March 10, 2026

努力しないで80を切る方法(5/5)

 

・怒りの制御

江戸時代、将軍がアメリカに使節を派遣しました。帰国した使節は将軍に報告。「メリケン人は大きな芝生の上で小さな球を打つ遊びを好んでいます。色々な長さの棒で球を打ち、最後にそれを小さな穴に入れます。これを何度も繰り返す競技です」将軍が聞いた、「ほう、それは何という遊びじゃ?」「彼等が競技中に何度も発する掛け声によれば、それは"shit"(クソ!)という競技であろうと思われます」 これはアメリカ人を赤面させる冗談ですが、今でも"shit"、"damn"(こんちくしょう)など、禁句である筈の四文字言葉はゴルフ・コースのそこかしこで聞かれます。怒りにまかせてクラブを放り投げる人も少なくありません。マナー上、これらがよくない行為であるのは確かですが、ではメンタル的にはどうなのでしょうか?

[anger]

'Mental Training for Peak Performance'
by Dr. Steven Ungerleider (Rodale Press, Inc., 1996, $14.95)

スティーヴン・ウンガーライダー博士は、'Mental Training for Peak Performance'(能力発揮のためのメンタル・トレーニング)の中で次のように述べています。

「ひどいショットの後、自分自身に腹を立てる人が多い。これは情緒的連鎖反応の原因となる。怒りは次のショットの際に筋肉を硬直させてしまい、果てしない悪循環が始まる。ひどいショット、失望、絶望感、さらに硬くなる筋肉、さらにひどいショット等々」

トム・ドーセル博士は「コースで怒りをぶちまける人は、『私は本当は巧いゴルファーなんだが、いま、それがちゃんと反映されなかっただけだ』と云いたいわけだ。実際の巧いプレイを見せるのではなく、怒りの表現によって他人に自分の実力を伝えようとしている。TV中継に出て来るツァー・プロはどうか?勿論、彼等もミスが嬉しかろうはずはない。しかし、彼等は叫んだり地面を蹴ったりせず、『次のホールまで待ちなさい。そこで私の巧さを見せてあげるから』と静かに宣言しているのだ」と指摘します。

'Mind Over Golf'
by Dr. Richard Coop with Bill Fields (Macmillan, 1993, $12.95)

この本の著者ディック・クープ博士の勧める怒りへの対処法。

「あるツァー・プロは、ボギー以上の悪いスコアを出した場合、次のティーに向かう前に立ち止まって靴紐を解き、結び直す。この一時停止が怒りを静め、前のホールについてくよくよ考えるのでなく、次のティー・ショットに集中することを促す。

あなたのゲームが乱れてきたら、チーム・スポーツでコーチがタイムをかけるように、メンタルに自分にタイムをかける。カートに乗っているならボールの20~30ヤード手前でカートを止め、残りをゆっくり歩く。趨勢があなたに味方していない場合、急いでプレイしてはならない。

'Golf's Mental Magic'
by Dr. Guy S. Fasciana (Bob Adams Inc., 1993, $12.95)

背中、肩、首の筋肉が緊張していないか点検する。これらが緊張していては、いいスウィングは出来ない。ショット間の歩行スピードを落すか、鼻歌を歌ったり口笛を吹くなどで緊張を和らげる。緊張を吐き出すような腹式呼吸をする」

ウンガーライダー博士が紹介するジャック・ニクラスの言葉も慰めになります。「ニクラスは『最高のレベルのプロでさえ、完璧なショットというのは偶然であり、非常に希なことなのだ』と云っている。達人の言葉として信じられますか?ニクラスの云わんとするところは、私達は全て才能を持っていて、多少の差があるだけだということ。私達は誰もが素晴らしい瞬間を味わう。しかし、コースで常にベスト・プレイを発揮できるわけではないことを受け入れなくてはならない」

[Robot]

別項で『…しなきゃ』から『…したい』にチェンジすることによって人生観が変わるというアイデアを御紹介しました。もう一つクープ博士のセオリーも書き添えておきます。「いくつかの心理学的リサーチが示唆する事実:自分自身を容認できない人々は他者をも容認できない傾向が強い。あなたがもっと自分を容認し、自分を赦すことを学べば、ゴルフも上達し、他者との人間関係も改善できることだろう」

・知的ゴルファーの問題点

'The 8 Traits of Champion Golfers'
by Dr. Deborah Graham and Jon Stabler (Simon & Schuster, 1999, $25.00)

普通、知的であることは美徳ですが、ことゴルフにおいては別もののようです。デボラ・グラハム博士は'The 8 Traits of Champion Golfers'(チャンピオン達の8つの特徴)において、次のように述べています。

「抽象的に物事を考える人の知性は、状況について考え過ぎる傾向が強いため、簡単にトラブルに陥ってしまう。たとえばグリーンでありもしないブレイク(曲がり幅)を見たり、ミス・ショットを過度に分析したり、必要も無いのにスコアを勘定したり、自分の順位を推定したりすることに時間を費やしてしまう等々。

あなたが知的であればあるほど、ショットとショットの間で雑念を洗い流し、単純にボールに向かい合うことが大切だ。抽象的思考は遺伝による能力なので、それがいい悪いの問題ではない。私達は知的ゴルファーには思考を単純にし、ボールに向う時には無念無想になることを勧める。抽象的思考が苦手な人には、コース戦略、落とし場所、クラブ選択などのプランをよく練るように勧める」

[LPGA]

'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph.D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)

この本の著者デヴィッド・ライト博士はこう書いています。 「あなたがハッピーでポジティヴでリラックスしている時、あなたは胸を張り、首を伸ばし、微笑みを保ちながら歩く。あなたが落ち込んで意気消沈している際は、前屈みで頭を下げ、顔をしかめながら歩く。今後はあたかも生涯最高のショットを放ち、さらなる成功へと歩んでいるように振舞いなさい。頭を高く、胸を張って、絶対に目は水平線から下に下げてはいけない。深呼吸をしなさい。姿勢を変えることによってムードも態度も変わる。あなたの内的ムードと身体的状態は、外側の姿勢と同じ傾向になる。

同伴競技者からショットを誉められた時は、単に「ありがとう」と云いなさい。どんなにそれが居心地悪い場合でも、賛辞を否定してはいけない。賛辞を受け入れること。ズボンを前後ろ逆にはいたように居心地が悪くても、そういう感覚は一時的なものであって、じきに慣れ、時とともに自然に感じられるようになる。

不吉なイメージや想念がよぎったら、『ストップ、黙れ、リラックス』と呟く」

いかがでしたか?メンタル面の克服が上達への鍵であることは分っていても、以上のようなさまざまなテクニックは初めて目にされたのではないでしょうか?これを機に自分を完全にコントロールする術をマスターされ、あなたの野望が何であれ、その実現に向けて歩み出して下さい。【完】

(March 10, 2026)


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