July 20, 2025

未来のゴルフ・スウィング【パート2】

 

Mindy Blake(ミンディ・ブレイク)の”未来のゴルフ・スウィング”の紹介の続き。

[Mind's grip]

彼は数学と物理を専攻し陸上の選手でもあった知識と経験を活かし、砲丸投げ、円盤投げ、槍投げ、棒高跳びなどの動作を分析した結果、ゴルフ・スウィングも下半身(特に両脚)をパワー源とすべきであることを確信しました。

’The Golf Swing of The Future'
by Mindy Blake (W.W. Norton, 1972)

Mindy Blake式スウィングは《クラブを身体の周りで回転させるのではなく、スクウェアなバックスウィング、スクウェアなフォロースルー》というものです。スウィングの間中クラブフェースをスクウェアに保つため、両足を極度なオープン・スタンス、異常なほどのストロング・グリップ、ほぼ回転させない腰、90°後方に捻じる左肩、右肘を終始身体近くに留め、非常に短いバックスウィング、逆転というより直進させるといった感じのダウンスウィング、手首を返さないインパクトとフォロー…などが核心です。

これは”未来の”というより”私の”と呼ぶべきだったかも知れません。それほど、スタンダードなインストラクションからかけ離れています。しかし、同じアマチュアでもMindy Blakeはハンデ2まで到達したのですから、ハンデ8だった「X氏」よりは上です。そして前回触れたように、タレントEd Sullivan(エド・サリヴァン)の悲惨なゴルフを一瞬にして改善させたという実績も加わります。研究する価値は大ありであると思われます。

この本は私が敬愛するBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスウィングを「古いスウィング」と決めつけ、1970年代のスウィングを「現在のスウィング」とし、彼独自のメソッドを「未来のスウィング」としています。彼の視点ではBen Hogan(ベン・ホーガン)もJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)も良いスウィングではありません。

彼が提唱するグリップ、スタンス、捻転等、全ては両脚を起爆剤として爆発するエネルギーに貢献する土台となるものです。

・グリップ

この型破りのグリップは他の要素―トップ位置、最小限の腰の回転、肩のフル・ターン、トップでの左手の位置―などをマスターしてから適用することが推奨される。【註:ですから、グリップに関しては読むだけ読んで、実践は後回しにすべきです】

基本的にストロング(フック)グリップ。ゴルファーの目に左手の四つのナックルが見える。右手の親指の根元の膨らみは左手の(親指と人差指の谷間の)Vを覆う。

このグリップはクラブを(インサイドではなく)ストレートに後方に引き、クラブフェースをスクウェアに保つばかりでなく、かつ右肘を最適の場所に進めるための解決策である。

左手がバックスウィングをリードするが、それが下向きになった時、左手の親指は右掌の内側に滑り込む。これは型破りの最たる部分だが、スウィングの他の要素をマスターした後で試みるとよい。このグリップがシングルへの途を開く鍵である。

[Mind's swing] [Mindy]

・アドレス

この本のカヴァー・イラスト【上図右】で見られるように、左足は30°、右足は10°オープンに構える。これは腰の捻転を最小限に抑えて肩の捻転との差を大きくして打球のエネルギーを増やすためである。

ボール位置は左爪先の前方。【図の1】

肩は僅かにオープン。左腕は垂直に垂らし、身体から遠ざけないこと。これがストレートなバックスウィングを可能にする。【同上】

・フォワード・プレス
本格的スウィングに入る前に、両膝をターゲット側に僅かに動かす動作をする。

・バックスウィング【図の3】
可能な限り腰は廻さず、左肩だけ捻転する。左踵を上げたりもしない。

・トップ【図の4】
肩はフル・ターンするが腰はほとんど動かさない。本のカヴァー・イラストの状態がトップ位置で、クラブはこれ以上後方には引かれない。左手首は平らか凸型。クラブフェースはクローズ目。右肘を浮かさない。

・ダウンスウィング【図の5】
本能的に両膝がターゲット方向に動く。両脚が肩、腕、右腰とクラブなどを一体として動かす。

・インパクト【図の7】
クラブは脚によって引き下ろされる。手首を返さないので、クラブフェースはターゲットにスクウェアなまま。右肘は右腰よりもターゲット方向に出る(これはこの本が述べる核心である)。

・フォロースルー【図の8】
手首を返さないので、クラブフェースは地面からは上がるものの依然としてターゲットにスクウェアである。両足は地面に密着したままで、右足の外側だけ僅かに浮き上がる。両膝は柔軟性を保っている。

・フィニッシュ【図の9】
両手は高く上がる。両膝は曲げられたまま伸びず、体重も移動しない。

【重要ポイント】
1) バックスウィングで腰の捻転を抑える
2) バックスウィングで身体の周りでの左腕の回転を減らす」

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驚くなかれ、彼の左足30°、右足10°オープンのスタンスというメソッドは、チップでもパットでも同じなのです。パットでは単にスタンス幅を狭くするだけ。このスタンスはMindy Blake(ミンディ・ブレイク)の専売特許と云えるものでしょう。

私がプレイしているゴルフ場の練習場は現在閉鎖中なのでこのメソッドを練習出来ません。で、ラウンドで左足30°、右足10°のオープン・スタンスと、腰を廻さず短いバックスウィングという部分だけ試していますが、驚いたことに飛距離は落ちません。プルになるのじゃないかという心配も杞憂で、真っ直ぐ飛びます。私はドライヴァーでは元々ストロング・グリップなので問題なくこの方法を取り入れられます。

慣れるまでの間、このメソッドの細部に神経質にこだわるとシャンクしたりトップしたりしますが、オープン・スタンスで腰を廻さず肩だけ捻転し、両脚のパワーで手・腕をスクウェアに動かす…という骨子だけに専念すれば、ボールは真っ直ぐ飛びます。身体全体をフル回転させないので何か手打ちみたいな感じがしますが、脚を原動力とするダウンスィングをする限り手打ちではありません。

ただし、私の場合、肩も腰も捻転させた場合にくらべ飛距離はやや落ちます。しかし、飛距離増ではなくピンを狙う正確さが欲しい人、身体が固くなって捻転しにくいシニア・ゴルファーにとっては、これは福音とも云うべきメソッドでしょう。

【参照】「パワーが欲しけりゃ腰を廻すな」(tips_139.html)

(July 20, 2025)

ショート・スウィングでスナップする

 

[snap]

インストラクターBrady Riggs(ブレイディ・リグズ)によるtip。”スナップ”というのは、手首を急速に水平にパチンと弾くこと。垂直に弾くアンコックとは異なる動作です。

'Play Like a Pro'
edited by David Denuzio (Time Home Entertainment, 2013, $29.95)

「最大飛距離を得ようとして過剰に長いバックスウィングするという過ちは、一連の動作を狂わせることによってパワーを奪ってしまうだけでなく、ヒッティングの質と正確さに悪い影響を与える。

基本的にオーヴァー・スウィングは大きな間違いだ。バックスウィングを短くする必要がある。少なくとも、短くしようという感覚を抱くべきだ。パワフルなドライビングのための鍵は、クラブをスクウェアにボールに戻すことで、短いバックスウィングはソリッドなボールとの接触と連続動作を助けてくれるので腕と身体が同期して動く。ボールはあなたのバックスウィングが長かろうが短かろうが無関心で、ひたすら真芯で打ってくれることを願っているのだ。スウィングを引き締め、これらの鍵を達成するには次のステップに従う。

・ステップ1

通常のバックスウィングをするが、両手が肩の高さを越えないトップ。

・ステップ2

”いつものバックスウィングが完了する前に”下半身をボール方向に回転させ始める。

・ステップ3

鞭を打つような感じで打てたら、スナップ効果によってかなりのスピードが得られているはずだ」

(July 20, 2025)



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