June 20, 2024
●バックスピンをかけるには、ボールの脚をちょん切れ
これはツァー・プロCorey Pavin(コリィ・ペイヴィン、写真)のtip。彼はアメリカ人としては小兵でロング・ドライヴとは無縁ながら、卓越したショット・メーキング、ショート・ゲームなどで全米オープンその他に優勝しました。
'Corey Pavin's Shotmaking'
by Corey Pavin with Guy Yocom (NYT Special Services, Inc. and Pocket Books, 1996)
「全てのプロが備えていて一般ゴルファーの手に入らないショットは、ボールがワンバウンドし、やおらカップに向かってスピン・バックするショットだ。これをアマチュアは魔術師のトリックか何かで、まるでプロたちが公開したくない秘訣を知っているかのように考える。実際にはそれは純粋に物理的なことなのだ。
ボールを急速に停めるには、先ずボール位置をスタンス後方、中心からやや右にしなければならない。こうするとインパクトに向かってクラブヘッドが急角度で下向きに動き、ボールを地面との間で挟みつけることが出来る。
【編註】私の「ヒットダウンへの近道」(tips_211.html)の手法はボールのターゲット方向10センチのところに胸骨を揃え、そのまま両足は動かさずにスタンス後方となったボールにアドレスします。Corey Pavinのメソッドと何ら変わりません。
アマチュアはウェッジを使う際、パワー不足であり正しいスウィングを適用しない。彼らはボールをあまりにもスタンス前方に置き、地面からボールを掬い上げようとする。こういうショットではスピンは全くかからない。
猛烈なバックスピンをかけるには、単にボール後部に向かって急角度のヒットダウンをする以上のことが必要だ。一例を挙げると、ダウンスウィングで頭を岩のようにどっしりと不動にしなければならない。そうすればクラブが期待されているように働く。もし、頭をターゲット方向に動かせばクラブヘッドの攻撃角度を損なうだけでなく、クラブヘッドが動く速度も損なってしまう。
あなたはインパクト時に両手を前方に向け続けてボールを地面とクラブヘッドによって閉じ込めるべきで、頭と身体を前方にスライドしてはいけないのだ。ダウンスウィングで腕と手は頭を通過するように感じるべきである。ボールが飛び去るまで絶対に頭を上げてはならない。
もう一つの秘訣は考え方の問題だ。ボールの赤道から下を打つさまを視覚化する。ボールに脚が生えており、それをちょん切るのだと考えてもいいし、ボール底部の印刷文字を切り刻もうとしていると考えてもいい。どちらにしても、秘訣はボールをクリーンに打つことで、どんなことがあってもボールの手前の地面を打たないことだ」
【おことわり】写真はhttps://www.pga.com/、図はhttps://encrypted-tbn0.gstatic.com/にリンクして表示させて頂いています。
(June 20, 2024)
●バックスピンに関する注意事項
Byron Nelson(バイロン・ネルスン)が説くバックスピン論。
'Shape Your Swing The Modern Way'
by Byron Nelson with Larry Dennis (Golf Digest, Inc, 1976)
「良いプレイヤーは大きなディヴォットを取らない。特に通常のライにおいては。良いゴルファーは薄い一片のターフを取るが、大きな塊を掘ったりしない。
【註】地面を抉(えぐ)った時に飛んだターフの一片を「ディヴォット」と呼ぶのが正しく、抉られた後の穴は「ディヴォット・ホール」です。ルール・ブックにそう書かれています。
ディヴォットを掘る場合、ボールをあまりにも左右に動かしていないかどうか調べるべきだ。打つ前に過剰に左サイドにスウェイしてボールを打っていないか、あるいはダウンスウィングで右サイドをあまりにも早期に使っていないかどうか。ボールと接触する時、アイアンのクラブヘッドはやや下降中でなければならないが、水平の軌道であればあるほどスウィングはいいものになる。
覚えておいてほしい。バックスピンの量はディヴォットのサイズに比例しない。バックスピンはインパクトでクラブフェースの表面を駆け上がるボールの動きによって生じる。クラブフェースがボールを地面に押し付ける度合いではない。だから、地面を掘る必要はなく一片のターフで充分なのだ」
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(June 20, 2024)
●バックスピンをかけるための要件
1) 綺麗に清掃されたグルーヴ(クラブフェースの溝)
2) 柔らかいカヴァーの3ピース・ボール
3) ボールの下部を狙う
4) ヒットダウン
バックスピンはボールがクラブフェースのグルーヴと噛み合い、フェースの下から上方へと駆け上る際に生じます。ですから、フェースのグルーヴに土や砂が挟まっているとボールと噛み合わないのでバックスピンはかかりません。
飛距離を得やすいボールの表面は硬いカヴァーで覆われています。硬いカヴァーはフェースのグルーヴと噛み合うことを拒否します。3ピースあるいは4ピース・ボールなどのソフトなカヴァーでないとバックスピンはかかりません。
ボールの天辺を打ったのではバックスピンはかかりません。ボールの赤道から下を打つ必要があります。
上の三つの条件が整っていても、打ち方がまずいとバックスピンはかかりません。バックスピンを掛けるには、スウィング弧の最低点に達する前に(クラブがまだ下降中に)ボールを捉え、その後地面を打ってディヴォットを取る打ち方をしなければなりません。
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(June 20, 2024)
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