July 10, 2025

未来のゴルフ・スウィング【パート1】

 

[Mindy]

’The Golf Swing of The Future'
by Mindy Blake (W.W. Norton, 1972)

上記Mindy Blake(ミンディ・ブレイク)著「未来のゴルフ・スウィング」という本を入手しました。え?「ミンディ・ブレイクなんて知らない」? ま、普通はそうです。彼はゴルフ・プロでもインストラクターでもなく、英空軍の戦闘機乗りのパイロットで後に将校にまで昇進した人物です。その経歴に関しては英語版Wikipediaで本名のMinden Blakeで検索すると、詳細な記事が読めます。

彼は英空軍における棒高跳びのチャンピオンで、1948年のオリンピックの英国陸上の選手の一人となったほど運動感覚に優れていました。彼は専攻した数学と物理の知識を元に、様々な発明をしました。ゴルフを始めたのは34歳になってからでした。

1.72メートルという身長は西洋人としては高い方ではありませんが、彼は60歳代に至るまでボールを280ヤード飛ばしたそうです。ゴルフに入門した最初の年にハンデ9、翌年ハンデ6 、ついにはハンデ2となりました。彼はSwingriteという練習用クラブを考案・販売し、よく売れたそうです。

なぜ、スクラッチでもないゴルファーがゴルフ・インストラクションの本など出版出来たのか?1967年、アメリカの有名なTV番組司会者Ed Sullivan(エド・サリヴァン)が英国・ロンドン近郊のゴルフ場Wentworth(ウェントワース)でメンバーと一緒にプレイしました。彼は熱心なゴルファーでしたが、腕前はお世辞にも傑出しているとは云えないレベルでした。そして、その日のゴルフは目も当てられぬほどひどく、自尊心を打ち砕かれた彼はそのラウンド終了をもってゴルフと縁を切る決意をしたほどでした。

一緒に廻っていたコースのメンバーの一人が、「よければ別のメソッドを試してみませんか?」と尋ねました。絶望のどん底だったEd Sullivanは新しい方法の説明を聞き、その後のホールでその男の云う通りやってみました。見違えるように素晴らしいゴルフが出来て感激したEd Sullivanは、プロ・ショップにある全てのゴルフ・ボールを購入して親切なこのメンバーにプレゼントしたそうです。そのメンバーこそMindy Blakeでした。Ed Sullivanはこの経験を英国有数の新聞London Observer(ロンドン・オブザーヴァー)紙のコラムニストHarry Weaver(ハリィ・ウィーヴァー)に話しました。Harry WeaverはMindy Blakeに会いに行き、彼の理論を聞き取って編集し、本にすることにしたのでした。

アマチュアが執筆しても『X氏のゴルフ』のようにベストセラーになる場合もあるのですから、Mindy Blakeの『未来のゴルフ・スウィング』も稀有な例ではありません。

この本には”未来の”という形容詞がついていますが、1972の出版ですからその53年後の現在はとっくにその”未来”に突入しています。しかし、Mindy Blakeのメソッドが現在主流になっているか?というと、そうとは云えません。それどころか忘れ去られていると云ってもいいほどです。

しかし、彼の説く腰を廻さず肩の捻転を主にしたスクウェアなスウィング軌道、両脚をパワー源とするダウンスウィング…などはいいヒントになりそうなので当サイトで紹介することにしました。

「ゴルフの本を読むと、著者が《正しい》と述べることは互いに矛盾している。Tommy Armour(トミィ・アーマー、メイジャー三勝)の主張はGay Brewer(ゲイ・ブリュワー、1967年マスターズ優勝)と違うし、Sam Snead(サム・スニード、)の唱えることはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がやっていることと異なる。Henry Cotton(ヘンリィ・コットン、全英オープン三回優勝)は「インパクトで左脚を突っ張れ」と云ったが、Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)もJack Nicklausもインパクトで左膝を折っている。

どんなプロにも次のようなパターンがある。《彼らは若い時に目覚ましく輝き、その後数年間沈滞し、それから30代後半か40代前半になって成功する》私にはこの傾向を容易に説明出来る。若い時は多少の動作の間違いも"Eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と手の協調作業)によって乗り越えられるからだ。ただしこれは若さを失うと同時に失われる能力なので、その後は個人的な努力で克服しなければならない(万人に共通の手段はない)。

アマチュアには次のようなパターンがある。《若者たちの幾人かは短期間にスクラッチ・プレイヤーになる。その他の者は練習に練習を重ね、生涯ハンデ15あたりになる。スクラッチとなった者も28歳になるまでにはハンデ6となり、38歳頃にはハンデ12となり、48歳くらいになるとゴルフをやめてしまう。

私は数学と物理を専攻し、棒高跳びの選手でもあったので、科学的な考え方でゴルフをテクニカルなスポーツとして取り組んだ。私の進歩が止まった時には、他の陸上競技を参考にした。それらの競技は今世紀の約70年の間に大飛躍を遂げていた。そのどれもが二本の脚をパワー源とすることで記録を更新していた」

【つづく】

(July 10, 2025)

正確なショットを生むポスチャー

 

[posture]

インストラクターJim Murphy(ジム・マーフィ)によるtip。

'Play Like a Pro'
edited by David Denuzio (Time Home Entertainment, 2013, $29.95)

「常に一貫したスウィングをしようとするなら、一貫したセットアップが必要だ。感覚によって行うのでなく、以下のステップによって正しい角度の前傾姿勢とボールとの距離を確かめてほしい。これらはアマチュアが間違えるセットアップ・エラーの代表である。

・ステップ1

ドライヴァーを手にした時、そのグリップエンドはズボンのファスナーの真ん中を指すべきである。もしお腹を指しているのなら過度に直立しているし、もし股下の縫い目を指しているのなら屈み過ぎである。

・ステップ2

アドレス体勢をとった後、右手を外して掌を大きく広げる。その幅がグリップエンドと太腿との間隔だ。

これらが正確なボールを打つ土台である」

(July 10, 2025)

ドライヴァーを打つ時の正しい肩の傾斜 [angle]

女性インストラクターKrista Dunton(クリスタ・ダントン)のtip。

'Play Like a Pro'
edited by David Denuzio (Time Home Entertainment, 2013, $29.95)

ドライヴァーで距離を稼ごうと思ったら、高く上がっても比較的スピンが少ないボールを打たねばならない。こういうタイプのボールを打つには、スウィング弧の最低点に達した後ボールを上昇軌道で打つ必要がある。この決定的な技術的変更をするには、セットアップを変えねばならない。

いつものようにボールに向かってアドレスするが、ターゲットではなくターゲットの真上の空を見る。アドレス体勢で左上方に目を向けると、右肩が左肩よりもガクンと落ち、背骨が右側へ傾ぐことに直ちに気づくはずだ。

これがドライヴァーを打つ時に必要な姿勢である。以前の間違った姿勢に戻ることなく、この体勢を記憶せよ。今後はより高い軌道のより長いショットに恵まれることだろう」


(July 10, 2025)



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