June 01, 2025

アイアンはアウトサイド・インで打て

 

[D-Plane]

'The Best Driving Instruction Book ever!'
edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc. 2012, $32.95)

実はこのドライビング専門書は数年前に購入したのですが、一番最初の章だけは何やらグラフ混じりで複雑そうだったので飛ばしていました。しかし、改めて読むと驚くべきことが書かれていました。

この章の筆者であるインストラクターJames Leitz(ジェイムズ・ライツ)は、1994年にDr. Theodore Jorgensen(セオドオ・ジョーゲンセン博士)が'The Physics of Golf'(ゴルフの物理学)という本で提唱した"D-Plane"(Dプレーン)なる理論を元にインストラクションを展開します。

"D-Plane"とは何か。図のPATHはクラブヘッドが動く軌道、CLUBFACEがインパクトにおけるフェース角度で、その二つの間の幅(図で薄く膜がかかっている部分=三次元)が"D-Plane"です。二つの線が縦に揃っていればボールは完璧にストレートに飛ぶが、"D-Plane"が斜めになるとスライスやフックを生じます。図の例では、クラブフェースはピンをスクウェアに狙っているものの、ヘッドが動く軌道がインサイド・アウトなのでボール(赤矢印で描かれたBALL FLIGHT)は左に向かって飛びます。

細かいことはさておき、驚いたのはこの記事の結論です。《アイアンのようにヒットダウンする時はアウトサイド・インの軌道で打て。ドライヴァーのように匕ットアップする時はインサイド・アウトの軌道で打て》…というものなのです。

これが彼一人の理論でないことはこの本の次の章で判ります。次の章の筆者Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)も次のように概略同じ趣旨のことを述べているのです。

「ドライヴァーを除く全てのショットはアウトサイド・インで打たれるべきだ。下降気味にヒットダウンされアウトサイド・インで打たれたボールは、かなり高い確率で真っ直ぐに飛ぶ。この物理学と幾何学の法則に従えば、いいボールを打てる可能性が高まる」

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両者とも《ヒットダウンするアイアンはアウトサイド・イン、匕ットアップするドライヴァーはインサイド・アウト》と断言しています。ただし、ティーアップしてヒットアップするアイアン・ショットにはこの法則は当てはまらないでしょう。

私は何十年にもわたって、全てのクラブにインサイド・アウトのスウィングがいい筈だと思い込んでいました。ドライヴァーもアイアンも…です。その私にもピン傍に寄ったアイアン・ショットはあるのですが、ひょっとして私のアイアン・ショットは正しくヒットダウンされていなかったのかも知れません¯\_(ツ)_/¯。このtipはあくまでも、ヒットダウンとアウトサイド・インの軌道という条件が揃った時に真っ直ぐ飛ぶという理論なのですから。

(June 01, 2025)

頭を静止させてスウィングせよ

 

[Kathy]

LPGAツァーほかで98勝、PGAツァーをも含めた最多勝利記録を達成し、ゴルフ名誉の殿堂入りを果たしたKathy Whitworth(キャスィ・ウィットワース、1939~2022)のtip。

'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)

「打とうとするボールに集中し続けようとするなら、あるいはハーヴィ・ピーニックが『ボールの下を凝視し、ボールの下の草を刈り取るべし』と云ったようにしようとするなら、頭を上下に動かしたりしない筈だ。でないと、ボールとその下の草を視野から失ってしまい、同時にいいショットを打つ好機をも失ってしまう。

頭の位置は重要である。ゴルファーの中には、頭を動かすことによってターゲット方向に体重移動するのだと誤解している人がいる。

頭をターゲット方向に動かしてはいけない、体重だけ動かすのだ。頭はインパクトの後まで同じ場所に留まり、その後になってやっと動くものだ」

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筆者のキャスィ・ウィットワースは、伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の愛弟子の一人でした。

彼の「ボールの下の草を刈り取る」という教えはヒットダウンのコツでもあります。ボールを打つのではなく、その下の草を打てば否応なくヒットダウンが達成され、クラブのロフト通りの軌道でボールが舞い上がり、スピンがかかることになります。

そして、ボールの下の草に集中することは、頭を静止させる効果もあります。一石二鳥。

(June 01, 2025)

古いtipで10ヤード増

新しければ何でもいいというものではありません。古いtipでもいいものはいいのです。

[Lee]

ある日のラウンド、私のテーマは《左脇を締め挙げろ》でした。これはもう19年も前に紹介したtipですが、その当時飛躍的に増した飛距離のことはまざまざと覚えています。【参照】「左脇を締め挙げろ」(tips_94.html)

「飛距離を増してスコアを減らす」(tips_203.html)という記事では、このtipを実行したある読者の方(女性)が女性62名参加のコンペで午前・午後の二つのドラコンを独占したという報告も紹介されています。たった一度の練習で、最高20ヤードの飛距離増が得られたとのこと。

《左脇を締め挙げろ》を完全に実行すると飛距離が平均10ヤード伸びます。10ヤードと云えばワン・クラブの違いです。5番アイアンで打っていたところを6番でいいわけです。

インパクトで左肩を挙げ、同時に左脇を締めます。私見ですが、こうするとスウィングがナノセカンド停止するため、手首がsnap(スナップ)されるのでしょう。

また、この方法は結果的に《インパクトで胸を張れ》というtipを実践することにもなります。どちらでも覚えやすい方を実行すればいいようです。【参照】「義父の秘伝」(tips_43.html)

この日、パットが良かったのとチップインに助けられたせいもありますが、最近にしては上出来なラウンドを達成することが出来ました。

(June 01, 2025)



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