October 10, 2025

Ben Hogan(ベン・ホーガン)のパッティングの秘密

 

[Hogan]

名人Ben Hogan(ベン・ホーガン、1912~1997)のプロ生活終盤、彼はパッティングyips(イップス)に悩まされたと広く伝えられています。アドレスしてもパターを動かすことが出来ず、グリーン上で立ち往生するのがしばしばであった…と。しかし、その説は間違いでした。

'Afternoons with Mr. Hogan'
by Jody Vasquez (Gotham Books, 2004, $20.00)

この本の著者のJody Vasquez(ジョディ・ヴァスケス、メキシコ系アメリカ人)は、高校生の頃テキサス州のShady Oaks CC(シェイディ・オークスCC)のプロ・ショップの雑用係として雇われましたが、このゴルフ場はBen Hoganが毎日午後練習したりプレイしたりするコースでした。練習といっても打ちっ放しではなく、彼専用の練習場が本コースの脇に用意されていたのです(ゴルフ場のオーナーとBen Hoganが親しかったための特別待遇)。著者JodyはBen Hoganが練習する時は専任の球拾いとして1964年から四年間、週の五日間を共に過ごしました(アメリカの多くの高校は四年制)。

「1994年に、私はホーガン夫人のValerie(ヴァレリー)さんと、ホーガンさんを巡る様々な分野に関して長時間話した。話題の一つは彼のパッティングについてだった。彼女は夫のショート・パットが悩みの種だったことを知っており、その原因を初めて明かしてくれた。彼は左目がよく見えなかったのだ。私はホーガンさんの球拾いをし、彼のパッティングを何千回となく見ていたが、彼はそんなことはおくびにも出さなかった。彼の視力の問題は家族と医師以外には知られていなかったのではないだろうか。

1949年、ホーガンさんがテキサス州で夫人を乗せて車を運転中、長距離バスが二人の車に正面衝突した。身を挺して夫人をかばった彼はあやうく左目を失明するところだったが、身体の他の箇所の方が命に関わる大怪我だったため、一般には広く伝えられなかった。回復後彼が目の怪我について語ることは全くなかった。

よく見えない視力というのは、左目の上に透明なセロテープを貼ったのと同じことだ。見えはする、だがハッキリとは見えない。5メートルかそれ以上の距離のパットであれば、ラインに沿って頭を左右に動かせるのであまり問題はない。彼はこの距離の多くをミスしたが、この距離をミスする人は多いから目立たない。問題はショート・パットだった。彼は単純に正しいラインがよく視認出来なかったのだ。これは肉体的問題だが、やがて心理的問題ともなってしまった。見えないのではボールを転がせない。これは彼の自信を喪失させた。加えて、プロの競技生活ではショート・パットは必ず沈めなければならないというプレッシャーもあるため、これは最悪のシナリオだった。

奥さんがこの事実を話してくれた時、彼女の目は痛々しかった。彼女は観衆にあの人の目はよく見えないのですと告げたかった。だが、ホーガンさんはそれを許さなかった。奥さんにとって最も生々しい記憶は、1867年のBaltusrol(バルチュスロル)G.C.で開催されたU.S.オープンだった(ホーガンさんが参加した最後のオープン)。グリーン上でのショート・パットに際し、彼はストローク動作を開始出来ず延々と立ち尽くしていた。彼がそのショート・パットをミスして身をすくめた時、彼女はそれがyips(イップス)などでなく、完全な挫折感によるものであることを知っていた。奥さんは、ホテルの部屋に戻ってベッドの上でしくしく泣いたことを覚えていた。奥さんは左の目が見えないことを記者団に話すよう彼に懇願した。しかし、常に頑固で自身の秘密を曝け出すことを好まなかった彼は、自分も云わないし彼女も漏らしてはいけないと口外を禁じた。プレイに云い訳は許されないからだ。今日のプロが秘密を隠しておくなんて信じられますか?

奥さんが話してくれた驚くべき新事実は、私の胸の中に何年も巣くっていた疑問への答えだった。ホーガンさんと過ごした午後、練習を終えてホーガンさんが運転するカートでクラブハウスに戻る途中、No. 18にかかっている橋を渡る時、ホーガンさんは常に橋の右側の欄干すれすれに運転した。右側には垂れ下がっている木の枝があったので、私はいつもホーガンさんに寄りかかって木の枝による擦過傷を防がなくてはならなかった。なぜ、ホーガンさんがもっと左側を走らないのか不思議だったのだが、奥さんの話でやっと謎が解けたのだった」

(October 10, 2025)

革命的ストローク法・その後

 

最近のラウンドで判明したことをお伝えします。

私は左手の三本指を引き締めるストロークに専念しており、寝床の中でも手を動かしてその動きが身につくように努力しています。

その結果解ったのは、フォワード・ストロークで三本指を引き締める動きが本能的に出来るようになったら、もうそれを意識的にやってはいけないということです。

最近のある日のラウンド、アウトは一回の3パット込みで計16パットでした。意識的に三本指を引き締めたためにプルしてしまったのが原因でした。不自然なストロークによってショートしたことも数度。

意識的に三本指を引き締めることをしなくなったインは、計13パットでした。2.5メートルのバーディ・パットを沈めることも出来ました。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

目を閉じたり、ボールを見ないでパター・ヘッドを見ながらストロークする方法が”革命的”だったのですが、ボールは見る、意識的に三本指を引き締めることもしない…のでは、全く”革命的”ではなくなってしまいました。

(October 10, 2025)

高速グリーンに対処する方法

 

往年のプロJerry Pate(ジェリィ・ペイト)のtip。

'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)

「高速グリーンに直面したら、エラーの度合いを軽減するちょっとした策略を用いる。

パターのトゥ部分でボールにアドレスし、そこでボールを打つのだ。これはボールとパターの接触を弱める効果がある。

この方法を用いればストロークを変えたり速度を遅くしたりする必要がない。実際には、パターのスウィート・スポットで打つよりも少し強く打てるほどだ」

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私がプレイするコースに芝がふかふかのグリーンというものはなく、多くの場合”高速グリーン”みたいなものなのですが^^、上のtipは知っていたものの使ったことがありませんでした。

 

頭が固いのでトゥ寄りでボールを打ったらプッシュしそうな気がして、どうしてもパター・フェースの真ん中で打たないと心配だったのです。

ある日のNo.7(150ヤード)パー3でピンの上につけた私は、思い切ってトゥ寄りで打ってみました。このグリーンは上からだとかなり急な下りなので、距離のコントロールが難しい。4メートル上からで、フックライン。ピンの僅か右を狙ってトゥで打ってみました。入りませんでしたが、プッシュすることはなく、ほぼ狙った通りに転がりました。

ホールアウト後、何発か練習してみましたが、フックラインのせいかプッシュは一度もなく、この方法が使えることが証明されました。

(October 10, 2025)



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