October 01, 2025

クラブヘッドをスウィングせよ

 

[Earnest]

'Swing the Clubhead'
by Ernest Jones with David Eisenberg (Dodd, Mead & Company, 1952)

イギリス生まれのErnest Jones(アーネスト・ジョーンズ、1887~1965)は12歳でキャディ・トーナメントに優勝、ゴルフ場のアシスタント・プロとなり、25歳でヘッド・プロになりました。第一次世界大戦に参加した彼は敵の手榴弾によって負傷し、右脚の膝から下を手術で失うことになりました。

退院したErnest Jonesは松葉杖を突いてラウンドし、一本足でボールを打ちながらハーフ38というスコアを記録しました。後半は松葉杖で歩くのに疲れたため45とスコアは悪くなりました。しかしその後、長い難しいコースで72で廻ることが出来たそうです。

彼は義足を得て以前のようにゴルフ・インストラクターとして活躍、その後ニューヨークに招かれてインドアのゴルフ・スクールを開設し、プロとアマ双方を指導しました。彼が育てたゴルファーには、全米女子アマに三年連続優勝のVirginia Van Wie(ヴァージニア・ヴァン・ウィ)、全米女子アマに六回優勝したGlenna Collette-Vare(グレンナ・コレット・ヴェア)、USオープン優勝、全英と全米アマに計四回優勝したLawson Litttle(ローソン・リトル)、英米のメイジャー・トーナメントに六回優勝したHorton Smith(ホートン・スミス)などがいます。

「ゴルフはスウィングの基本を正しく理解しさえすれば、学ぶのは簡単である。この本はダッファーの群れから脱出しようと100を切ることに憧れている人々に向けて書いている。

ゴルフは科学だという唱える人々がいるが、そうではない。ゴルフは芸術だ。

私は『ボールを打つ』という言葉が嫌いだ。スウィングするのであって、『打つ』のではない。『打つ』方法は沢山あるが、『スウィングする』方法は一つしかない。ボールをパワフルに引っ叩くにはクラブヘッドを早く動かす必要があるが、スウィングするより早くクラブヘッドを動かすことは不可能だ。

『グリップ』という言葉にはきつく握り締めるニュアンスがあるので、『持つ』という方がふさわしい。その意味で私はインターロッキング・グリップを受け容れない。これはスウィングにとって重要な左手の親指と人差指を殺してしまう。オーヴァーラッピング・グリップがお薦めだ。クラブは綱引きのように掌で握るのではない。指先で握り、クラブヘッドの動きを感じ取る。

肩巾の広さで立ち、膝を緩め、両手は6時の位置で下げる(身体の中心である)。

ナイフに紐を付けて左右に揺らしてみてほしい。これは「お祖父(じい)さんの時計」の振り子と同じ運動だ。完璧なゴルフ・スウィングはワルツのリズムだ。このリズムを身につけるのがスウィングの基本である。このリズムはどのクラブでも変えてはならない。だから、長いクラブで長い弧のスウィングでは速度を早くし、短いクラブの短いスウィングでは速度を落とす。

先程の紐につけたナイフを、手首を曲げたり戻したりして動かしてみよ。これはスウィングではなく梃子(テコ)の動きだが、これではナイフは大きく揺れ動かない。ゴルフクラブは円弧で動かすべきものだということが判るはずだ。

私が初めて一本足でラウンドした時、私はバランスを保ってクラブを振ることしか考えず、他の一切のことは捨て去っていた。それでも満足すべきラウンドが出来た。多くのゴルファーは様々なことを考え過ぎる。僅か一秒にも満たないスウィングの間に多くの色んなことを遂行しようというのは無理なことだ。

クラブヘッドをスウィングせよ。他の一切を忘れよ」

【参考】「スウィングしなけりゃ意味がない」(tips_12.html)

(October 01, 2025)

あらゆるスウィングにとって不可欠な基本のドリル

 

インストラクターEddie Merrins(エディ・メリンズ)は、私が現在住んでいる南部の町で生まれ育ち、アマチュアとして素晴らしい活躍をした後PGAツァー入り。ロサンジェルスのBel-Air(ベル・エア) C.C.のクラブ・プロに招かれて就任し、場所柄多くの映画スター、歌手、有名スポーツマンなどをコーチして来て、彼自身も有名人となりました。体型がアメリカ人としては小柄だったため、"The little pro"(ザ・リトル・プロというニックネームで親しまれていました。

[2 clubs]

'Playing a Round with the Little Pro'
by Eddie Merrins with Mike Purkey (Atria Books, 2006, $22.00)

「一本のクラブの真ん中を握る(シャフトの中ほど)。グリップエンドが身体の左後ろになるようにアドレス。

両肘をゆったりさせ、バックスウィング無しでクラブが身体の左側になるまでクラブを振る。グリップエンドが身体に触れてはいけない。これがフォワード・スウィングであり、最も重要な部分だ。ゴルファーはあまりにもバックスウィングに囚われ過ぎる。左右の前腕が一体となってシャフトを身体の左側に動かす(左腰の上まで)両手は最初の位置を変えず、クラブを捻ったり返したりしない。

ではバックスウィングを加えよう。クラブを右腰の上まで振る。左側へも振る。身体は終始シャフトの後方に留まっていることに注意。もし、クラブを故意に操作しようとすると、どの時点かでグリップエンドが身体を叩く。

シャフトが身体に触れなければ、このドリルは正しく遂行されたことになる。これがあなたが知るべきゴルフスウィングの全てである」

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写真は20年前のもので、二本のクラブを一緒に握っています。上の記事とこの写真の例の効果は全く同じ、後方のクラブが身体に触れたら掬い打ちをしている証拠なのです。両手は常にクラブヘッドに先行していないと正確なショットは打てません。

【参考】
・「正確なアイアン・ショットを打つ」(tips_96.html)
・「ハンドルを振れ!」(tips_147.html)
・「スコアはゴールではない」(tips_144.html)

(October 01, 2025)

革命的ストローク法の行方

 

ある日、新案の二つのストローク法のうち、「パターヘッドの赤点を見ながらストロークする」でラウンドしてみました。目を開けている方が閉じてストロークするより楽だと思ったからですが、結果は散々でした。3パット四つで(ひどいのなんの!)、パット総数33。第一パットをショートし、ギミー(OK)の距離に届かない長いパットを残すことが多く、それが3パットの原因でした。

次のラウンドでは「目を閉じてフォワード・ストローク~フィニッシュ」という方法でパットしました。3パットの数は減りましたが無くなりはせず、18ホールで二回も3パットしちゃいました。パット総数30。ま、グリーンが朝露で凄く湿っていたという要因はあるのですが、それにしてもひどい。

マスル・メモリにストローク動作を記憶させるべく、室内で猛練習しました。この時、私は大きな考え違いをしていたことにはたと気づきました。

「完璧なストロークの探究」(tips_193.html)で紹介した床や地面にクラブシャフトを寝せ、その上で練習する方法はスクウェアなストロークをするためにはいい方法です。そして、目を閉じてストロークし、フィニッシュで目を開けてフェースがスクウェアであるかどうか確認するのも実戦に役立ついい方法です。

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しかし、シャフトという目安の直線がないグリーン上では目を閉じる必要はないわけです。完全に肩や腕のマスル・メモリによってストロークするのならともかく、目を閉じてしまうとパターの真ん中でボールの真ん中を打つというアイ・ハンド・コーディネーションが使えません。オーヴァーしそうな恐怖、ショートしそうな恐怖によって、距離コントロールが損なわれます。目は開けておくべきです。

では、先達てのスコア76、3バーディ、パット総数24という快挙は何だったのか?という疑問は残りますが、あれは偶然だったと思うしかありません。ストローク法に集中した成果であったとは云えると思いますが…。

今回の室内での猛練習も無駄ではありませんでした。インパクトにかけて左手首を弓なりにするとフェースがターゲットにスクウェアになることを発見しました。左手甲で打つというより、左手首を凸型にしてストロークするのです(図の左)。これは奇しくも「凸型左手首のインパクトが正確なショットの鍵」(09/01)で触れたテクニックです。

さらに練習を重ねると、トップに達したら左手の最後の三本指(中・薬・小)を引き締めてフォワード・ストロークすると、あら不思議、ほぼ必ずといっていいほどターゲットにスクウェアなフィニッシュが得られることが判りました(図の右)\(^o^)/。

かような次第で、座頭市スタイルのストロークとはおさらばし、目は開けてボールを凝視しつつ、切り返しで左の最後の三本指を引き締めるストローク法を身につけるべく努力することと相成りました。

(October 01, 2025)



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