May 30, 2023
●ピッチングをマスターする【パート2】
'The Golf Magazine: Short Game Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)
「・フェースの狙い方
チッピングの場合はスウィングが短くゆっくりで、ボールは単にフェースで跳ね返るだけなのでスクウェア・フェースがベストである。しかし、ピッチングのように長く早いスウィングでは、ボールは《スウィング軌道とインパクト時のフェースの向きとの間のどこか》に向かってスタートする。
もし、あなたがスクウェア・スタンスを採用しているなら、ターゲット・ラインに沿ってスウィングする傾向があるだろうから、アドレスでもクラブ・フェースをスクウェアにしておくべきだ。
あなたがアドレスでオープン・スタンスを採用しているなら、インパクトでアウトサイドからインサイドへカットする傾向があり、オープンなフェースはスウィング軌道のやや右へボールを送り出す。また、オープンなクラブフェースはロフトを増す。
どちらが最も良い方法だとは云えない。あなたが快適で自信を持てる方法がベターであるということになる。
・スウィング
奇妙に聞こえるかも知れないが、ピッチングにはパワー(それもかなりのパワー)が不可欠である。あなたはそう思わないだろう。何しろピッチングはソフトに浮くようなボールの飛行を生み出すのだから。しかし、ボールを前方へ向かわせるだけでなく高く上げる必要のあるピッチングには、強い力が必要なのだ。パワーはボールの後部ではなくその下(地面との接点、右図のB)に用いられる。
ピッチ・ショットをトップした場合のことを考えてみてほしい。リーディング・エッジはボールの真ん中を捉え、宙を切り裂いてグリーンをオーヴァーする。これはボールが、期待したように上方に向かってでなく、前だけに向かって発射されたからだ。結果として、誤った方向へのパワーによってボールは計画したより三倍も四倍も遠くへ飛んでしまう。
「ボール位置」の項で述べた構え(左右均等の体重とスタンス中央のボール位置)をすれば、パワーは自ずとボールの下に向かうインパクトとなる。チッピングに比べれば水平のこの攻撃角度が厚いクラブヘッドのソールをボールの下に向かわせ、クラブフェースから高く上げる発射角度を生み出す。
チップ・ショットのボールは前方に向かうだけだが、ピッチングは上にも向かうため長く早いスウィング(=パワー)を必要とする。チッピングでは一種類のテコ(左肩)を使うだけだが、ピッチングでは二種類のテコを用いる。すなわち左腕と、手首のコックを伴うクラブとの二種である。このコックが長いスウィングとエクストラのパワーを生み出す。
もうお分かりだろうが、ピッチングはフル・スウィングのミニチュア版なのだ。明らかなコックを特徴とするだけでなく、必要とするパワーを生み出すために捻転と若干の体重移動も行う。これらフル・スウィングに必須の要素が、最も短いピッチングにも(程度の差はあるものの)見られるのだ。だから、ピッチングする際、必要充分な効果的パワーを生成せねばならない。
30ヤードの距離でピッチング・ウェッジを用いる基本的な鍵は、15ヤードの飛行、15ヤードのランである。
・グリップ圧
バックスウィングで手首を折る(コックする)ためには軽いグリップを維持しなくてはならない。アドレスで前後にワッグルし、手をソフトに、手首をしなやかにしておくべきだ。クラブを動かし続けることで手と手首をアクティヴにし、不必要な緊張を感じなくすることが出来る。
・腕と肩を一緒に動かせ
チッピングでも同じだが、腕と肩を一緒に動かしてスウィングを開始すれば、身体はターゲットに背を向けるように回転する。これは頭を不動にするために絶対必要なことだ。ボールとソリッドな接触をするには、インパクトを過ぎるまで頭は縦にも水平にも動いてはならない。
・コックせよ
バックスウィング開始と同時にコックし、クラブヘッドのトゥが空を指すようにする。たとえ30ヤードのピッチショットでも手首は左腕と90°の角度になるべきだ。もっと距離が長ければ、肩と腰の回転(と、若干の体重移動)を増す。だが意識的に体重移動をするのでなく、上体のアクションの結果として自然に動くべきである。
・ダウンスウィングを同期せよ
クラブヘッドをボールに戻す際は、身体全体がギプスで覆われていてバラバラには動かせないかのように、一緒に動かすこと。ダウンスウィングの遠心力が手首のコックをほどき、左腕を一直線に伸ばしてインパクトを迎える。身体全体(膝・腰・胸・肩)を回転させながらクラブを落下させるように感じること。
・なるがままにせよ
あまりにも多くのアマチュアがダウンスウィングでクラブやスウィング・スピードをコントロールしようと土壇場の悪あがきをする。アドレスでお膳立てした必要なロフトとバックスウィングで構築した必要なパワーを信じるべきである。ダウンスウィングはバックスウィングの動作を単純にフィニッシュへと戻せばよいのだ。
・逆転の終了
身体がインパクトへとスムーズに逆転すれば、ショットを過剰にコントロールしようとしたりせずリラックスしたままの筈だ。手と腕の緊張を知るには、バックスウィングの鏡像のように右腕で90°のコックをする(右の写真)。フィニッシュでベルトバックルと胸はターゲットを向き、ほとんどの体重は左踵にかかっているべきだ。これらは、あなたが手と腕の機敏な動きではなく、大きな筋肉を使ってスウィングしていることの良きサインである。
・ピッチングのよくある過ち
最も多い過ちは、クラブに備わったロフトを信じないで、ボールを上げようと余計な操作をすることだ。
ボールを上げようとする(余計な)”努力”の筆頭はアドレスで背骨をターゲットから遠ざけ、ボールをスタンス前方に置き、体重をボールの後方にかけることだ。そうすればボールの下を打って高い軌道が得られるという思い込みである。【編註:これらは全て間違い】
アドレスはいいとしても、バックスウィングで右に移した左に体重を戻さず、ボールを打ち上げようとする者もいる。この結果はボール後部を打ってゴロかてんぷらとなる。
もう一つの過ちは掬い打ちか、手を返してボールを上げようと早期に右肘を伸ばすことだ。上級者は意図的にロフトを増すため時折この手法を用いるが、中級者は完璧にボールを打てずダフるかトップが関の山である。
ウェッジはボールを上げるために充分なロフトを備えている。《ヒットダウンすればボールは上がる》という公式を信じなければいけない。
【おことわり】画像上はhttps://koreajoongangdaily.joins.com/、下はhttps://dxbhsrqyrr690.cloudfront.net/にリンクして表示させて頂いています。
(May 30, 2023)
●納得出来るまで素振りする
練習ラウンド(月・火)と本戦(木・金・土・日)【註参照】を含めれば連日のようにプレイしているツァー・プロでさえ、ショットの前に素振りを欠かしません。だったら、そう頻繁にラウンドしているわけではない我々は充分に納得出来るまで素振りすべきでしょう。【註】水曜日はプロ=アマ・トーナメントの日で、これに出るプロは水曜日もラウンドします。前週予選落ちしたプロは、早めに次のコースにやって来て、土・日も練習ラウンドします。
TVのトーナメント中継を見ていると、プロたちはドライヴァーを打つ時には一回か二回の素振りをします(ゼロというプロはいません)。フェアウェイやバンカーでは二回か三回の素振り。チップ・ショットになると五回ぐらい素振りします。ラフからのショットをする前には合計十回ぐらい素振りするプロがいます。 ティー・グラウンドは比較的平らで、ボールはティーに乗っていますから、そう神経質にならずに潜在意識に任せてスウィング出来ます(自転車に乗るように)。しかし、いったんフェアウェイに移動するとライは傾斜し、草の長さも異なります。素振りをしてクラブヘッドが地面のどこを削るかを見極める必要があります。何度素振りしても地面との接触点(インパクト地点=スウィング弧の最低点)がスタンス後方なら、それに逆らわずボールがスタンス後方になるように立つべきです。でないとトップしたりする恐れがあります。 「素振りに時間をかけると同伴競技者に嫌われるだろう」…という意識は捨てましょう。納得出来るまで素振りしないで打って林や藪に打ち込んでみんなでボール探しに時間をかけるよりは、素振りに時間を掛けてもいいショットをする方が時間の節約になります。 ツァー・プロがどれだけ素振りをするか、今度TV中継を見て確認してみて下さい。プロより下手で自信がない我々は、プロ以上に多く素振りして当然と思うべきではないでしょうか。 |
(May 30, 2023)
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