February 10, 2026

努力しないで80を切る方法(2/5)

 

[self_talk]

・セルフ・トーク

私達は意識することなく連綿と自分自身と対話しているものです。「ここはオレの得意なホールだ。バーディを取ろう。いいな?」、「このグリーンは遅いようだ。絶対にショートするなよ」などなど。こうしたセルフ・トーク(自分への語りかけ)もメンタル面の重要な要素です。しかし、「クソ、何でここでシャンクなんか出すんだ、ドアホ!」とか、「右ドッグレッグでスライスしたら林越えになるのは分り切ってるだろうが。何年ゴルフやってんだテメエは!」などと自分を責めるセルフ・トークはその後のゴルフを目茶目茶にします。

'The New Toughness Training for Sports'
by James E. Loehr, Ed.D. (Penguin Books USA Inc., 1994, $12.95)

'The New Toughness Training for Sports'(スポーツにおけるタフネス養成法)の著者ジェイムズ・E・ローア博士は次のように警告します。

「自分を批判し罵り始めてしまうと、“外部の敵”(ライヴァルである他の競技者)と“内部の自分”の二つを相手にした戦争が荒れ狂うことになる。悪意のある自己批判に身を委ねるのは、あなた自身への実質的反乱である。“あなた”は“あなた”のプレイに不満足なので、“あなた”自身を攻撃する。チーム競技で内輪で互いに攻撃しあったらどうなるか?チームの潜在能力の出番が無くなってしまう。個人のレヴェルでも同じことだ。自分自身をあなたの最良の友人のように扱うこと。友人のベストの能力を引き出そうと助力している際に、「何年ゴルフやってんだテメエは!」などと冷酷な調子で話すだろうか。あなたは、あなた自身の最良の友人になるべきである。批判的なあなたとプレイするあなたが、一つの完璧なチームとして連合することが、あなたをタフにする手段である」

[book]

プレショット・ルーティーンは誰でも知っていますが、ポストショット・ルーティーンはどうでしょうか?これも相手は自分ですが、打った後で交わされる会話です。ポジティヴで、自分をサポートする言葉が必要ですが、有頂天になって興奮するようなのはいけません。良い例は「いいティー・ショットだった」、「アプローチに最適の場所だ」、「あんた、結構やるじゃん」などなど。

'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph.D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)

スポーツ心理学者で、PGAのインストラクターでもあるデヴィッド・ライト博士は'Mind Under Par'(アンダーパーを目指す心)の中で、次のようなグレッグ・ノーマンの言葉を引用しています。

「手強いショットを上手く打てた後は、誰だって誉め言葉がほしい。しかし、自分のお袋さんとでもラウンドしていない限り、そんな甘いことは期待出来ない。だから、胸の中で自分で自分に語りかける。トーナメントの最終ホール、ロング・アイアンでグリーンを狙いバーディが欲しいとする。私は自分にこう云う、『お前さんはこのテのショットを完全に知り尽くしている。何千回もバッチリ決めたことがある。それをもう一回やるだけだ』。結構長くストレートなティー・ショットの後、『うへえ、グレッグ、今のはぶったまげたぜ!』こういう内心の言葉はギャラリーの声援より助けになる。ショットについて長々と良かった、悪かったと喋る必要は無い。だが、プレッシャーが強い時に思い出すために、いいショットは心の中にスタンプを押すようにバン!と登録したい筈だ。静かな自己賛美が、そのための唯一の方法だ」

[thinking]

・脳の仕組みを理解する

「マスル・メモリー(筋肉の記憶)」という言葉がありますが、御存知のように筋肉は何かを記憶出来る部品ではありません。「マスル・メモリー」は実際には潜在意識の領域の話であって、自転車に乗る、車を運転する、泳ぐなどと同じように、脳内にある経験を蓄積したデータベースのことなのです。自分が望むプレイ(スウィング、ストローク、軌道、高さ、強さ、着地点)などを具体的に視覚化すると、自分の欲するプレイを脳にリクエストしたことになります。脳(潜在意識)は可及的速やかに過去のデータベースを検索して最良のメカニカルな動きを抽出し、それを筋肉群に伝えてスタンバイさせます。潜在意識は“学習に基づいた本能”のように機能しますから、いちいちプレイヤーが動作の一部始終を思い出し、筋肉に命令する必要などありません。このように理想のショットを脳に“見せる”方が、ショットについてあれこれ注意事項を思い出すよりも早道なのです。現代のゴルフは、もはや視覚化というプロセス抜きでは語れないほど一般化しています。

'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph.D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)

しかし、視覚化には明暗両面があります。Mind Under Par'(アンダーパーを目指す心)の著者デヴィッド・ライト博士による説明を噛み砕いて紹介しましょう。

「プレイヤーが前回の池ボチャを思い出してしまったとする。そのイメージが払拭出来なければ、脳は視覚化に導かれて池へのショットを準備してしまいます。試みに梅干し(原著ではレモン)のイメージを描いて下さい。その梅干しを取り上げ、齧(かじ)ります。酸っぱい味が口内にしみ渡ります。唾が湧いて来たでしょう。梅干しというニュートラルな概念が唾という生理学的反応をもたらすなら、失敗のイメージが神経システムに及ぼす影響も想像出来るでしょう。では、梅干しのことを考えるのを止めなさい。梅干しを齧って酸っぱい味を味わうのを止めなさい。梅干しの切れっぱしを舌の上で転がすのを止めなさい。どうです?また唾が湧いた筈です。『止めろ』と云われても、あなたの生理学的反応は同じです。思考の焦点は依然として梅干しなのです。これが『池に入れるな』という思考が、池へのショットを導く証明です。池のことは微塵も考えてはいけません。常にポジティヴな思考・態度が、いいショットへの近道です」

[brain]

右脳と左脳の存在は御存知ですね。左脳は論理的・分析的に機能し、右脳はクリエイティヴに機能します。ゴルフにおいては、距離、ハザードの有無、風、落しどころなどの判断は左脳の役割ですが、プレショット・ルーティーンが開始されたらパフォーマンス担当の右脳によって最適のリズムとテンポでスウィングを遂行するのが理想です。アドレスに入ってからも、左脳がお節介なコーチよろしくあれこれ注文を出すのは、脳と筋肉の連係プレーをバラバラにしてしまいます。

'Golf: The Mind Game'
by Marlin M. Mackenzie, Ed.D. with Ken Denlinger (Dell Publishing, 1990, $12.90)

'Golf: The Mind Game'(ゴルフ:マインド・ゲーム)の著者マーリン・M・マッケンジー博士は、「ゴルファーは、“もう一人の自分”というコーチ同伴でラウンドするからいけない」と指摘します。このコーチとは分析的左脳に他なりません。

「多くのゴルファーは、ボールをセットしてからスウィングする間中、頭の中で自分を指導する悪い習慣を作り上げる。ボールをセットする前ならいいが、スウィングの最中では、それでなくても複雑なゴルフ・スウィングのメンタルな調整に混乱を引き起こす。誰かがスウィングする間、あなたは喋ったりしますか?自分に対しても静かにすべきです。こういう内面の声を黙らせるには、音楽をハミングする方法が最適」

(February 10, 2026)


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