October 20, 2025

Ben Hogan(ベン・ホーガン)のゴルフ

 

この本の著者のJody Vasquez(ジョディ・ヴァスケス)は、高校生の頃Ben Hogan(ベン・ホーガン)が練習する時の専任の球拾いとして1964年から四年間、週の五日間を共に過ごしました。彼が直接目にしたBen Hoganのゴルフの詳細。

'Afternoons with Mr. Hogan'
by Jody Vasquez (Gotham Books, 2004, $20.00)

「ホーガンさんのグリップは基本的にヴァードン・グリップだったが、僅かに変えていたところがあった。右手の小指を左の人差し指の上にかぶせるのではなく、人差し指と中指とで出来る谷間に入れていたのだ。大した変更ではないが。

イギリスのプロNick Faldo(ニック・ファルド)がホーガンさんに面会し「最も大事なショットは何か?」と尋ねた時、ホーガンさんは「ドライヴァーだ」と答えた。その理由は、ティー・ショットの結果が第二打を大胆にピンを狙えるか、そうでなく安全に打つしかないかを左右するからだというものだった。

[Hogan]

ホーガンさんは打ちっ放しでどこへともなく打つ練習の仕方が嫌いだった。特別のターゲットに向かって打つことがプレッシャーをかけ、目的意識を増大させると信じていたのだ。Every swing had its purpose. (どのスウィングにも目的があった)

ホーガンさんはまた打ちっ放しの練習ボールも嫌いで、彼自身のボールを打った。練習ボールは性能の良さよりも丈夫であることが第一に作られている。こういうお粗末なボールでは望んだ軌道でボールを打てたかどうか正しいフィードバックが得られないからだ。

ホーガンさんはアドレスした時に右から左への風の中で打つのを好んだ。

彼の練習法はストレートなショット、フェード、ドロー…この繰り返しで9番アイアンからドライヴァーまでを打つことで、これに二時間以上かけた。

彼が打つどのショットも高品質だった。彼のフラット目のスウィング・プレーンはボールとクラブフェースとの接触時間を長くし、クラブヘッドをターゲット・ラインに沿ってより長く動かせたと思う。それは特徴のある打球音を生んだ。

彼のクラブは他のプロともアマとも全く異なっていた。あなたが彼のアイアンをアドレスしたら、何か狂っている!と感じるだろう。どのアイアンもアドレスするとオープンなのだ。ヒールを地面につけると、トゥは5°もオープンになるのである。これは一般のゴルファーには悪夢のような光景だろう。

彼はドローを打つ時であろうがフェードを打つ時であろうが、常にアドレスでクラブをオープンに構えた。

彼がターフからボールを打つ時、ディヴォット跡はとても浅いものだった。

私が観察したホーガンさんのスウィングは次のようなものだ。

・トップで左手を凹型にする。【写真参照】これを模倣する方法、以下の通り。正面の誰かと握手するように左手を前に出す。腕を真っ直ぐ伸ばしたまま、手首を左側に45°傾ける。肩を廻す。腕が水平になったところで止める。ここで左手甲が直視出来るはずだ。これがホーガンさんの凹型の左手首である。

左手首を凹型にすると両足が安定することに気づくだろう。

・ホーガンさんはこう云った、「バックスウィングで右膝は多少は右へ動いてもいいが、絶対に右膝を伸ばしてはならない。特にトップを形成する際には」

・ホーガンさんのダウンスウィングでの最初の動きは右膝をボールに向かって左へ押し込むことだった。その水平の動きは、左腰を自然にオープンにする。彼のダウンスウィングにおける最初にして唯一の想念は右膝をボールに突進させることだった。

・左膝を早期に伸ばしてはいけない。伸ばしてしまうと体重は右側に留まり、ボールはどこへ飛ぶか判らなくなる。

ホーガンさんのチッピングは旧時代そのものだった。バックスウィングでクラブフェースをオープンにし、フォローでクローズにする。この方法だと、彼はいつもクラブフェースの下部で打っていたことになる。最近のコーチは、スクウェアに後方に引きスクウェアに出すスウィングを教える。この方が易しく安定しているからだ。しかし、もし僅かにオープンにする程度であれば、旧式の方がいいショットを生み、まるで手でボールを投げるように完璧なものとなる」

(October 20, 2025)

Ben Hogan(ベン・ホーガン)のドライヴァー・スウィング

 

『ホーガンの魔法のデヴァイス』の著者が分析し、まとめたBen Hogan(ベン・ホーガン)のスウィング手順。

'Ben Hogan's Magical Device'
by Ted Hunt (Skyhorse, 2009, $16.95)

「1) ホーガンはややクローズドなスタンスをとる。それはドライヴァーを打つ際、手打ちの危険性を減らす狙いであるのは間違いない。ボール位置は左踵の内側(の前方)である。(このボール位置はウェッジに至るまで変わらない)

[Hogan]

 

2) 右足はターゲット・ラインに対して直角で、体重は右足の内側にかかっていて、絶対にその外側へは移らない。右膝がスウェイしたり横に動くことはない。

身体が固くなったシニア・ゴルファーは、右足を110°オープンにして、スウィングのトップで左肩がボール位置まで廻る(あるいはその地点を越える)ように試してみるといいかも知れない。

バック・スウィングのトップで左肩は顎の下へ廻ってボールの上を通過する。もし、左肩がボールではなくそのターゲット側を指していると、ショットは右へプッシュする。【註:私の場合左肩がボールを指した時が最適。そこを越えるとプルやフックになります】

3) トップからダウン・スウィングに移る最初の動きは、右膝(註)がターゲット方向に動くことだ。この手順は体重をホーガンの左足の親指と柔軟性を保った左膝とに移す。(註:原文では「左膝」となっているのですが、「右膝」の間違いだと思います)

4) 体重が地面を踏みしめる左足の中心に移ると、右膝がボール下方に向かって突進し、腰は活発な回転で反時計廻りにインパクトへと向かう。この時、Sam Snead(サム・スニード)が有名にしたスクヮット(しゃがみ込み)姿勢になる。

5) 天に向かって引き上げられる左肩は両手を落下させ、完璧な角度で凸型に膨らんだ左手首を適切にボールへと向かわせる。これが急速な腰の逆転によるパワーをボールに伝える。両手がホーガン・スウィングの秘訣を活かしパワー・フェードを送り出す」

(October 20, 2025)

テイクアウェイを始めるまで動き続けよ

 

インストラクターEddie Merrins(エディ・メリンズ)のtip。

'Playing a Round with the Little Pro'
by Eddie Merrins with Mike Purkey (Atria Books, 2006, $22.00)

「アドレス時、アライメントを定める最中、じっとしていてはいけない。手はクラブをワッグルし、足をもぞもぞさせれば緊張が緩む。身体のどの関節も緊張を解かれていなければならない。指の関節、手首、肘(これが特に重要)、背骨、腰、膝、足首、爪先など。顎すらも緊張していてはいけない。

緊張し、圧迫感を感じていると関節は固くなり、麻痺状態になってしまう。全ての関節が自由でないとスウィングを始めるのは困難になる」

[icon]

ヴィデオのLydia Ko(リディア・コゥ)を見ても、スウィングのおさらい、目標の視認、フェース角度の確認、両脚の踏み変え、ワッグル…等々、かなり多彩な段取りを実行しながら動き続けています。筋肉が強張るのを防ぎ、リラックスしようとしているのでしょう。見習わなくてはいけません。

 

(October 20, 2025)



[Anim

 Copyright © 1998−2025   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.