May 20, 2024
●緊張と弛緩のリズム
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)はラウンドで緊張することを望んだそうです。
'The Grand Slam:Bobby Jones, America and the Story of Golf'
by Mark Frost (Hyperion, 2004, $15.95)
1926年、英米両オープンに優勝したBobby Jonesは、親友であり新聞記者でもあったO.B. Keeler(O.B.キーラー)による共同配信インタヴューに応えて以下のように述べました。
「いいプレイをするためには緊張が必要だ。それなくしてはダレたプレイになってしまう。綱渡り芸人のように真剣にプレイする男を打ちのめすことは不可能だ。緊張はサラブレッドと農耕馬とを別けるものだ」
これは私の《薄氷を踏むような思いでラウンドする》という方針に似通っています。自分が現在絶好調に思えても、ゴルフというゲームはNo.18をホールアウトするまで一寸先は闇なのです。手を抜かず、一打一打に精魂を傾けなくてはなりません。
しかし、その後Bobby Jonesはショットを放った後は同伴競技者やギャラリーの中の友人(O.B.キーラー)とお喋りしてリラックスする術(すべ)を覚えました。何時間もの間緊張し続けると精神的疲労が過大なので、ショットする段になったら緊張すればいいのだということを学んだのです。
これはLee Trevino(リー・トレヴィノ)が実践していたことと同じです。彼は常にギャラリーに冗談を云って笑わせていました。しかし、打つ順番が来たらガラッと態度を変え、真剣そのものになったのです。そりゃそうでしょう、1ストロークの違いがメイジャー優勝やウン千ドル、ウン万ドルの賞金の差になるわけですから。
私が一緒にプレイするシニア・グループの中に何人か、アドレスしながら仲間とお喋りして、その一〜二呼吸後にボールを打つ人がいます。結果は90%ミス。お喋り(左脳の働き)をやめてスウィング・モード(右脳の働き)に切り替えておらず、脳も筋肉もスウィングする準備が整っていないのですからうまく行ったら奇跡です。お喋りを終えたら、ターゲットに正対して狙いを確認し、呼吸を整え、「いいスウィングをしよう」と念じながらアドレスする。これには短くても10~15秒はかかる筈です。
常に目の前の一打が80を切れるか切れないかに影響すると思うべきです。
【おことわり】画像はhttps://www.historicgolfphotos.com/にリンクして表示させて頂いています。
(May 20, 2024)
●チッピング・ミス防止策
最近チッピングでミスを多発させていました。トップやダフりによってオーヴァーしたりショートしたり。
私はチッピングが下手な方ではないので期待が大き過ぎる傾向がありました。自信過剰。そして、結果を先回りして考えて現在の目の前の一打に精魂を篭めていない。 これに対処するため、《ボールと接触した後、地面の上でクラブヘッドを10センチ滑らす》という方針を自分に課すことにしました。打ち上げようとするとダフったりトップしたりします。そうではなく、ヘッドを地面の上で滑らせてクラブのロフトが自然にボールを上げるに任せるべきなのです。10センチ滑らしたかどうか目で確認しようとするとヘッドアップしたり出来ませんし、クラブヘッドを打ち込むべき場所を凝視するので、ボールとのいいコンタクトも生じます。 これは以前紹介した「一意専心」というtipに類似しています。スポーツ心理学者Dr. Tom Dorsel(トム・ドーセル博士)は、ある日のラウンドで《クラブヘッドがスムーズにボールを通過する様(さま)を見る》ということだけに集中して自己新記録のスコアで廻れたそうです。この目論見は「インパクトを見よ」と言い換えられます。インパクトの瞬間を目撃することによって、ヘッドアップを防ぎ完璧なインパクトを実現する。逆に云えば、トム・ドーセル博士も我々も往々にしてインパクトの瞬間にボールを凝視していないのだとも云えるでしょう。 ですからボールに目を凝らし、ちゃんと10センチ滑らせたかどうかを目撃するということも役に立つと思われました。 練習でもラウンドでも10センチに集中しだしてから、ピッチングとチッピングでトップやダフりはゼロになりました。最近のラウンドでは何度かピン傍に寄せて仲間を驚嘆させました。これ、寄せのtipとして優れものに入ると思います。 |
【参照】「一意専心」(tips_18.html)
(May 20, 2024)
●パット不調の原因
私のパターGuerin Rife(ゲリン・ライフ)製の2 Bar Mallet(2バー・マレット)は、買った当初はヘッドのライ角が調節可能でした。ヘッドの付け根がやや柔らかくなっていて、シャフトとの角度を変えられるようになっていたのです。
しかし、数年後にヘッドが取れてしまいました。ライ角を弄り過ぎたせいかも知れません。友人の一人が角度固定でいいなら溶接してやると云うので頼みました。それから10年近く経ち、数週間前からパターのどこかがゆるくなった気がしていました。でも、それがヘッドなのかハンドルなのか判りませんでした。
最近のある日のラウンド中、ゆるいのはヘッドであったことが判明しました。ボールをパターのスウィート・スポット(シャフトの根元)で打たない限り、ヘッドの向きが否応無くオープンになったりクローズになったりします。これが最近の冴えないパッティングの原因だったのでしょう。で、この日パットする前にヘッドをぎゅっと捻(ねじ)って固定してからストロークすることにしました。
その日のNo.16。パターを掴んでグリーンに上がろうとしたら、ヘッドがポトンと取れてしまいました。グラグラしていただけだったのが、完全にシャフトから外れてしまったのです。
無理やりヘッドをシャフトにねじ込んで1.5メートルのパットにトライしたら、幸運にもボールもカップにねじ込むことが出来てバーディ!壊れたパターでバーディって奇妙な気持ちでした。
帰宅して、強力接着剤エポキシでヘッドとシャフトを接合しました。これくらいなら人に頼まなくても自分で出来ます^^。
修理後のラウンドはパット総数28で済みました。以前は30か30+でしたから、パターヘッドを接着した効果は覿面です。稀代のパット名人と謳われたBobby Lock(ボビィ・ロック、南ア、1917〜1987)は「総数32パットのラウンドはまあまあの出来、30パットだったら上出来、28パットで収められたら最高と考えるようにしていた。だが、28パットが本当の目標だった。そして、28パットのラウンドを沢山したものだ」と云っていました。名人にしてそうなら私レヴェルで28は満足すべき数字と云えましょう。
(May 20, 2024)
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