかし、この本『ホーガンさんとの日々』によれば、どうしてどうして、思いやりもあり、時に大笑いすることもある、普通の人だったようです。

17歳の高校時代から20数歳までBen Hoganのボール拾いを数年勤めた著者Jody Vasquez(ジョディ・ヴァスケス。メキシコ系)は、週末を除くほぼ毎日Ben Hoganの練習に付き合いました。他の人間にでもそうでしたが、Ben Hoganは寡黙で、身振りだけで何かを指示して一言も発しない日もあったそうです。Ben Hoganはクラブのメンバーの質問にも短い言葉で応じましたが、その難解な言葉は《何万発も打てば、自ずと解る》という信念に裏付けられたものでした。あるツァー・プロが「Mr. Hogan、あなたのディヴォットは非常に浅い。その理由は?」と聞くと、「あなたもプロなら解る筈だ」と答えただけだったそうです。

・プロ生活の最後の段階で、Ben HoganはYips(イップス)に悩まされたと一般に思われていますが、実は交通事故の後遺症で左の目がどんどん悪くなり、ヴェールを一枚かけたように朦朧としか見えなかったのだそうです。奥さんは彼の名誉のためにその事実を公表しようとしましたが、Ben Hoganは口外を許しませんでした。

・いつもはボール拾いの役目に$7.50払うだけでしたが、金曜日になるとBen Hoganは「今晩、何をするんだ?」とJody Vasquezに聞きました。青年が「今日はデイトです」と答えると、「Hotなデイトなのかね?」と尋ねます。「そう期待してるんですけど…」と云うと、Ben Hoganは支払いを倍の$15.00にし、「今夜はわしの奢りだ」と云ったそうです。Jody Vasquezは正直に、何も予定がない日はそう答えました。多分、Ben Hoganはそういう青年の性格が徐々に気に入って行ったのでしょう。

・Jody Vasquezは友人から貰ったMacGregor(マクレガー)のアイアン・セットを使っていました。ある日、Ben Hoganは「キミはどんなクラブを使ってるの?」と聞き、青年は正直に答えました。Ben Hoganはそのクラブを見て、「気に入っているのかね?」と聞き、青年は「ハイ」と返事。世間知らずの青年でしたから、クラブ・メーカーの社長(Ben Hogan)に胡麻を摩るような態度は取れなかったのです。翌日、Ben Hoganは「Ben Hoganブランド」のアイアン・セットの箱を運び込んで来ました。青年は新製品の試打だと思って、いつもの通り箱をBen Hoganのカートに乗せようとします。Ben Hoganは「どこへ行くんだ、キミ?それはキミのだよ」青年は信じられず茫然としてしまいました。 数週間後、Ben Hoganは青年に「クラブはどうかね?」と聞き、青年は「素晴らしいです!」と答えました。すると翌日、Ben Hoganは青年に進呈したものと同じアイアン・セットを運び込んで来て試打しました。青年が「どうですか?」と聞くと、Ben Hoganは「屑だね」と云いました。

・数ヶ月後、Ben Hoganは青年に再び「クラブはどうか?」と聞き、「見せてくれ」と云いました。彼は7番アイアンに微かな錆を見つけ、製造担当者を呼びつけました。数日後、製造担当者は7番ばかりでなく、全部のアイアンに再クロームメッキして青年に届けました。青年がBen Hoganに「新品同様になりました!」と報告すると、「新品同様?」とBen Hoganは不審な表情をし、再び製造担当者を呼びつけました。「Ben Hogan Companyは二度のメッキはしないのだ。なぜなら、それはスウィングウェイトを変えてしまうからだ」と云いました。青年のセットは完全な新品のセットと交換されました。

20歳を過ぎたJody Vasquezはカレッジに入るため引っ越さざるを得ず、Ben Hoganのボール拾いの職は他の青年に譲りました。Jody Vasquezはアマチュアとしてトーナメントでも活躍し、その後はColonial C.C.(コロニアル)のメンバーとなり、そこでPGAトーナメントが開催される際に組織される委員会の一員にもなっています。彼はBen Hogan夫妻から信頼され、ずっと親しい付き合いを続けたそうです。

(April 17, 2005、改訂June 02, 2015)


日記の効用

私のように新しいtipを次から次へと試していると、元々の私の方法はどうだったのか忘れてしまい、途方に暮れることがあります。最近ではパッティングがそうでした。あんなに好調だったのに、それがどこかへ行方不明になってしまって戻って来なくなったのです。

実はこういうこともあろうかと、好調時のパッティングの詳細を日記に書いておきました(御覧になっているこの公開用ではなく、私的メモです)。昨夜、やっとそれを読む気になって、びっくり仰天。グリップの細部を完全に思い違いしていたのです。良かった時のままグリップしてラウンドした本日の結果は29パットで、それには10mぐらいのロングパットが二つ含まれています。最近の最悪のケースでは38パットなんて時もありましたから、この差は大きい。

好調なんていつまで続くか分ったものではありません。「おれも上達したもんだ」などとニタニタしていると、次のラウンドで絶不調になったりします。好調の時のスウィングやパッティングの詳細(スタンス、ボール位置、アライメント、グリップ、スウィングorストローク、留意次項など)を記録しておくことをお勧めします。

(April 25, 2005)

ゴルフ金言集 Part 11

以下の金言集は当サイトが独自に収集・翻訳したものです。無断転載・引用を禁じます。

「ラウンドするたびに、私は命を二年ずつ縮めている」
中島常幸

「私は決して急がない。決して心配しない。いつも花の香をかぐゆとりがある」
Walter Hagen(ウォルター・ヘイゲン)

「練習場で素晴らしいショットを無駄遣いするなんてどうかと思う。私だったら、何かまずい点を見つけるのじゃないかと恐れる」
Walter Hagen(ウォルター・ヘイゲン)

「プロが適切なシャフトの硬さを教えてくれるだろう。柔らかければ柔らかいほど、膝で折り曲げるためにさらに力が要るので大変だ」
Stephen Baker(スティーヴン・ベイカー)

「ルール・ブックの最初の章はエティケットである。どうやら、誰もが第二章から読み始めるようだ」
Nick Mokelke(ニック・モケルキ)

「ゴルフはカップに近づくほど難しくなるゲームである」
E. M. Prain(E. M. プレイン)

「ハイ・ハンデの人をくさすわけではないが、帆もかけられない人がヨット・クラブを満員にしても意味がないと思う」
Jackie Burke(ジャッキー・バーク)

「最もやさしいゴルフ・ショットは何か?3パットの後の4パット目だね」
Ring Lardner(リング・ラードナー)

「コースへ出てってベストを尽くしなさい。何も考えないで!」
Judy Rankin(ジュディ・ランキン、1998年ソルハイム・カップ・キャプテンとして選手たちに与えた言葉)

「私のゴルフ・スクールで、2番アイアンを打ちながら『こりゃsexよりいい感じだ』などと云う人間がいる。こういう人には『パートナーを変えろ』と云う。sexよりいい感じで打てる2番アイアンなんてある訳ない」
Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)

「うまくプレイするために、いつアクセルを踏み、いつブレーキを踏むかを知るのは難しい。それはラウンド毎でなく、ショット毎に変わるからだ」
Hal Sutton(ハル・サットン)

「ボールが動いている間にいい結果を期待して神に祈ったら、それは局外者の助けを借りたわけだからペナルティの対象である」
Henry Longhurst(ヘンリィ・ロングハースト)

(April 27, 2005)

懸垂で飛距離を伸ばす

愛知県にお住まいの出口さんからのお便りです。あと二年ほどで定年退職というお歳にもかかわらず、自作の鉄棒を利用して抜群の飛距離を達成しておられるそうです。ゴルファー必読のtipです。

ゴルフ歴は31年余と長いのですが、途中で住宅ローン返済のため二度ほど(合計15年)ブランクがありました。最後に再開した時は53歳で、あまりの飛距離低下に愕然としました。昨年6月、坂田信弘プロの「飛距離を伸ばすには逆手(さかて)懸垂を続けること」という一文を読み、これに飛びつきました。

結果から申し上げますと、昨年7月に懸垂を始める前のヘッドスピードは41m/秒(PRGRの「ヘッドスピード・テスター」で計測)でしたが、9ヶ月後の現在は軽く振って45m/秒、目一杯振ると48m/秒で、自分自身びっくりするほどです。コースで自分より10歳以上年下の人をオーバー・ドライブするのは大変な快感です。ヘッドスピードが増すと、アイアンを目一杯振る必要がなくなり、80%ぐらいのパワーでコントロール・ショットを打つことが可能になります。OBは激減し、パーオン率が上がります。いいこと尽くめです。懸垂をお薦めするゆえんです。

皆さんの近くの公園に鉄棒があれば楽勝ですし、ぶら下がり健康器も利用出来ます。私は物置用の屋根裏部屋をトレーニング・ルームにしました。1mのイレクター・パイプ(鉄パイプにプラスチックをコーティングしたもの、http://www.yazaki.co.jp/)と部品数個を計2,000円以下で購入し、鴨居に取り付けました。ずっと問題なく使用出来ています。

懸垂には「順手」(手の甲が顔に面する)と「逆手」(掌が顔に面する)と、二つの方法があります。順手は広背筋(腕を後内方に引きつける作用をする筋肉)に効き、逆手は上腕二頭筋(力こぶを作る筋肉)に効くそうです。両方やれば理想的でしょうが、私は「逆手懸垂」に絞ってみました。

懸垂を始める時は中々辛いものがあります。踏み台などを使って楽にぶら下がるのがいいかも知れません。腕を縮めて鉄棒の上に首を出します。最初は一回か二回がやっとという人でも、心配ありません。次第に回数を増やせるようになります。現在、私の場合は10回を1セットとし、一日に2〜3セット実行しています。

私は連日逆手懸垂をやっていたのですが、高野さんから「筋肉の鍛錬には、筋肉組織を安定させるために1〜2日の休みが必要とされている」という文献の存在を教えられました。本音を言うと毎日懸垂をすることが重荷になって来ていたところですので、間を空けた方がよいということなら、これで又継続出来そうです。このまま続けますと6年後の私のヘッドスピードは106.9m/秒になる計算で、飛距離に換算するとおよそ600ヤード超になる予定です(^_^)。

なお、上半身だけ鍛えても下半身が貧弱では、鍛え上げた上半身を活かすことは不可能だと思い、往復20分の勤務先まで自転車通勤しています。

逆手懸垂を実行すれば年齢・性別に関係なくドライバーの飛距離を伸ばすことが出来ます。是非チャレンジしてみて下さい。半年後の飛ばし屋の自分を想像するのは楽しいものですよ。

(May 01, 2005)

Annika(アニカ)の懸垂

Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は専属トレーナーについて、ボディ・ビルダー顔負けの各種トレーニングを実施中です。英語では逆手懸垂を"chin-up"と云い、順手懸垂を"pull-up"と呼ぶようですが、下の本ではAnnikaは順手懸垂をしているようです。

'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam (Gotham Books, 2004, $30.00)

「大抵の女性は(多くの男性も)懸垂が出来ない。私も二回出来るまでに一ヶ月かかった。14回になるまでには一年。

先ず、誰かの助けか踏み台を使って、肘を曲げた状態で鉄棒を掴む。そのまま身体をぶら下げる。やおら身体を持ち上げる。これが10回出来るようになったら、腰に錘(おもり)付きのベルトを付ける」

(May 01, 2005、増補June 02, 2015)

[Check_GO] 偏芯検査器

'Check-GO'という器械が$20.00で買えるというので(www.heartlandamerica.com、一般小売価格より$5.00ほど安い)、つい手を出してしまいました。【日本の輸入元のサイトの価格は6,800円!こちらの三倍!】この製品はかなり前から販売されていて結構生き長らえていますから、そう捨てたものでもないのかと思っていました。

「Dave Pelzのボール・テスト法」では、ボールを塩水に浮かべて手で廻して偏芯しているかどうか確認しなければなりませんでした。この'Check-GO'は電池の力でボールを高速回転させ、一本の線と一つの点をマークすることが出来ます。

「一本の線」というのは、ボールが左右にグラつかずに直進することが確実と判定された線です。器械でボールを20秒ほど回転させ芯が定まると、その正しく転がる目安の線を引くことが出来ます。ボールの上に被せる蓋の横に穴が開いていて、そこに付属のマジック・マーカーを差し込んで線を描きます。これをターゲットラインに合わせます。


[Ball]

その線を赤道とすれば、北極点に当たる部分が回転軸ということになります。「一つの点」というのは回転軸のことで、蓋のてっぺんにある穴によってその北極点が描けます。説明書にはティー・ショットでボールの線をターゲットにラインを合わせる場合、この北極点が自分の方を向いている必要があると書いてありますが、これは私には信じられません。線の方向さえ合っていれば、北極も南極も関係ない筈です。

北極点は偏芯検査器として利用すべきものです(これは説明書にない方法です)。「Dave Pelzのボール・テスト法」は「ボールを回転させ、その天辺に印をつける。もう一度回転させ、その印がまた天辺に現われたら、そのボールは見事に偏芯しているのでパットには向かない」というものでした。'Check-GO'でも、二度回転させます。最初は黒いマーカーを使用。二度目は念のため北極点を下にして回転させ、今度は赤いマーカーを使います。黒と赤が一致した場合、Dave Pelzの法則に従うとそのボールは偏芯していますので、パット用としては失格。正反対の側に二つの印がつけば合格です。この合格ボールなら、ターゲットラインに合わせる線も信用出来ます。

メーカーは「新品のボールを使ってくれ」と云っています。それでも大きな問題があります。線がボールの赤道に一致したら奇跡というくらいのもので、新品のボールでもマーカーは凸凹のディンプルの上を走ることになり、荒っぽい点の連続にしかなりません。その点々を綺麗に繋ぐには別の市販品'Line a Putt'とか'Line M Up'などの線引き器が必要です(手で描くと、どうしても揺れ動いた線にしかなりません)。ところで、綺麗に点を繋いだつもりでも、太い部分や細い部分が出来て、ボール全体が薄汚くなります。これは気分が悪い。また、ちゃんと20秒以上待って回転を安定させないと、意味も無いところに線を引く結果になりますが、このインクはシンナーでも「べっぴんさん」でも消えません。要注意です。

一つの手段としてダーマトグラフやハイライターなどで先ず線の目安を描き、それから'Line a Putt'や'Line M Up'などの線引き器を使うといいようです。その後、目安の線は消してしまいます。この方法なら、メーカーから高価な純正部品のマーカーを買うことなくお好みのペンが使えますし、線の長さも自由自在です。

私の場合、こういう器械を仕入れる前に1ラウンド23パットを実現出来たわけですから、今後は1ラウンド18パットぐらいになって欲しいと願っています:-)。

【参照】「Dave Pelzのボール・テスト法」

(May 06, 2005)

詰めゴルフ

詰め碁、詰め将棋というのがあります。詰めチェスというのもあります。「何手で詰みなさい」という指示があって、ちゃんとその手数で勝てるように出来ています。

ゴルフも同じですね。「三手で詰みなさい」(Par 3)とか「五手で詰みなさい」(Par 5)と決められていて、ちゃんと詰むんです。奇跡は必要なく、天才である必要もありません。適切なティーからスタートすれば、誰でも詰むように出来ている。指示された手数で詰めないのは、林に入れたりバンカーに入れたり、チョロしたりザックリしたり、回り道するからですね。

私の場合ですが、スライス、プッシュ、プル、フックなどは、常に「飛ばそう!」と欲張った時に出現します。一緒に廻っている人物を距離で凌ごうとか、自分の記録を更新しようとか、理由は色々ですが(全て邪念です)、無限大の距離を望んでしまい、手首が強ばったり手打ちになったりしてトラブルが生じます。

その他のトラブルは、自信満々であるか不安であるかのどちらかで、スウィングよりも結果を気にした場合に起ります。ボールとその後ろの地面の接点を見るのがソリッドなコンタクトを得るための秘訣なのに、上の空になってしまうと焦点がぼけ、ボールをぼんやりとしか見ていない。こういう時、ダフったりザックリでクラブに備わった軌道と飛距離が得られなくなります。

つまり、私の場合、問題は(おおむね)メンタル面に起因していると云っていいのです。練習場でウォームアップする時のように、各クラブの平均飛距離と方向性を望めばいいのに、魔が差したように余計なことを望んでしまう。いいショットを人に見せびらかしたいとか、「こんな凄いショットが出来た」と日記に書きたいとか。これは「四手で詰みなさい」と云う指示の際に、「三手で出来た、ワーイ!」という結果を作ろうとするかのように不遜であり、かつ無謀な行動と云えましょう。

詰め将棋や詰めチェスにおいては、一見迂遠なこともしなければなりません。「何で、そこで角(ビショップ)を動かす必要があるの?」と思うような一手を指さなくてはならないことがあります。それが実は数手先の王手の時に、完璧な役割で王の逃げ道を封じるための準備なのです。ゴルフであれば、ドッグレッグを近道しようとしないで、曲がり角の反対側に打つようなことであり、ボールを徒にグリーンに近づけるのではなく、ウェッジで刻んで得意のクラブの距離を残して次打でピン傍を目指すようなものです。

詰め将棋や詰め碁は感情で指すものではありません。数多ある手の中から、冷静に最善の手を選択して指すものです。我々ゴルファーも欲や虚栄心を捨て、クールな頭脳と平静な心の判断による虚心な一手一手の連続で、ピンに王手をかけて行く必要がありそうです。

(May 12, 2005)


ドライヴァーのロフトに関する知られざる事実

Driver lofts reach new heights'
by James Achenbach ('Golfweek,' May 14, 2005)

「USGAはティーの最長の長さを4インチ(10cm)と定めている。ティー製造の大手Pride Sports(プライド・スポーツ)社は、2005年の主要品目を3 1/4インチ(8.3cm)と4インチにすると発表した。

最近のデカヘッド・ドライヴァーは、フェースの上半分でボールを打つことが要求される。それを達成するには以前よりもずっと高くティー・アップしなくてはならない。それが21世紀のゴルフなのだ。その高さが発射角度(ローンチ・アングル)のために重要な役割を果たす。

デカヘッド・ドライヴァーのフェースの下半分はかなりロフトが減る。10°のロフトのドライヴァーの下半分は7〜8°になってしまう。そこで打ったら絶対に空高く舞い上がる弾道は得られない。

最近の低スピン・ボールは高い発射角度の時に飛ぶように作られている。

最近のドライヴァーの重心は上の方に設計されている。大体において、スウィート・スポットもクラブフェースの真ん中より上方に位置している。

TaylorMade(テイラーメード)社は『8.5°などより、11.5°や12°などが売れている。ゴルファーたちはキャリーの長さの重要性を知っているのだ』と語る。

ただし、多くのゴルファーはロフトの多いドライヴァーを使っていると認めたがらない。いまだに低いロフトこそパワフルであるというマッチョな観念に災いされているからだ。

そういうゴルファーの心理に合わせて、クラブメーカーは実際のロフトより少ない数字を刻印して売っている。Ping(ピン)社の11.5°のG2ドライヴァーが、本当は12.5°であるというのはよく知られた事実だ。Pingで働くデザイナーは『他の会社のドライヴァーを計測したら、ほとんどが表示より多めのロフトに設計されていた』と云う。

ドライヴァーは年月を経るにつれ、フェースのスプリング効果を増す。『ドライヴァーを使い込むと飛距離が増すんだ』とPingのCEOであるJohn Solheim(ジョン・ソルハイム)は云う」

'Clubfitter: Higher lofts overdue'
by James Achenbach ('Golfweek,' May 14, 2005)

「クラブメーカーであり、クラブフィッターであるHenry-Griffitts(ヘンリィ・グリフィッツ)の会社における16°のドライヴァーのセールスが急増している。彼は云う、『100mph(44.7m/秒)以下のクラブヘッド・スピードの人は、すべからく16°のドライヴァーを使うべきだ』

ロフトの多いドライヴァーの人気を高めたのは、昨秋のRe/Max World Long Drive Championshipに優勝したCallaway(キャラウェイ)社の454ドライヴァーで、それには13°と15°がある」

(May 18, 2005、増補June 02, 2015)


パターのライ角

'Master Strokes'
by Nick Mastroni and Phil Franke (Running Press, 2003, $9.95)

「アマチュアのパターはアップライト過ぎる場合が多い。言葉を換えれば、ヒールが接地した時、トゥが浮くような角度である。これはいくつかのトラブルを招き易い。

先ず、バックストロークでヒールが地面につっかえたりして、リズムを壊し、フェース角度を変えてしまう。

次に、インパクト前後で地面を擦り易く、それはヘッドのスピードを遅らせ、フェースをクローズにするためボールを左にミスし易い。

第三に、(これは余り知られていない事実だが)アドレス時にパターがヒールで接地すると、フェースは若干左を向いてしまう。

パター購入時には、アドレスでその底部がフラットに接地するものを選ぶこと」

そう云えば、今週のChampions Tour(チャンピオンズ・ツァー)二日目、最終日のTV中継で、Dana Quigley(デイナ・クウィグリィ)のパッティング・アドレスが大アップになりましたが、彼のパターのトゥは浮いていました。折角ライ角を直せるパターを手にしているのに、ちゃんと調整していなかったようです。そのせいかどうか、彼はずるずると後退して五位になってしまいました。

(May 22, 2005、増補June 02, 2015)


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