August 20, 2024

正しいアドレスで飛距離を伸ばす

 

卒中を患う前、私のドライヴァーの飛距離はこのウン十年夢にも思わなかった伸びを示しました。その絶好調の最中に脳卒中を患ってしまい、その後飛距離も減ってしまいました。

しかし、私は自分のスウィングに隠された飛距離が内蔵されているのは間違いなく、それを解き放てないのは何かが欠けているからだと思い、希望を捨てませんでした。だが、その欠けているものは何なのか?

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卒中前に実行していた《インパクトで胸を張れ》を再現・実行しても飛距離は回復しませんでした。とすると、スウィングではないようです。そんな折、TV中継でブライスン・デシャンボーのスウィングを見ました。ご存知のように、彼は飛ばし屋です。彼は両腕を目一杯伸ばしてアドレスします。さらにドライヴァー・ヘッドを地面につけるのではなく、地面から浮かしてアドレスしていました。

腕を目一杯伸ばして、しかも地面から浮かして構えているということは、インパクトでさらに腕(とクラブヘッド)が伸びることを想定しているのでしょう。最近私の飛距離が伸び出したのは《インパクトで胸を張れ》というtipを実行し始めてからですが、胸を張ると自然に腕が伸びます。ただし、私はクラブヘッドを浮かしてボールにアドレスしていないので、構えたところよりヘッドのヒール側でボールを打っているに違いない。これが飛距離が伸びたり伸びなかったりする原因ではないか?

飛距離を増すにはスウィート・スポットで打つことが大前提です。それは常識。ではクラブヘッドのどこでアドレスすればいいか?これは知らない人が多いと思われます。物理学的な詳しい説明は本稿末尾のリンクを辿って過去の記事をお読み頂きたいと思いますが、結論を云えばヘッドのトゥ寄りでアドレスすべきなのです。ドライヴァー・ヘッドはシャフトと一線になっていないため、遠心力がヘッドの重心に影響を与え、シャフトはインパクトで右図のように撓(しな)り、ヘッドもインパクトで前傾します。この作用を予期してトゥ寄りでアドレスしておけば、インパクトで自然にスウィート・スポットでボールを捉えられますが、フェースの中心でアドレスしているとヒール寄りでボールを打つことになり、飛距離を損する結果になります。

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私のドライヴァー・ヘッドには一年前のテストでボールにアドレスすべき位置として、左図のようにビニール・テープで青丸の目印をつけていました。今回、練習場でフェースに水虫スプレー(粉末タイプ)を噴霧してインパクト・チェックすると、この青丸の位置ではかなりヒール寄り(メーカーの目印よりさらにヒール側)で打ってしまうことが判りました。で、もっとトゥ寄りの赤丸でアドレスしてボールを打ってみると、やっとフェースの中央で打てるようになりました。赤丸はメーカーの印から約3センチもトゥ寄りです。

卒中以前にこの赤丸で打っていたわけではないのですが、スウィングの仕方、ボールとクラブヘッドの間隔その他によって偶然いい結果が得られたのでしょう。

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コースのNo.14(360ヤード)パー5の右側に一本の木が立っています。計測するとグリーン中央まで残り190ヤードです。卒中以前はこの木を遥かに越えてグリーン中央まで150ヤード地点まで飛ばすことが出来ました。卒中後はこの木にすら到達出来ず悔しい思いをしていました(40ヤード減)。しかし、今回ヘッドのトゥ寄り(赤丸)で打ってみると残り170~180地点まで楽々と飛ばすことが出来ました。

赤丸でアドレスし、頭を動かさず力まないスウィング、胸を張るインパクト…等によって早く数週間前の飛距離を再現出来れば…と願っています。

ゴルファー次第でどれだけトゥ寄りでアドレスすべきかは異なると思いますが、インパクトでシャフトが撓(しな)りヘッドが前傾するのは物理的事実なのですから、それに対応したアドレスをすることが飛距離増への近道で、これを利用しない手はないでしょう。なにしろ、スウィングを変える必要もないのですから楽勝です。

【参考】
・「インパクトの物理学(トゥ寄りでアドレスすべき理由)」(tips_175.html)
・「インパクト・シール代用品(しかも格安)」(tips_160.html)

(August 20, 2024)


リズムとテンポの研究【3. リズムを構築する 】

 

1995年のPGA選手権優勝者・スティーヴ・エルキントンは次のように云っています。「テンポは生来の個人的なもので、これを変えようとしても無駄だ。リズムは違う。これはビート(拍子)であり、ビートはタイミングを取る重要な要素だ。これは習得が可能だ」

二拍子であれ、三拍子であれ、自分に合ったリズムを発見したら、今度はそれを身体に定着させなくてはなりません。音楽の場合、ドラムやダブルベースが基本の拍子を刻み、他の楽器はそれに合わせて華麗な演奏を展開します。基本の拍子が乱れたら合奏は統一がとれず滅茶苦茶になってしまいます。ゴルフで拍子が乱れると、身体の動きがバラバラになってしまい、流麗なスイングは望めません。当然、結果(ショット)もひどいものになります。そうした重要な基本となるリズムはどのように構築すればいいのでしょうか?

ジャック・ニクラスは'Golf My Way'(1974)『ゴルフマイウェイ』で次のようなアイデアを教えてくれます。「テンポを改良し、リズムをスムーズにし、バランスも良くするいい方法は、足をくっつけてスイングすることだ。最初はボール無しでミドル・アイアンを前後に振る。次第にスイングを大きくし、最後にボールを打つ。50球も打てば、テンポとリズムに驚くべき変化が出るだろう」

ジャック・ニクラスの二代目のコーチであるジム・フリックが語るアーニー・エルスのリズムの“秘密”。「私はアーニーに『どのようにして素晴らしいリズムを手に入れたのか?』と尋ねた。彼の答えはこうだった。彼がゴルフを始めた子供の頃、母親が与えてくれたのは約40ヤードしか飛ばないプラスティックのボールだった。力一杯ひっぱたいても40ヤード、イージーにスイングしても40ヤード。初めてコースに出た時、彼はイージーでリズミカルなスイングの方が目一杯ひっぱたくより遠くへ飛ぶことを発見した。アーニーの優雅で淀みのないスイングを見るとき、蔭の功労者である彼のママに拍手を贈りましょう」

 

私はスポンジ・ボールによる練習をしたことがありますが、確かにいいスイングで打たないとちゃんと飛びませんでした。本当のゴルフ・ボールは叩くだけでそこそこ飛びますが、スポンジ・ボールはごまかせません。リズム構築の道具として最適のようです。スポンジ・ボールの代わりに松ぼっくりを打つという方法もあります。これもいいスウィングをしないと飛びません。

そのアーニー・エルスは次のように云っています。「いいリズムは、ゴルフ・コースでのあらゆるトラブルを回避させてくれ、また、ひどいショットをまあまあのショットに変えてくれる」

'Four Magic Moves to Winning Golf'(1995)『マジック・ゴルフ』の著者ジョー・ダンテは次のように断言します。「いいゴルファーのスイングを映画フィルムで撮影すると、バック・スイングはダウン・スイングの長さの二倍かかっていることが判る。この2:1の割合がスイングのリズムである。スイングの所要時間(テンポ)は人それぞれで変わる。しかし、2:1という割合(リズム)は変わらない。いいゴルファーでは、クラブによってリズムが変わるということはない。8番アイアンからドライバーまで、割合は全て同じである。同じ人であれば、テンポも変わらない」

プロのリズムが本当に2:1かどうか、この研究の後半で調査結果をお目にかけます。

(August 20, 2024)



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